介護中、朝起きたらシーツだけでなくマットレスまで濡れていた……。
そんな日は、着替えや清拭に加えて、シーツ・敷きパッド・寝具まで洗うことになり、本当に大変ですよね。
介護用の防水シーツは、尿漏れからマットレスを守り、寝具の洗濯回数を減らすのに役立つアイテムです。
ただし、防水シーツなら何でも同じというわけではありません。
選ぶときには、
- どこまで覆えるか
- ずれにくいか
- 肌に触れる面の素材
- 乾きやすさ
- 洗濯・脱水・乾燥の可否
- 体圧分散マットレスとの相性
まで確認しておくことが大切です。
この記事では、介護用防水シーツの選び方から、安全な洗い方、体圧分散マットレスを使っている場合の注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。
- 1 【最重要】防水シーツを買う前に「洗濯表示」と「洗濯機の説明書」を確認
- 2 なぜ防水シーツで洗濯機が激しく揺れるの?
- 3 介護用防水シーツはどう選ぶ?
- 4 「尿量が多い=必ずボックス型」ではない
- 5 肌への負担を減らすなら「吸湿性・速乾性・肌触り」も確認
- 6 体圧分散マットレスを使っているなら「厚く重ねすぎない」
- 7 シーツをピンピンに張る「ハンモック現象」に注意
- 8 防水シーツの安全な洗い方
- 9 「洗濯ネットに入れれば安全」は誤り
- 10 「バスタオルと一緒なら脱水できる」も避けよう
- 11 防水シーツ側に「脱水可」と書いてある場合は?
- 12 乾燥機も「原則禁止」ではない
- 13 洗っても尿臭が取れないときは?
- 14 防水シーツの寿命・交換サイン
- 15 洗い替えは2~3枚あると介護がラク
- 16 購入時のチェックリスト
- 17 よくある質問
- 18 まとめ|「防水性能」だけでなく、洗いやすさと肌への負担も確認しよう
- 19 参考資料
【最重要】防水シーツを買う前に「洗濯表示」と「洗濯機の説明書」を確認
最初に、ぜひ覚えておいていただきたいポイントがあります。
「防水シーツの商品ページに洗濯機OKと書いてある=自宅の洗濯機で必ず洗える」とは限りません。
日本電機工業会(JEMA)は、おねしょシーツなどの防水性衣料・繊維製品について、全自動洗濯機・ドラム式洗濯機で洗濯・脱水しないよう注意喚起しています。
防水性の布は水を通しにくいため、脱水時に大量の水を抱えた状態になり、その水が急に移動すると回転バランスが崩れ、異常振動につながることがあるためです。
NITEでも、防水性製品によって洗濯機が異常振動し、本体や壁・床を破損したり、転倒したりする事故が紹介されています。
そのため購入前には、
- 防水シーツ側の洗濯表示
- 自宅の洗濯機側の取扱説明書
の両方を確認してください。
洗濯機側で「防水性のものは洗えない」と書かれている場合は、シーツ側が「洗濯機可」であっても、家庭の洗濯機へ入れないほうが安全です。
なぜ防水シーツで洗濯機が激しく揺れるの?
防水シーツは、水を通さない・通しにくい層を持っています。
普通のタオルなら、脱水時に繊維から水が抜けていきます。
ところが防水シーツでは、シーツが洗濯槽の穴をふさいだり、水を包み込んだ状態になったりすることがあります。
そのまま高速回転すると、槽内の水が一方向へ急に移動して重量バランスが大きく崩れます。
結果として、
- 洗濯機が大きく揺れる
- 洗濯物が飛び出す
- 洗濯機が移動・転倒する
- 壁や床を傷める
- 本体が破損する
可能性があります。

介護用防水シーツはどう選ぶ?
防水シーツ選びでは、「どれが一番いいか」ではなく、ご本人の状態と介護環境に合っているかを見ることが大切です。
1. 部分用防水シーツ
腰からお尻付近だけを覆うタイプです。
次のような場合に使いやすいでしょう。
- 尿漏れの範囲がある程度限られている
- こまめに交換したい
- 洗濯物をできるだけ小さくしたい
- 乾きやすさを重視したい
部分用は扱いやすい反面、寝返りが多かったり、漏れる位置がずれたりすると、シーツの外まで濡れることがあります。
2. 全身用・大判タイプ
広い範囲を覆えるため、
- 夜間の漏れが心配
- 寝返りが多い
- 尿漏れの位置が一定しない
といった場合に候補になります。
ただし、大きくなるほど洗濯後に水を含んで重くなりやすいため、お手入れ方法まで含めて選びましょう。
3. ボックスシーツ型
マットレス全体を包み込むタイプです。
フランスベッドには、マットレス全体を覆うボックス型防水シーツもあります。製品例では「洗濯機可・脱水機不可・乾燥機100℃まで」と指定されています。
ずれにくさを重視したい場合には便利ですが、洗濯・乾燥が大変になることもあります。
「尿量が多い=必ずボックス型」ではない
以前は、尿量と寝返りの量だけで部分用・全身用・ボックス型を決めるフローチャートにしていました。
しかし、実際には、
- 尿取りパッドの使用状況
- おむつ交換の頻度
- 寝姿勢
- ベッドの種類
- 体圧分散マットレスの使用
- ご本人が自力で寝返りできるか
- 介護者が交換しやすいか
などでも適したタイプが変わります。
漏れが多いからといって、単純に厚く・大きくすればよいわけではありません。
肌への負担を減らすなら「吸湿性・速乾性・肌触り」も確認
防水性能だけを重視すると、寝床内に熱や湿気がこもりやすくなる場合があります。
高齢者や長時間ベッドで過ごす方では、皮膚環境にも配慮したいところです。
商品を選ぶときは、
- 表面がやわらかい
- 吸湿性がある
- 速乾性がある
- 薄手でシワになりにくい
- 必要に応じて透湿性を備えている
といった点も確認するとよいでしょう。
ただし、「透湿性防水シーツを使えば褥瘡を防げる」とまでは言えません。
褥瘡予防では、体圧分散、体位変換、皮膚状態、栄養状態など複数の要素が関係します。日本褥瘡学会も、対象者の褥瘡リスクや自力で動けるかなどを考慮して体圧分散寝具を選ぶことをすすめています。
体圧分散マットレスを使っているなら「厚く重ねすぎない」
褥瘡予防のためにエアマットレスや体圧分散マットレスを使っている場合、防水シーツの選び方には特に注意が必要です。
体圧分散寝具は、身体がマットレスへ適度に沈み込み、接触面積を増やすことで、骨の突出部分にかかる圧力を減らします。
ところが、その上へ厚いパッドや防水素材を何枚も重ねると、マットレス本来の性能を妨げる場合があります。
床ずれ防止用具メーカーのケープも、エアマットレスの上には必要以上のものを重ねず、薄く吸湿性の高いシーツをすすめています。
シーツをピンピンに張る「ハンモック現象」に注意
体圧分散マットレスでは、シーツを強く張りすぎると、身体が十分に沈み込めなくなることがあります。
ケープの褥瘡予防資料では、ピンと張ったシーツは体圧分散効果を妨げ、臀部や骨突出部に局所的な力が加わると説明されています。
モルテンのマットレス保護カバーも、薄く伸びのある素材によってハンモック現象の影響を抑え、体圧分散性能を活かす設計とされています。
そのため、体圧分散マットレスでは、
シーツを必要以上に引っ張ってパンパンに固定しない
ことがポイントです。
ただし、「大きなたるみ」を作る必要はありません。大きなシワも摩擦や圧迫につながることがあるため、マットレスの沈み込みを妨げない程度のゆとりを持たせながら、シワはできるだけ整えると考えるとわかりやすいでしょう。

防水シーツの安全な洗い方
最も安全なのは、商品に付いている洗濯表示どおりに洗うことです。
家庭用洗濯機が防水性製品を禁止している場合は、手洗いなど、その製品メーカーが案内する別の方法を選びます。
手洗いする場合の基本
- 尿や便など目立つ汚れを先に取り除く
- 洗面器・浴槽などで指定の洗剤を使ってやさしく洗う
- 十分すすぐ
- 強くねじらず、製品表示に従って水気を取る
- 表示どおりの方法で乾燥させる
濡れた大型防水シーツは非常に重くなるため、腰に負担がある場合は無理をしないでください。
「洗濯ネットに入れれば安全」は誤り
以前は、
「大きめの洗濯ネットへ入れれば、洗濯槽への張り付きを防げる」
としていました。
しかし、日本電機工業会やNITEの注意喚起では、ネット使用を例外として安全とはしていません。
防水性そのものが異常振動の原因になるため、ネットに入れれば大丈夫とは考えないようにしましょう。
「バスタオルと一緒なら脱水できる」も避けよう
通常の大物洗いでは、片寄り防止のためにほかの洗濯物を追加する方法があります。
しかし、日立でも水が浸透しない防水性製品については洗濯・脱水自体を控えるよう案内しています。
したがって、
「バスタオルを入れれば防水シーツを安全に脱水できる」
とは考えないでください。
防水シーツ側に「脱水可」と書いてある場合は?
ここが少し難しいところです。
実際の商品には、家庭用洗濯機・脱水に対応した防水シーツもあります。
たとえば一部の介護用防水シーツでは「洗濯機可・脱水機可」と表示された製品があります。
一方、別のボックス型防水シーツでは「洗濯機可・脱水機不可」と明記されています。
つまり、製品ごとに仕様が違います。
それでも、家庭用洗濯機メーカー側が防水性製品の投入を禁止している場合があります。
迷った場合は、シーツメーカーと洗濯機メーカーの双方へ型番を伝えて確認するのが最も確実です。
乾燥機も「原則禁止」ではない
以前は「防水シーツに乾燥機は原則使えない」としていましたが、こちらも製品ごとに違います。
たとえば、
- 乾燥機不可の防水シーツ
- 60℃まで対応する製品
- 100℃まで対応する製品
- 130℃まで対応する耐熱タイプ
が実際に販売されています。
したがって、
「ポリウレタンだから乾燥機NG」ではなく、必ずその製品の乾燥機マーク・耐熱温度を確認
してください。
洗っても尿臭が取れないときは?
以前は「クエン酸水をスプレー」「粉末酸素系漂白剤」を一律にすすめていました。
しかし、防水シーツの裏面にはポリウレタンラミネートなどさまざまな素材が使われ、漂白剤に対応しているかどうかも製品ごとに異なります。
実際、フランスベッドの防水シーツには塩素系漂白剤不可と明記された製品があります。
尿臭が残る場合は、まず、
- 汚れを長時間放置しない
- 製品指定の洗剤で洗う
- 十分すすぐ
- 完全に乾燥させる
ことを優先しましょう。
漂白剤・クエン酸などを使いたい場合は、必ず洗濯表示やメーカーのお手入れ方法を確認してください。
防水シーツの寿命・交換サイン
次のような変化が出たら、交換を検討しましょう。
- 裏面の防水層がひび割れている
- 表面と裏面がはがれてきた
- 防水層がベタつく
- 小さな穴が開いた
- 洗っても強い臭いが残る
- 下のマットレスまで水分が通るようになった
特に、見た目がきれいでも水漏れするようになった場合は、防水機能が低下している可能性があります。
洗い替えは2~3枚あると介護がラク
介護用防水シーツは乾くまで時間がかかるものがあります。
1枚だけだと、夜に汚れた場合や梅雨・冬場の乾きにくい時期に困ってしまいます。
可能であれば、
- 使用中
- 洗濯・乾燥中
- 予備
として2~3枚用意しておくと回しやすくなります。
介護者の負担を減らすという意味では、「防水性能が最も高いもの」だけでなく、軽い・乾きやすい・交換しやすいことも重要な性能です。
購入時のチェックリスト
| 確認すること | チェックポイント |
|---|---|
| サイズ | 部分用・大判・ボックス型 |
| ずれにくさ | 寝返りが多い場合は固定方法も確認 |
| 肌面 | やわらかさ・吸湿性・速乾性 |
| 厚み | 体圧分散マットレスを邪魔しないか |
| 洗濯 | 手洗い・洗濯機可など |
| 脱水 | 可・不可を必ず確認 |
| 乾燥機 | 不可または耐熱温度を確認 |
| 漂白剤 | 塩素系・酸素系の使用可否 |
よくある質問
Q. 防水シーツは洗濯機で洗えますか?
製品によっては「洗濯機可」と表示されています。
ただし、JEMAやNITEは防水性製品を家庭用洗濯機で洗濯・脱水しないよう注意喚起しています。
自宅の洗濯機の取扱説明書を必ず確認してください。洗濯機側で禁止されていれば、手洗いなど別の方法を選びましょう。
Q. 洗濯ネットへ入れれば大丈夫?
安全とは言えません。
防水シーツそのものが水を通しにくいことが異常振動の原因になるため、ネットは事故防止を保証しません。
Q. バスタオルと一緒なら脱水できますか?
防水性製品の脱水禁止を解除する方法にはなりません。
洗濯機メーカーが禁止している場合は脱水しないでください。
Q. 乾燥機は使えますか?
製品によります。
乾燥機不可のものもあれば、60℃・100℃・130℃など一定温度まで対応する製品もあります。
洗濯表示を確認してください。
Q. 防水シーツをピンと張ったほうがシワがなくて安全?
体圧分散マットレスでは、強く張ったシーツが沈み込みを邪魔する「ハンモック現象」に注意が必要です。
一方、大きなシワも好ましくありません。
マットレスの動きを邪魔しない程度のゆとりを持たせながら、シワを整えましょう。
Q. 防水シーツを使えば床ずれ予防になりますか?
防水シーツだけで褥瘡を予防できるわけではありません。
体圧分散寝具、体位変換、皮膚の観察、排泄ケア、栄養などを含めて考える必要があります。
Q. 尿臭にはクエン酸を使っていい?
防水加工の素材によっては、メーカー指定外の薬剤で劣化する可能性があります。
まず製品の洗濯表示・説明書を確認してください。
まとめ|「防水性能」だけでなく、洗いやすさと肌への負担も確認しよう
介護用防水シーツは、マットレスを尿漏れから守り、日々の介護負担を減らしてくれる便利なアイテムです。
ただし、選び方と使い方にはいくつか大切なポイントがあります。
- 部分用・大判・ボックス型を介護状況に合わせて選ぶ
- 肌触り・吸湿性・速乾性・厚みも確認する
- 体圧分散マットレスでは厚く重ねすぎない
- シーツを強く張りすぎない
- 防水シーツと洗濯機、両方の説明書を確認する
- 洗濯ネットやバスタオルを入れれば安全とは考えない
- 脱水・乾燥・漂白剤の可否は製品ごとに確認する
特に重要なのは、
「洗える防水シーツを買う」だけではなく、「自宅で安全にお手入れできる防水シーツを選ぶ」
ことです。
毎日の介護では、小さな洗濯の負担も積み重なると大きくなります。
漏れにくさだけでなく、交換しやすさ・乾きやすさ・お手入れのしやすさまで含めて、ご家庭に合った一枚を選んでみてください。
また、すでに褥瘡がある、皮膚が赤くなっている、自力で寝返りできないといった場合は、防水シーツだけで対処せず、主治医・訪問看護師・ケアマネジャー・福祉用具専門相談員などへ相談すると安心です。
参考資料
- 一般社団法人 日本電機工業会「防水性の衣料・繊維製品の洗濯機でのお洗濯・脱水のご注意」
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「防水性衣料・繊維製品による洗濯機の異常振動」
- 日本褥瘡学会「褥瘡の予防について」
- 株式会社ケープ「床ずれ予防コンパクトガイド」
- 株式会社モルテン「マットレス保護カバー」
- フランスベッド ホームケア全科「介護用防水シーツ各製品仕様」