「すみません」「すいません」どっちが正解?ビジネスメールと会話での使い分けマナー

著者プロフィール

松本 ゆかり / ビジネスコミュニケーション・コンサルタント

ビジネスマナー、社内コミュニケーション、若手社員研修を専門とするコンサルタント。「マナーの正解を押し付ける教官」ではなく、「現場のリアルな悩みを解決する頼れる先輩」として、形式よりも「相手に気持ちが伝わること」を最優先に指導を行う。著書に『なぜか好かれる人の「言い換え」図鑑』など。


メールを打っていて、「すいません」と変換した瞬間に違和感を覚えたことはありませんか?

「あれ、これって失礼じゃないかな?」「口語っぽい気がするけど、書き言葉として正しいのかな?」

上司や取引先への重要なメールを作成している最中、ふと手が止まってしまう。

そんな経験、誰にでもあるはずです。

特に、謝罪の気持ちを伝えたい場面では、言葉選び一つで相手の受け取り方が大きく変わってしまうため、不安になりますよね。

結論から言うと、「すいません」は書き言葉としては不適切です。

なぜなら、「すいません」は「すみません」が発音しやすく変化した口語(話し言葉)だからです。

親しい間柄での会話なら許容されることもありますが、文字に残るビジネスメールでは「幼稚」「反省していない」という印象を与えかねません。

この記事では、なぜ「すいません」がNGなのかという理由を明確にし、明日から使える「大人の言い換えフレーズ」をシーン別にご紹介します。

これを読めば、もうメールの送信ボタンを押す前に迷うことはなくなりますよ。


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結論:「すいません」は口語。「すみません」が正しい日本語

まず、皆さんが一番気になっている「どっちが正しいの?」という疑問に、言語的な根拠を持ってお答えします。

正解は、「すみません」です。

「すいません」は、あくまで「すみません」が言いやすく変化した(音便化)だけの言葉です。

「体育(たいいく)」を「たいく」と言うのと同じで、話し言葉としては自然ですが、書き言葉としては崩れた表現になります。

「すいません」の成り立ち

なぜ「すいません」という言葉が生まれたのでしょうか?

その成り立ちを知ると、ビジネスメールで使うべきでない理由がより深く理解できます。

「すいません」の成り立ち図解
このように、「すいません」は言葉が崩れた形です。

履歴書や始末書、そしてビジネスメールといった公的な文書(書き言葉)においては、「すいません」ではなく、正しい日本語である「すみません」を使うのがマナーです。

一方で、日常会話や親しい先輩への軽いチャットなど、話し言葉(口頭)に近いシーンでは、「すいません」も許容範囲とされることがあります。

しかし、あくまで「許容範囲」であり、推奨されるわけではありません。

迷ったら「すみません」を使っておけば間違いありません。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: メールで「すいません」と打ってしまったら、必ず「すみません」に書き直しましょう。

なぜなら、たった一文字の違いですが、受け取る側(特に年配の方やマナーに厳しい方)は「学生気分が抜けていないな」と敏感に感じ取るからです。私も新人の頃、先輩へのチャットでつい「すいません」と送ってしまい、「友達じゃないんだから」と釘を刺されたことがあります。この小さな意識の差が、信頼関係を築く第一歩になります。


【シーン別】ビジネスで恥をかかない「すみません」の使い分けと変換

「すみません」は非常に便利な言葉です。

謝るときも、お礼を言うときも、何かを頼むときも使えます。

しかし、便利すぎるがゆえに、ビジネスシーンでは「幼稚」に見えてしまうリスクがあります。

「すみません」ばかり連発していると、「本当に反省しているのかな?」「とりあえず謝っておけばいいと思っているのでは?」と、相手に不信感を与えてしまうことさえあります。

そこで、謝罪・感謝・依頼の3つのシーン別に、幼稚に見えない「大人の言い換えフレーズ」をご紹介します。

これらを使いこなせるようになると、あなたのメールの印象は劇的に変わります。

📊 比較表
シーン別「すみません」言い換えマトリクス

シーンいつもの「すみません」デキる人の言い換え(書き言葉・メール)解説
謝罪すみません、間違えました。申し訳ございません、記載に誤りがございました。
お詫び申し上げます
「すみません」は軽いミス。「申し訳ございません」は深い反省と敬意を表す。
感謝すみません、助かります。ありがとうございます、大変助かります。
感謝申し上げます
感謝の場面で「すみません」を使うと、相手に「恐縮」させてしまう。「ありがとう」の方がポジティブで好印象。
依頼すみません、これお願いします。恐れ入りますが、ご確認いただけますでしょうか。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
クッション言葉として「恐れ入りますが」を使うことで、相手への配慮を示しつつ、スムーズに依頼できる。

謝罪のシーン:「申し訳ございません」

ミスをしてしまったとき、反射的に「すみません!」と言ってしまいがちですが、メールでは「申し訳ございません」「お詫び申し上げます」を使いましょう。

「すみません」には「(私の気が)済みません」という自分本位なニュアンスが含まれるのに対し、「申し訳ございません」は「弁解の余地もありません」という相手への深い敬意と反省を表します。

感謝のシーン:「ありがとうございます」

何かをしてもらったとき、「すみません」と言う癖がついていませんか?

日本人は謙虚さから、感謝の場面でも謝罪の言葉を使いがちです。

しかし、言われた方は「謝られるようなことをしたかな?」と無意識に感じてしまいます。

ここは素直に「ありがとうございます」と伝えましょう。

ポジティブな言葉は、相手との関係をより良好にします。

依頼のシーン:「恐れ入りますが」

「すみません、〇〇してください」は、少しぶっきらぼうに聞こえます。

クッション言葉として「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」を文頭に添えるだけで、相手への配慮が伝わり、快く引き受けてもらえる可能性が高まります。


上司や取引先には「申し訳ありません」が最強の選択肢

ここまで「すみません」の言い換えを見てきましたが、特に上司や取引先への謝罪メールにおいて、最も安全で確実な選択肢は「申し訳ありません」です。

「すみません」と「申し訳ありません」は、どちらも謝罪の言葉ですが、その丁寧さと深刻さのレベルが異なります。

「すみません」は、満員電車で足が当たったときのような軽い謝罪に使われることが多い言葉です。

一方、ビジネス上のミスやトラブルに対する謝罪としては、軽すぎると受け取られるリスクがあります。

迷うくらいなら、より丁寧な「申し訳ありません」を使っておけば間違いありません。

「申し訳ありません」と「申し訳ございません」の違い

よく質問を受けるのが、「申し訳ありません」と「申し訳ございません」の違いです。

  • 申し訳ありません: 丁寧語。「ない」の丁寧語「ありません」を使用。
  • 申し訳ございません: より丁寧な表現。「ない」の丁重語「ございません」を使用。

結論としては、どちらもビジネスシーンで問題なく使えます

ただ、より重大なミスや、相手が目上の方である場合は、「申し訳ございません」を使う方が無難です。

しかし、文脈によっては「申し訳ございません」が慇懃無礼(丁寧すぎて逆に失礼)に感じることもあるため、社内メールなどでは「申し訳ありません」で十分なケースも多いです。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 謝罪のメールでは、件名や冒頭でまず「申し訳ありません」と切り出しましょう。

なぜなら、言い訳から入るメールは最も嫌われるからです。「実は〇〇で…」と事情を説明したくなる気持ちはわかりますが、まずは「ご迷惑をおかけし、申し訳ありません」と謝罪の意を明確にすることで、相手の怒りを和らげ、その後の説明を聞いてもらう土台を作ることができます。


よくある質問:漢字で書くべき?「すいません」と言ってしまったら?

最後に、現場でよく聞かれる細かい疑問にお答えします。

Q1. 「済みません」と漢字で書くべきですか?

A. ひらがなで「すみません」と書くのが一般的です。

漢字で「済みません」と書くと、「(借金などが)済んでいない」「終わっていない」という意味が強調され、謝罪のニュアンスが伝わりにくい場合があります。また、視覚的にも少し堅苦しい印象を与えてしまいます。ビジネスメールでは、ひらがなで表記するのがマナーです。

Q2. 口癖でつい「すいません」と言ってしまいます。直すべきですか?

A. 会話ならそこまで目くじらを立てる人は少ないですが、意識して直すと印象アップにつながります。

とっさの会話で「あ、すいません!」と言ってしまっても、それで評価がガタ落ちすることは稀です。しかし、落ち着いた場面や、改まった席での発言では「すみません」や「申し訳ありません」と言えるようになると、「きちんとした人だな」という信頼感につながります。まずはメール(書き言葉)から矯正していき、徐々に口癖も直していくのがおすすめです。


まとめ:言葉選び一つで信頼は変わる

この記事では、「すみません」と「すいません」の違いと、ビジネスシーンでの適切な使い分けについて解説してきました。

  • 「すいません」は口語(話し言葉)。 メールなどの書き言葉ではNG。
  • 基本は「すみません」。 でも、謝罪なら「申し訳ありません」がベスト。
  • 感謝なら「ありがとうございます」、依頼なら「恐れ入りますが」に変換する。

たったこれだけのルールですが、知っているのと知らないのとでは、メールを受け取った相手が抱く印象は天と地ほど違います。

「言葉を知っている」ということは、あなた自身を守る武器になります。

もう、「これで失礼じゃないかな?」と不安になりながら送信ボタンを押す必要はありません。

自信を持ってメールを送信し、次の業務に集中しましょう。

あなたの誠意は、正しい言葉を選べば必ず相手に伝わります。


参考文献

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