「勇気を出して病院に行ったのに、『骨に異常なし』と言われて湿布だけ。この痛みはどうすればいいの?」
そんな経験はありませんか?
レントゲンを見て「きれいですね」と言われるたびに、置き去りにされるあなたの痛み。
「またあの流れ作業の診察を受けるのか…」と憂鬱になりながらも、一方で「整骨院なら何か違うかもしれない」という期待と、「でもボキボキされるのは怖い」という不安の間で揺れ動いているのではないでしょうか。
実は、腰痛の正体を見極め、根本から治すには「正しい順番」があります。
多くの人が陥る「とりあえず近くの整形外科」という選択が、実は遠回りの原因になっていることも少なくありません。
この記事では、元・整形外科リハビリテーション科室長としての臨床経験と、医療の裏側も踏まえた「本当に治るルート」を、あなたにお伝えします。
「異常なし」と言われたその痛み、諦める必要はありません。
今日から、あなた自身で「治せる専門家」を選べるようになりましょう。
著者プロフィール
森本 郁夫(もりもと いくお)
認定理学療法士(運動器) / 元・整形外科リハビリテーション科室長
臨床歴15年、延べ3万人以上の腰痛患者を担当。「レントゲンは異常なしですね」という言葉に絶望する患者を一人でも減らすため、現在はフリーランスとして活動中。医療の限界も整骨院の可能性も知る「中立的な案内人」として、患者が迷わない医療の歩き方を発信しています。
まずは「危険な腰痛」を排除する(3つのセルフチェック)
まず最初に、最も重要なことをお伝えします。
あなたの腰痛が、命に関わる病気や、緊急手術が必要な状態(レッドフラッグ)ではないかを確認することです。
もし以下の3つの項目のうち、ひとつでも当てはまる場合は、迷わず整形外科を受診してください。
整骨院や整体院に行っている場合ではありません。
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これらの症状は、内臓の病気や脊椎の感染症、あるいは重度のヘルニアなどを示唆している可能性があります。
「ただの腰痛だろう」と自己判断せず、まずは医学的な診断(MRI検査など)を受けることが、あなたの体を守る最優先事項です。
「整形外科なら安心」は間違い?失敗しない病院の選び方
「レッドフラッグはないけれど、とにかく腰が痛い」
「以前、整形外科に行ったけれど、湿布と電気だけで治らなかった」
そんなあなたが次に直面するのは、「整形外科の中にもピンキリがある」という事実です。
多くの患者さんが誤解していますが、「整形外科」と「整骨院」は対立するものではなく、役割が異なります。
そして、整形外科の中にも「診断して終わり」の病院と、「治るまで付き合う」病院があるのです。
その運命の分かれ道となるのが、「理学療法士(PT)」が在籍しているかどうかです。
「物理療法」と「運動療法」の決定的な違い
整形外科のリハビリには、大きく分けて2種類あります。
- 物理療法(電気・牽引・温熱):
- 患部を温めたり電気を流したりして、一時的に痛みを緩和します。
- 多くの「湿布と電気だけ」の病院で行われているのがこれです。
- 残念ながら、医学的な推奨度は高くありません。
- 運動療法(ストレッチ・筋力強化・動作指導):
- 理学療法士(PT)がマンツーマンで、あなたの体の動きや筋肉のバランスを評価し、正しい動かし方を指導します。
- 腰痛診療ガイドラインでも「行うことを強く推奨する(推奨度1)」とされています。
つまり、あなたが求めている「根本解決」を提供できるのは、電気治療器(物理療法)ではなく、理学療法士による運動療法なのです。
📊 比較表
物理療法と運動療法の違い
| 特徴 | 物理療法(電気・牽引) | 運動療法(理学療法士による指導) |
|---|---|---|
| 主な内容 | 機械による受動的な治療 | 専門家による能動的な運動・指導 |
| 目的 | 一時的な痛みの緩和 | 原因の特定と機能改善(再発予防) |
| 医学的推奨度 | 弱く推奨(推奨度2) | 強く推奨(推奨度1) |
| こんな人向け | とにかく今すぐ少しでも楽になりたい | 痛みの原因を知り、根本から治したい |
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: ホームページを見て、「リハビリテーション科」という文字だけでなく、「理学療法士(PT)在籍」と明記されているか必ず確認してください。
なぜなら、単に「リハビリ」と書いてあるだけでは、電気治療器が置いてあるだけの可能性があるからです。「理学療法士」という国家資格を持つ専門家がいる病院こそが、あなたの「異常なし」の痛みの正体(筋肉や関節の機能不全)を見抜いてくれる場所です。
整骨院が輝くのはいつ?「慢性腰痛」と「自費」の真実
では、整骨院(接骨院)はどのような時に選ぶべきなのでしょうか?
ここで知っておくべきなのは、「慢性腰痛」と「自費診療」の適合性です。
保険適用のルールと「自費」の価値
まず、法律上の大原則として、整骨院で健康保険が使えるのは「急性の怪我(捻挫・打撲など)」に限られます。
デスクワークによる慢性的な腰痛や肩こりは、原則として保険適用外です。
これを無理に保険で扱おうとすると、整骨院側は「怪我」として処理せざるを得ず、施術内容も制限されます(数分間のマッサージと電気など)。
これでは、あなたの慢性腰痛は治りません。
しかし、「自費診療(整体)」であれば話は別です。
自費診療であれば、保険の枠組みにとらわれず、全身のバランス調整や時間をかけた手技を受けることができます。
整形外科(運動療法)で「動かし方」を学びつつ、整骨院(自費)で「硬まった筋肉をほぐしてもらう」。
この「整形外科と整骨院の補完関係」こそが、慢性腰痛を最短で治すための賢い使い分けなのです。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 慢性腰痛で整骨院に行くなら、「保険が効くから」ではなく「自費でも腕が良いから」という基準で選んでください。
なぜなら、慢性痛に対する保険施術は質・量ともに限界があるからです。1回数千円の自費治療は高く感じるかもしれませんが、ダラダラと治らない保険治療を続けるより、結果的に時間もお金も節約になります。これは「浪費」ではなく、あなたの体への「投資」です。
【結論】あなたの症状別・最適ルート診断チャート
ここまでのお話を整理しましょう。
あなたの今の状況に合わせて、最適な「行き先」を選んでください。

まとめ
「異常なし」と言われたことは、決して「痛みの原因がない」という意味ではありません。
それは、「手術が必要なほど悪い病気ではない」という、ある意味での良い知らせです。
だからこそ、そこから先はあなたの選択次第です。
- まずは整形外科で、危険な病気がないかを確認する。
- 次に、理学療法士のいる病院で、自分の体の癖や正しい動かし方を学ぶ。
- 必要に応じて、整骨院の自費治療で、凝り固まった筋肉をメンテナンスする。
このルートを知ったあなたは、もう「湿布と電気」だけで終わらせられることはありません。
まずは近所の整形外科のホームページを開き、「理学療法士」という文字を探してみることから始めてみませんか?
その小さな一歩が、痛みのない生活を取り戻すための、確実な第一歩になるはずです。
参考文献
- 腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版) – 日本整形外科学会 / 日本腰痛学会
- 柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて – 厚生労働省