「今後のサービス向上につとめてまいります」
ビジネスメールを書いている途中で、「つとめる」の漢字変換に迷って、手が止まってしまったことはありませんか?
「努める」「務める」「勤める」……どれも同じ読み方なので、いざ使おうとすると不安になりますよね。
特に、取引先や上司に送る大切なメールでは、「漢字を間違えて、教養がないと思われたらどうしよう」と焦ってしまうこともあるはずです。
でも大丈夫です。
「つとめる」の漢字は、難しい意味を丸暗記しなくても、簡単な見分け方を知っておけば迷わず選べます。
この記事では、ビジネスメールでよく使う「つとめる」の正しい漢字の選び方を、初心者の方にもわかりやすく解説します。
迷ったときにすぐ使える「熟語変換テスト」も紹介しますので、今日から自信を持って文章を書けるようになりますよ。
【この記事を書いた人】
森田 結衣(ビジネス文書コンサルタント / 元大手企業エグゼクティブ秘書)
10年間で5万通以上のビジネスメール・公文書を校正・作成。現在は、若手から中堅ビジネスパーソンに向けて、実務で使いやすい文章術を指導しています。「今すぐ正しい表現を知りたい」「メールで恥をかきたくない」という不安に寄り添いながら、やさしく実践的に解説します。
結論:「サービス向上につとめる」は「努める」が正解
まず、今すぐ答えが知りたい方へ結論からお伝えします。
「サービス向上につとめる」の正しい漢字は「努める」です。
そのため、ビジネスメールでは次のように書けば問題ありません。
今後のサービス向上に努めてまいります。
「努める」は、目標に向かって努力する、力を尽くすという意味で使います。
サービス向上、品質改善、再発防止、早期解決など、何かをより良くするために努力する場面では「努める」を使うのが自然です。
ビジネスメールではとてもよく使う表現なので、まずはこの形を覚えておきましょう。
「つとめる」の漢字は3つある
「つとめる」で迷いやすい漢字は、主に次の3つです。
- 努める
- 務める
- 勤める
どれも同じ「つとめる」と読みますが、意味は少しずつ違います。
簡単にいうと、次のように考えるとわかりやすくなります。
- 努める:努力する
- 務める:役割を果たす
- 勤める:会社や職場で働く
この3つを区別できるようになると、メールや書類作成で迷う時間がぐっと減ります。
迷ったら「熟語変換テスト」を使う
「つとめる」の漢字で迷ったときは、辞書の長い説明を読み比べるよりも、もっと簡単な方法があります。
それが、熟語変換テストです。
やり方はとてもシンプルです。「つとめる」を、次の3つの熟語に置き換えてみます。
- 努力に置き換えられるなら「努める」
- 任務に置き換えられるなら「務める」
- 勤務に置き換えられるなら「勤める」
たとえば、「サービス向上につとめる」は、「サービス向上に努力する」と言い換えると自然ですよね。
ですから、この場合は「努める」が正解です。
一方で、「司会をつとめる」は、「司会という任務を果たす」と考えると自然です。この場合は「務める」を使います。
また、「会社につとめる」は、「会社で勤務する」と言い換えられるので、「勤める」が正解です。
覚え方のコツ
迷ったら、「努力・任務・勤務」のどれに近いかを考えましょう。意味を丸暗記するよりも、ビジネスの現場ではこの方法の方がすぐに使えます。

「努める」は努力するときに使う
努めるは、目標に向かって力を尽くすときに使います。
「努力」の「努」と考えると、覚えやすいですね。
ビジネスメールでは、次のような場面でよく使います。
- サービス向上に努める
- 品質改善に努める
- 再発防止に努める
- 早期解決に努める
- 信頼回復に努める
たとえば、お客様への謝罪メールでは次のように使えます。
このたびはご不便をおかけし、誠に申し訳ございません。
今後は同様のことがないよう、再発防止に努めてまいります。
このように、反省や改善、前向きな取り組みを伝えたいときは「努める」を選びましょう。
「務める」は役割を果たすときに使う
務めるは、任された役割や担当を果たすときに使います。
「任務」の「務」と考えると、イメージしやすくなります。
代表的な使い方は、次の通りです。
- 司会を務める
- 進行役を務める
- プロジェクトリーダーを務める
- 責任者を務める
- 監査役を務める
たとえば、会議の案内メールでは次のように使えます。
次回の定例会議では、私が進行役を務めます。
当日はどうぞよろしくお願いいたします。
この場合は、「進行役という任務を引き受ける」という意味なので、「務める」が自然です。
「勤める」は会社や職場で働くときに使う
勤めるは、会社や職場に所属して働くときに使います。
「勤務」の「勤」と考えると、迷いにくくなります。
次のような表現で使います。
- 会社に勤める
- 銀行に勤める
- 都内の支店に勤める
- 長年勤めた会社を退職する
- 定年まで勤め上げる
たとえば、自己紹介文では次のように使えます。
現在は、都内のIT企業に勤めております。
このように、職場や勤務先について話すときは「勤める」を使いましょう。
「努める」「務める」「勤める」の違いを一覧で確認
ここまでの内容を、ビジネスで使いやすいように表にまとめます。
| 漢字 | 置き換え熟語 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 努める | 努力 | 目標に向かって力を尽くす | サービス向上に努めてまいります。 |
| 務める | 任務 | 役割や任務を果たす | 会議の司会を務めます。 |
| 勤める | 勤務 | 会社や職場で働く | 都内の企業に勤めています。 |
この表を覚えておけば、ほとんどのビジネスシーンで迷わず使い分けられます。
ビジネスメールでよく使う例文集
ここからは、実際のビジネスメールでそのまま使いやすい例文をご紹介します。
「努める」を使う例文
今後もより一層、サービス向上に努めてまいります。
今回のご指摘を真摯に受け止め、再発防止に努めてまいります。
お客様に安心してご利用いただけるよう、品質管理の徹底に努めます。
「務める」を使う例文
本プロジェクトでは、私が進行管理を務めます。
明日の打ち合わせでは、佐藤が司会を務める予定です。
長年にわたり、弊社の監査役を務めていただきました。
「勤める」を使う例文
現在は、都内のメーカーに勤めております。
前職では、金融機関に10年間勤めておりました。
父は同じ会社に長年勤め上げました。
間違いやすい表現と言い換え例
「つとめる」は、意味の違いがわかっていても、実際の文章では迷うことがあります。
よくある間違いと、正しい表現を確認しておきましょう。
| 迷いやすい表現 | 正しい表現 | 理由 |
|---|---|---|
| サービス向上に務めます | サービス向上に努めます | 努力する意味なので「努める」 |
| 司会を努めます | 司会を務めます | 役割を果たす意味なので「務める」 |
| 会社に務めています | 会社に勤めています | 勤務先で働く意味なので「勤める」 |
| 再発防止に勤めます | 再発防止に努めます | 改善に向けて努力する意味なので「努める」 |
迷ったときは、やはり「努力・任務・勤務」のどれに近いかを考えるのが一番簡単です。
「勉める」は使ってもいい?
「つとめる」と入力したときに、「勉める」という表記を見かけることがあります。
「勉強」の「勉」なので、努力する意味で使えそうに感じるかもしれません。
しかし、一般的なビジネス文書やメールでは、「勉める」は使わず、「努める」を使うのが安心です。
現在の標準的な表記では、「勉」は「つとめる」という読みで一般的に使う漢字ではありません。
そのため、取引先へのメール、公的な文書、社内文書などでは、次のように書きましょう。
今後も業務改善に努めてまいります。
「勉める」と書いてしまうと、相手によっては違和感を持たれる可能性があります。
ビジネスシーンでは、無理に珍しい表記を使わず、自然で伝わりやすい漢字を選ぶことが大切です。
ひらがなで「つとめる」と書いてもいい?
どうしても迷う場合は、ひらがなで「つとめる」と書く方法もあります。
ただし、ビジネスメールでは、漢字で書いた方が意味が伝わりやすい場面が多くあります。
たとえば、次のようにひらがなにすると、少し幼い印象やあいまいな印象になることがあります。
今後のサービス向上につとめてまいります。
間違いではありませんが、ビジネス文書としては、次のように漢字で書いた方がすっきりします。
今後のサービス向上に努めてまいります。
ただし、社内向けのやわらかい文章や、読みやすさを優先した文章では、ひらがなを使うこともあります。
大切なのは、相手や場面に合わせて選ぶことです。
よくある質問
Q. 「今後の改善につとめます」はどの漢字ですか?
A. 「努めます」が正解です。改善に向けて努力する意味なので、「努力」の「努」を使います。
Q. 「責任者をつとめる」はどの漢字ですか?
A. 「務める」が正解です。責任者という役割を果たす意味なので、「任務」の「務」を使います。
Q. 「会社につとめる」はどの漢字ですか?
A. 「勤める」が正解です。会社で働く、勤務するという意味なので、「勤務」の「勤」を使います。
Q. 「努めてまいります」は目上の人に使えますか?
A. はい、使えます。「今後も改善に努めてまいります」「再発防止に努めてまいります」は、ビジネスメールでもよく使われる丁寧な表現です。
Q. 「努めさせていただきます」は自然ですか?
A. 文脈によっては少し回りくどく感じられることがあります。「努めてまいります」の方が自然で使いやすい表現です。
Q. 「つとめる」の漢字を間違えると失礼ですか?
A. 意味は伝わる場合もありますが、ビジネス文書では違和感を持たれる可能性があります。特に取引先や上司へのメールでは、正しい漢字を選ぶと安心です。
まとめ:「つとめる」は努力・任務・勤務で見分ければ迷わない
「つとめる」の漢字は、ビジネスメールでとても迷いやすい言葉です。
けれど、次のように覚えておけば、もう難しく考える必要はありません。
- 努力に置き換えられるなら「努める」
- 任務に置き換えられるなら「務める」
- 勤務に置き換えられるなら「勤める」
「サービス向上につとめる」は、サービスを良くするために努力する意味なので、正解は「サービス向上に努める」です。
また、「勉める」は一般的なビジネス文書では避け、「努める」を使うのが安心です。
迷ったときは、熟語変換テストを思い出してください。
たったそれだけで、変換候補の前で手が止まる時間がぐっと減ります。
正しい言葉を選べると、メールにも自信が持てます。
これからは安心して、送信ボタンを押してくださいね。
【参考文献リスト】
- 文化庁「常用漢字表」
- 文化庁「改定常用漢字表」に関する資料
- 国立国語研究所 関連資料