植物にも人間と同じ様に、血液型が存在するのを知っていましたか?

人間や動物だけでなく、実は植物にも血液型が存在します。

しかも、私たち人間と同じようにA型、B型、O型、AB型の4種類に分けられるんです。

一見、血液を持たない植物に血液型なんて不思議に感じますよね。

この記事では、そんな植物の血液型の秘密に迫ります。

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そもそも血液型って何?

「血液型」と聞くと、血液中の赤血球の表面にある抗原を思い浮かべる方が多いでしょう。

しかし、その正体は、特定の構造を持った糖鎖糖脂質糖タンパク質)です。

これらの物質は、最初に偶然血液中で発見されたため「血液型」と名付けられました。

しかし、その後の研究で、血液だけでなく、唾液、涙、汗、毛髪、そしてさまざまな細胞の表面にも存在することが明らかになりました。

つまり、血液型物質は、私たちの体を構成する多くの細胞に存在する「自己」を識別するための目印のようなものなのです。

植物の血液型は「糖タンパク質」で決まる

血液を持たない植物にどうして血液型があるのか、という疑問への答えは、この血液型物質の正体にあります。

植物の場合、血液型を調べる際には、植物体をすりおろして液状にし、その液体に含まれる特定の糖タンパク質(レクチン)の種類を分析します。

このレクチンが、人間でいうところの血液型抗原に似た働きをし、血液型を判別する鍵となります。

植物の血液型を判別する際には、人間の血液型検査に使う抗A抗体抗B抗体を植物の抽出液に混ぜて反応を調べます。

例えば、抽出液が抗A抗体とだけ反応すればA型、抗B抗体とだけ反応すればB型、両方と反応すればAB型、どちらとも反応しなければO型と判断されます。

ただし、すべての植物にこの糖タンパク質が含まれているわけではありません。

この物質を持つ植物は、全体の約10%程度とされ、そのためすべての植物の血液型を測定できるわけではないのです。

人間と同じ4タイプ!血液型を持つ植物たち

驚くべきことに、A型、B型、O型、AB型の4タイプを持つのは、人間やサルなどの霊長類と、この植物だけだと言われています。

これは、これらの生物が共通の遺伝的特性を持っていることを示唆しているのかもしれません。

具体的な例をいくつかご紹介しましょう。

A型・アオキ ・ヒサカキ ・キブシ
B型・アセビ ・イヌツゲ ・セロリ ・ツルマサキ
O型・ツバキ ・サザン ・ダイコン ・ゴボウ ・エノキ
・ブドウ ・イチゴ ・キャベツ ・ナシ
AB型・ソバ ・アワビ ・スモモ

これらの植物の中には、私たちの食卓に並ぶおなじみの野菜や果物も含まれています。

普段何気なく食べている野菜にも、私たちと同じように「血液型」があるなんて、少し不思議な気持ちになりますね。

紅葉の色は血液型で決まる?モミジの不思議な関係

美しい紅葉で知られるモミジにも血液型があり、その型によって紅葉の色が異なるという興味深い研究結果があります。

  • O型のモミジ:アントシアンという赤い色素を多く生成し、葉を赤く紅葉させます。
  • AB型のモミジ:カロテノイドという黄色い色素を多く生成し、葉を黄色く紅葉させます。

一般的に、アントシアンは低温や強い光にさらされることで生成が促進されるため、O型のモミジはより鮮やかな赤色になる傾向があります。

一方、カロテノイドは葉がもともと持っている色素で、葉緑素が分解されることで見えてきます。同じモミジでも、血液型の違いが葉の色に影響を与えるなんて、自然の神秘を感じさせられますね。

植物の血液型の役割とは?

植物の血液型物質が具体的にどのような役割を果たしているのかについては、まだ研究段階ですが、いくつかの仮説が立てられています。

  1. 自己・非自己の識別:植物は、ウイルスやバクテリアなどの病原体が侵入してきたときに、それが自分のものではない「非自己」であることを認識する必要があります。血液型物質、特にレクチンは、この識別において重要な役割を担っていると考えられています。
  2. 植物間のコミュニケーション:植物同士が化学物質を介して情報をやり取りする「植物間コミュニケーション」においても、血液型物質が関与している可能性が示唆されています。
  3. 環境適応:血液型によって、特定の環境ストレス(乾燥、塩害など)に対する耐性が異なる可能性も指摘されています。

これらの役割が明らかになれば、農業分野での品種改良や病害対策に役立つかもしれません。

例えば、特定の血液型を持つ植物を栽培することで、病気に強い作物を開発できる可能性があります。

動物や微生物にもある血液型

血液型という概念は、人間だけでなく、動物、植物、そして微生物に至るまで、生命の多様性を示す興味深い指標です。

ただ、人間のようなABO式とは異なる独自の血液型を持つ場合が多いです。

  • A型が大多数ですが、一部にB型、ごく稀にAB型が存在します。
  • DEA(Dog Erythrocyte Antigen)と呼ばれる独自の血液型システムを持ち、8種類以上あるとされています。
  • 牛、ワニ、カメ:すべてB型です。
  • A型のみを持つとされています。

また、微生物の世界でも血液型物質を持つものがいます。

  • 赤痢菌O型
  • 結核菌B型

これらの事実は、血液型物質が生命の進化の過程で、種を超えて共通の役割を担ってきたことを示唆しているのかもしれません。

植物の血液型の研究はまだ始まったばかりですが、今後のさらなる発見が期待されます。

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