要介護認定で「非該当」になったらどうする? 介護保険外の選択肢とサービス徹底ガイド

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はじめに:要介護認定「非該当」は諦めるべき現実ではない

ご家族の介護が必要となり、初めて要介護認定を申請したものの、「非該当(自立)」という結果を受け取ったとき、多くの方が落胆や不安を感じるでしょう。

中には、「あれだけ困っていたのに、どうして?」「これではどうやって生活を支えればいいの?」と途方に暮れてしまう方も少なくありません。

しかし、この「非該当」という結果は、決してすべてを諦めることを意味するものではありません。

要介護認定は、あくまで「公的な介護保険サービスを利用できるかどうか」を判断するための基準です。

この基準に当てはまらなかっただけであり、生活の中で感じる困難や、見守りが必要な状況がなくなったわけではないはずです。

ご安心ください。介護保険の枠組みを超えて、高齢者の暮らしを支えるためのサービスや支援は数多く存在します。

この記事では、要介護認定で「非該当」と判断された方が、今後も安心して自立した生活を続けるために活用できる、介護保険外のあらゆる選択肢と、具体的な行動ステップを徹底的に解説します。

「非該当」になる主な理由と背景

基準を満たさなかった

要介護認定は全国共通の基準に基づいて判定されます。

調査票に記録される項目は約80項目以上に及び、食事・排泄・入浴・歩行などの日常生活動作がどの程度できるかを数値化して評価されます。

結果的に「ある程度自分でできる」とみなされると「非該当」と判定されることがあります。

症状が一時的であった

入院直後や体調不良のときに申請すると、一時的に支援が必要でも「今後は回復する見込みがある」と判断され、非該当になる場合もあります。

調査時の伝え方に問題があった

実際には生活に困難があるのに、調査員にうまく伝えられなかったために軽く見られてしまうこともあります。

例えば「買い物はできますか?」と聞かれたときに、実際には付き添いが必要でも「なんとか行けます」と答えてしまうと、自立度が高いと判断されてしまいます。

非該当後でも利用できるサービスの多様な選択肢:公的・民間サービスの活用術

介護保険外サービスは、その費用が全額自己負担となるため、介護保険サービスと比較すると高価に感じるかもしれません。

しかし、公的な制度の制約がなく、利用者の個別のニーズに柔軟に対応してくれるという大きな利点があります。

(1) 意外と知られていない!自治体独自の支援サービス

多くの市区町村は、要介護認定の有無にかかわらず、高齢者を対象とした独自の支援事業を展開しています。

これらは税金で運営されているため、安価で質の高いサービスを受けられることが多いのが特徴です。

  • 配食サービス:
    • サービス内容: 栄養士が献立を考えた食事を、安否確認を兼ねて自宅まで配達します。毎日利用することも、週に数回など必要な時だけ利用することも可能です。
    • 利点: 料理の手間が省けるだけでなく、栄養バランスの偏りを防ぎ、持病(糖尿病や高血圧など)に配慮した減塩食や腎臓病食などを利用できる場合があります。配達時に安否確認も行うため、離れて暮らす家族も安心です。
    • 利用方法: お住まいの市区町村の高齢者福祉課や社会福祉協議会に問い合わせてください。
  • 見守り・安否確認サービス:
    • サービス内容: 定期的な電話や訪問で安否確認を行います。異常を察知した際には、あらかじめ登録された緊急連絡先や専門機関に通報してくれます。
    • 利点: 一人暮らしの高齢者の孤独死を防ぐ目的で提供されており、家族が遠方に住んでいる場合に特に有効です。
  • 家事・生活支援サービス:
    • サービス内容: ゴミ出し、電球の交換、草むしりなど、日常生活で困難になったことを支援するサービスです。
    • 利点: 介護保険では通常カバーされない、軽微な生活支援を安価に利用できます。
  • 緊急通報システム:
    • サービス内容: ボタン一つで緊急センターに通報できる装置を自宅に設置します。体調急変や転倒時など、緊急時に迅速な対応が期待できます。
    • 利点: 24時間365日対応しており、万が一の事態に備えることができます。

(2) 痒い所に手が届く!民間企業による自費サービス

民間企業が提供するサービスは、公的サービスよりもさらにきめ細かく、個別のニーズに応じたサービスが充実しています。

費用はかかりますが、その分、質の高い専門的なサービスを好きなだけ利用できるのが魅力です。

  • 家事代行サービス:
    • サービス内容: 掃除、洗濯、買い物、料理、庭の手入れなど、家事全般をプロに依頼できます。介護保険では「利用者の自立に資する」という観点から限定的な家事支援しか提供されませんが、家事代行は依頼者のニーズに合わせて柔軟に対応してくれます。
    • 利点: 介護保険外のサービスを組み合わせることで、家事の負担を大幅に軽減し、よりゆとりのある生活を送ることができます。
  • 自費の訪問介護・看護サービス:
    • サービス内容: 身体介護(入浴、食事介助など)や生活援助、医療行為を含む看護サービスを、時間や回数の制限なく利用できます。介護保険で定める「2時間ルール」のような制約がなく、必要な時に必要なだけサービスを受けられます。
    • 利点: 介護保険の支給限度額を気にせず、本当に必要な介護を確保したい場合に有効です。また、夜間や早朝など、介護保険サービスが利用しにくい時間帯でも柔軟に対応してくれる事業所が多いです。
  • 付き添い・外出支援サービス:
    • サービス内容: 病院への付き添い、買い物、役所手続き、散歩など、外出をサポートします。
    • 利点: 公的なサービスでは対応が難しい、自由な外出を支援してくれます。気分転換や社会参加の機会を確保する上で非常に重要です。
  • 高齢者向け宅配サービス:
    • サービス内容: 冷凍弁当やミールキット、健康に配慮した食材などを自宅まで届けるサービスです。
    • 利点: 健康維持に役立つだけでなく、料理が難しい日や、献立を考えるのが億劫なときに非常に便利です。

認定結果に納得できない場合の対処法:再申請と不服申し立て

要介護認定の結果に納得できない場合でも、ただ諦める必要はありません。

正式な手続きを通じて、再度審査を求めることができます。

(1) 区分変更申請(再申請)

非該当の認定後、心身の状態が悪化し、明らかに介護が必要になったと感じた場合は、いつでも区分変更申請を行うことができます。

この申請は、前回の認定から期間を空ける必要はありません。

体調の変化が顕著になった時点で、速やかに手続きを始めましょう。

(2) 審査請求(不服申し立て)

認定結果が明らかに現在の状態と乖離していると感じ、納得がいかない場合は、介護保険審査会に不服申し立て(審査請求)を行うことができます。

これは、認定を行った市区町村とは別の、都道府県が設置する第三者機関が再度審査を行う制度です。

  • 手続き: 認定結果通知を受け取った日の翌日から60日以内に、都道府県の介護保険審査会に対して書面で請求を行います。
  • 注意点: 申し立てには具体的な理由と証拠(診断書や本人の状況を記した書類など)を添える必要があります。専門的な知識が求められるため、事前に地域包括支援センターや行政書士に相談することをお勧めします。

非該当後の具体的な行動ステップと相談先

非該当の認定を受けたら、次に何をすれば良いのでしょうか。

やみくもに行動するのではなく、まずは以下のステップを踏むことが重要です。

ステップ1:まずは「地域包括支援センター」に相談する

「非該当」と診断された方の最初の相談窓口は、地域包括支援センターです。

要介護認定の有無に関わらず、高齢者とその家族の総合相談窓口として、無料で専門家が対応してくれます。

  • 相談内容の例:
    • 非該当だったが、今後の生活が不安。どうすればいいか?
    • どのような介護保険外サービスが利用できるのか?
    • 今後の健康維持や体調管理についてアドバイスがほしい
    • 区分変更申請を考えているが、手続きがわからない

ステップ2:介護保険外のケアプランを立てる

要介護認定が非該当だと、介護保険サービスを利用するためのケアプランは作成されません。

しかし、自立した生活を長く続けるために、介護保険外サービスを効果的に組み合わせた「任意(自費)のケアプラン」を作成することは可能です。

地域包括支援センターや、民間のケアプラン作成事業者、自費サービスを提供する事業者などが相談に乗ってくれます。

ステップ3:利用できるサービスを体験・比較する

気になるサービスがあれば、積極的に資料請求や無料体験をしてみましょう。

料金体系、サービス内容、スタッフの対応などを比較検討することで、ご本人に最も合ったサービスを見つけることができます。

まとめ:非該当は「新たな生活設計」の始まり

要介護認定で「非該当」という結果は、ご本人やご家族にとって大きな戸惑いとなるでしょう。

しかし、それは決して「介護が必要ない」ということの証明ではありません。

むしろ、「公的介護保険に頼らない、新たな生活設計を立てるタイミング」と前向きに捉えることができます。

非該当は、「介護保険」という一つの選択肢がなくなっただけであり、生活を支えるためのサービスは無限に存在します。

一人で悩まず、まずは地域包括支援センターに相談することから始めましょう。

そして、介護保険外の多様なサービスを賢く利用することで、ご本人とご家族がこれからも安心して、生き生きと暮らせる道を切り開いていってください。

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