親や家族の介護について考え始めたとき、「もしかして、そろそろ要介護認定の申請をしたほうがいいのかな?」と頭をよぎる方は多いでしょう。
しかし、「まだそこまでではない気がする」「大げさになってしまうのでは?」と申請をためらってしまうのも無理はありません。
本記事では、要介護認定の申請を検討するべき具体的なタイミングと、その判断基準を解説します。
また、申請が早い段階でもメリットがあることをご紹介します。
要介護認定の申請を検討するタイミング
1. 日常生活で以前と違う変化を感じ始めたとき
「最近、物忘れがひどくなった」「転びやすくなった」「食事の準備や後片付けがおっくうそう」など、本人や家族が日常生活の中で、これまでできていたことが少しずつ難しくなっていると感じる変化が見られたら、申請を検討するひとつのサインです。
具体的な例:
- 身だしなみ: 着替えに時間がかかったり、ボタンの留め外しに苦労している。
- 家事: 料理の段取りが悪くなったり、掃除を以前よりしなくなった。
- 外出: 外出を億劫がるようになった、または一人での外出を避けるようになった。
これらの変化は、身体機能や認知機能の低下が始まっている可能性があります。
2. 介護している家族が「少し大変だ」と感じ始めたとき
介護は、している家族の負担が徐々に増えていくものです。
「ちょっとした手伝い」と思っていたことが、いつの間にか大きな負担になっていませんか?
「最近、毎日買い物に付き添うのが大変」「夜中に何度もトイレに起きて、眠れない日が続いている」「常に目を離せない状況で、自分の時間が全くない」など、少しでも「大変だな」と感じたら、それは介護保険サービスの助けが必要なサインです。
申請の判断基準
以下のチェックリストで、当てはまる項目が多い場合は、要介護認定の申請を前向きに検討するタイミングです。
身体・ADL(日常生活動作)に関するチェックリスト
- □ 以前より転びやすくなった、ふらつくことが増えた。
- □ 階段の昇り降りがきつそうだ。
- □ 立ち上がる際や、座る際に手すりや壁に頼ることが増えた。
- □ 食事中にむせることがある。
- □ トイレに間に合わないことが時々ある。
- □ お風呂に入るのを嫌がるようになった、または一人で入れない。
- □ 服の着脱に時間がかかる、ボタンをかけ違えることがある。
認知・精神面に関するチェックリスト
- □ 同じことを何度も尋ねる。
- □ 物忘れがひどくなった。
- □ 以前より意欲が低下し、何事にも興味を示さなくなった。
- □ 外出を嫌がる、家に引きこもりがちになった。
- □ 些細なことで怒りっぽくなった。
これらのチェックリストは、あくまで目安です。
ひとつでも当てはまる項目があれば、「まだ早いかも」と諦めずに、まずは情報収集を始めることをお勧めします。
「まだ早い」と思っても申請するメリット
要介護認定の申請は、「介護保険サービスの利用券」を手に入れるための第一歩です。
たとえ軽度な状態であっても、認定を受けることで以下のようなメリットがあります。
- 介護保険サービスを利用できる: 専門家によるアドバイスや、デイサービス、訪問介護など、介護のプロによる支援を受けられます。これにより、ご家族の負担が軽減され、ご本人の自立した生活を長く維持できます。
- 介護に関する専門家に相談できる: 申請後には、ケアマネジャー(介護支援専門員)が付きます。介護のプロであるケアマネジャーに、現在の状況や将来の不安を気軽に相談できるようになります。
- 万が一に備えられる: 今は元気でも、体調は急変する可能性があります。認定を受けておくことで、いざという時にスムーズにサービスを利用開始できます。
「まだ早い」という思い込みが、本当に必要なサポートを受ける機会を逃してしまうことにつながるかもしれません。
介護は、ご本人にとってもご家族にとっても、一人で抱え込むものではありません。
まとめ
「まだ早いかな?」と感じても、日常に小さな変化や負担を感じ始めたら、それは要介護認定の申請を検討するのに良いタイミングです。
申請は、介護保険サービスの利用だけでなく、介護に関する専門家とのつながりを作るきっかけにもなります。
まずは、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談してみてはいかがでしょうか。
専門家のアドバイスを聞くだけでも、漠然とした不安が解消されるはずです。