いざ起業しようと思ったとき、最初に悩みやすいのが「オフィスをどうするか」です。
自宅住所を使うのは少し不安。かといって、いきなり賃貸オフィスを借りるほどの余裕はない。
そこで候補に上がるのが、シェアオフィス、レンタルオフィス、コワーキングスペース、バーチャルオフィスなどのフレキシブルなオフィスです。
でも、調べれば調べるほど、こんな疑問が出てきませんか?
- シェアオフィスとレンタルオフィスは何が違うの?
- 法人登記はできるの?
- 法人口座の審査で不利にならない?
- IT企業なら個室を選ぶべき?
- 安いプランでも大丈夫?
- セキュリティ面はどこまで確認すればいい?
結論からいうと、ITスタートアップの場合、安さだけでオープンスペース型のオフィスを選ぶのはおすすめできません。
特に、法人登記、法人口座開設、情報セキュリティ、将来の採用や許認可まで考えるなら、個室型レンタルオフィスや専有スペース付きのサービスオフィスを優先して検討すると安心です。
ただし、「シェアオフィスでは絶対に口座が作れない」「個室型レンタルオフィスなら必ず審査に通る」というわけではありません。
金融機関の審査では、オフィス形態だけでなく、事業内容、契約書、実態の説明、本人確認、取引目的、資本金、Webサイト、請求書・契約書など、さまざまな情報が見られます。
この記事では、ITスタートアップがオフィス選びで失敗しないために、シェアオフィス・レンタルオフィス・コワーキングスペースの違い、法人登記や法人口座の注意点、内見時のチェックポイントを初心者にもわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- シェアオフィス・レンタルオフィス・コワーキングスペースの違い
- ITスタートアップに個室型オフィスが向きやすい理由
- 法人登記で確認すべきポイント
- 法人口座開設で見られやすい事業実態
- 情報漏洩を防ぐためのオフィス選び
- 許認可やPマーク・ISMSを見据えた注意点
- 内見時にチェックしたい項目
【著者プロフィール】
吉沢 誠(起業支援コンサルタント 兼 オフィス移転アドバイザー)
過去10年間で300社以上のスタートアップのオフィス選定・法人登記・資金調達を支援。起業家の熱意をリスペクトしつつも、実務的な落とし穴(特に法務・財務面)については忖度なく厳しく、かつ親身にアドバイスする「頼れる先輩経営者・メンター」として活動中。
まず結論:ITスタートアップは「個室・登記可・セキュリティ確認済み」を基準に選ぶ
ITスタートアップのオフィス選びでは、月額料金の安さだけで決めないことが大切です。
なぜなら、IT企業は次のような情報を日常的に扱うことが多いからです。
- 顧客情報
- 開発中のソースコード
- サービスの管理画面
- 取引先との契約情報
- 資金調達資料
- 採用面談の内容
- 経営会議の情報
オープンスペース型のシェアオフィスやコワーキングスペースは、費用を抑えやすく、気軽に使えるメリットがあります。
一方で、重要なWeb会議の声が周囲に聞こえたり、PC画面を見られたり、郵便物の管理に不安が残ったりすることもあります。
そのため、ITスタートアップが登記住所や日常の拠点として使うなら、次の3つを基準にすると失敗しにくくなります。
- 法人登記に対応していること
- 施錠できる個室または専有スペースがあること
- 通信・郵便・会議・セキュリティの運用が明確であること
この条件を満たしやすいのが、個室型レンタルオフィスや、個室付きのサービスオフィスです。
ただし、事業の段階によって最適解は変わります。
まだ副業段階で作業場所だけ欲しいならコワーキングスペース、法人登記だけ必要ならバーチャルオフィス、本格的に顧客対応や採用を始めるなら個室型レンタルオフィス、というように目的で選びましょう。
シェアオフィス・レンタルオフィス・コワーキングスペースの違い
まずは、よく混同される言葉を整理しましょう。
最近は、これらをまとめて「フレキシブルオフィス」と呼ぶことがあります。
フレキシブルオフィスとは、従来の賃貸オフィスのように長期契約や大きな内装工事を前提とせず、比較的柔軟に使えるオフィスの総称です。
ただし、名称に明確な統一ルールがあるわけではありません。
同じ「シェアオフィス」という名前でも、施設によっては個室があったり、登記できたり、会議室が充実していたりします。
反対に「レンタルオフィス」と書かれていても、完全個室ではなく半個室の場合もあります。
大切なのは、名前だけで判断せず、契約内容と設備を確認することです。

シェアオフィスとは
シェアオフィスは、複数の利用者が同じオフィス空間を共有するタイプのオフィスです。
固定席、フリーアドレス席、ブース席、半個室など、施設によって形はさまざまです。
費用を抑えやすく、初期費用も比較的軽いことが多いため、起業初期やフリーランスに人気があります。
ただし、共有スペースが中心の場合、機密性や防音性は限定的です。
レンタルオフィスとは
レンタルオフィスは、専用の部屋や席を借りて使うタイプのオフィスです。
個室が用意されていることが多く、法人登記や郵便物受け取り、会議室利用、受付サービスなどが付いている施設もあります。
ITスタートアップが法人の拠点として使う場合は、完全個室か、施錠できるか、防音性はあるか、登記できるかを確認しましょう。
コワーキングスペースとは
コワーキングスペースは、作業場所として使えるだけでなく、利用者同士の交流やコミュニティを重視した空間です。
イベント、勉強会、交流会などが行われる施設もあります。
起業仲間を見つけたい、外で集中して作業したい、打ち合わせ場所を確保したいという方には便利です。
一方で、登記や機密性の高い業務に向いているかは、施設ごとの確認が必要です。
バーチャルオフィスとは
バーチャルオフィスは、主に住所利用や郵便物受け取りを目的としたサービスです。
作業スペースをほとんど使わず、法人登記用の住所や郵便物管理を利用したい場合に選ばれます。
費用は抑えやすい一方で、物理的な事務所が必要な業種や許認可には向かない場合があります。
また、法人口座開設時には、事業の実態をどのように説明できるかが重要になります。
比較表:スタートアップ向けオフィス4種類の違い
| 種類 | 主な特徴 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| シェアオフィス | 複数人で空間を共有。固定席や半個室がある場合も | 低コストで作業場所を確保したい人 | 登記可否、防音性、郵便管理、セキュリティを確認 |
| レンタルオフィス | 専用個室や専有スペースを利用しやすい | 法人登記、顧客対応、採用、Web会議が多い企業 | 完全個室か半個室か、追加費用がないか確認 |
| コワーキングスペース | 交流や作業場所として使いやすい | 副業、フリーランス、起業準備中、外作業が多い人 | 機密会議や登記住所として使えるかは施設次第 |
| バーチャルオフィス | 住所利用・郵便物受け取りが中心 | 自宅住所を公開したくない人、リモート中心の事業 | 許認可、法人口座、実態説明、郵便対応を確認 |
ITスタートアップに個室型レンタルオフィスが向きやすい理由
ITスタートアップにとって、オフィスは単なる作業場所ではありません。
会社の信用、情報管理、採用、取引先との関係にも関わる場所です。
理由1:法人登記や事業実態を説明しやすい
会社を設立する場合、本店所在地の登記が必要です。
バーチャルオフィスやシェアオフィスでも登記できるサービスはありますが、法人口座開設や取引先審査では、事業の実態を説明できることが大切です。
個室型レンタルオフィスであれば、契約書、利用場所、専用スペース、郵便物受け取り、固定電話や受付サービスなどを示しやすくなります。
ただし、個室であれば必ず法人口座が開設できるわけではありません。
銀行は、事業内容、代表者の本人確認、資本金、取引目的、実質的支配者、Webサイト、契約書や請求書などを総合的に確認します。
オフィスはそのうちのひとつの要素と考えましょう。
理由2:Web会議や商談の内容を守りやすい
IT企業では、オンライン会議が日常的に行われます。
顧客との仕様確認、システム障害の対応、資金調達の面談、採用面接など、外に聞かれてはいけない内容も多いですよね。
オープンスペースでは、声の内容が周囲に聞こえたり、画面を見られたりする可能性があります。
完全個室や防音性のある会議室が使える環境なら、情報漏洩リスクを下げやすくなります。
理由3:採用や取引先への印象が安定しやすい
起業初期は、会社の信用を積み上げていく時期です。
採用候補者や取引先がオフィスに来る場合、受付、会議室、清潔感、アクセスの良さは印象に関わります。
もちろん、立派なオフィスがあれば成功するわけではありません。
ただ、最低限の打ち合わせ環境が整っていると、相手に安心感を持ってもらいやすくなります。
理由4:許認可や認証を見据えやすい
将来的に、有料職業紹介事業、労働者派遣事業、古物商、宅建業、士業事務所など、許認可が必要な事業へ広げる場合は、事務所要件の確認が必要です。
業種によっては、独立性のある事務所、面談スペース、鍵の管理、帳簿や個人情報の保管体制などが求められることがあります。
また、PマークやISMSの取得を目指す場合も、物理的な安全管理、入退室管理、書類や端末の保管ルールなどを整える必要があります。
最初から完璧にする必要はありませんが、将来の事業計画に合わせて、施設側に対応実績があるか確認しておきましょう。
安いシェアオフィスを選ぶ前に確認したい3つのリスク
シェアオフィスやコワーキングスペースが悪いわけではありません。
むしろ、起業初期のコストを抑えられ、働く場所を柔軟に確保できる便利な選択肢です。
ただし、法人の本店所在地や日常の業務拠点として使うなら、次のリスクを理解しておきましょう。
リスク1:法人口座開設で説明が必要になることがある
シェアオフィスやバーチャルオフィスの住所でも、法人口座開設が不可能とは限りません。
ただし、金融機関はマネーロンダリング対策などの観点から、法人の実態や取引目的を確認します。
そのため、住所だけを借りているように見える場合や、事業内容が説明しにくい場合は、追加資料を求められることがあります。
起業直後は実績が少ないため、次のような資料を準備しておくと安心です。
- 会社概要
- 事業計画書
- サービスサイトやLP
- 代表者の職歴・実績
- 取引予定先の情報
- 契約書・見積書・請求書のひな形
- オフィス契約書
- 登記住所で郵便物を受け取れる証明
「個室なら絶対に通る」「シェアオフィスなら絶対に落ちる」と考えるのではなく、事業の実態を説明できる準備をしましょう。
リスク2:情報漏洩につながる場面がある
オープンスペースでは、周囲に他社の利用者がいます。
そのため、次のような場面では注意が必要です。
- 顧客名を出してWeb会議をする
- 開発画面や管理画面を開く
- 資金調達資料を画面に表示する
- 採用面接をオンラインで行う
- 障害対応で機密情報を話す
- 契約書や請求情報を机に置く
IT企業の場合、情報管理は信用に直結します。
作業場所としてシェアオフィスを使う場合でも、重要な会議は個室ブースや会議室を使う、覗き見防止フィルターを貼る、公共Wi-Fiで管理画面に入らないなどの対策が必要です。
リスク3:許認可や認証で使えない場合がある
許認可が必要な事業では、事務所の独立性や設備が条件になることがあります。
たとえば、人材紹介、派遣、不動産、古物商、一部の士業などでは、バーチャルオフィスや共有スペースだけでは難しい場合があります。
また、PマークやISMSを考えている企業では、書類や端末の管理、入退室管理、来客管理なども見られます。
将来、許認可や認証を取得する予定がある場合は、契約前に次の点を確認しておきましょう。
- その施設で同じ許認可を取得した実績があるか
- 完全個室か半個室か
- 施錠できるか
- 書類や端末を保管できるか
- 来客対応や面談スペースを確保できるか
- 契約書に専有スペースの記載があるか
事業フェーズ別・おすすめのオフィス選び
オフィス選びに絶対の正解はありません。
大切なのは、自社のフェーズに合った選択をすることです。
| 事業フェーズ | おすすめ候補 | 重視したいポイント |
|---|---|---|
| 副業・起業準備中 | コワーキングスペース、バーチャルオフィス | 低コスト、作業場所、住所公開対策 |
| 法人設立直後 | 登記可能なシェアオフィス、個室型レンタルオフィス | 登記可否、郵便物、法人口座資料、契約書 |
| 顧客対応が増える時期 | 個室型レンタルオフィス、サービスオフィス | 会議室、防音性、受付、アクセス |
| 採用を始める時期 | 個室型レンタルオフィス、専有区画ありのオフィス | 面談環境、会社の印象、チーム作業のしやすさ |
| 許認可・認証を目指す時期 | 完全個室、賃貸オフィス、要件対応済みレンタルオフィス | 独立性、施錠、書類保管、入退室管理 |
内見時に必ず確認したいチェックポイント
オフィス選びで失敗しないためには、Webサイトの料金表だけで決めないことが大切です。
必ず内見し、実際の音、広さ、導線、セキュリティを確認しましょう。
1. 法人登記は可能か
まず確認したいのは、法人登記の可否です。
「住所利用可」と書かれていても、法人登記は別料金の場合があります。
確認したいポイントは次の通りです。
- 法人登記できるか
- 登記利用料は月額に含まれるか
- 契約書に登記利用が明記されるか
- 社名表示はできるか
- 登記できる住所表記はどのようになるか
- 同じ住所に多数の法人が登記されていないか
2. 完全個室か半個室か
「個室」と書かれていても、天井まで壁がない半個室の場合があります。
半個室は、費用を抑えやすい反面、音が漏れやすいことがあります。
ITスタートアップで機密性の高いWeb会議を行うなら、次の点を確認しましょう。
- 天井まで壁があるか
- 扉に鍵があるか
- 隣室の声が聞こえないか
- 廊下に会話が漏れないか
- 会議室やフォンブースを使えるか
- 夜間・早朝の利用時もセキュリティが保たれるか
3. 郵便物・宅配物の受け取り体制
法人運営では、税務署、年金事務所、法務局、銀行、取引先からの郵便物が届きます。
郵便物の受け取り体制が不安定だと、大切な書類を見落とす原因になります。
次の点を確認しましょう。
- 郵便物は誰が受け取るか
- 受け取り通知はあるか
- 転送頻度はどれくらいか
- 転送費用はいくらか
- 書留や本人限定郵便に対応できるか
- 宅配便や大型荷物は受け取れるか
4. 追加費用がどこまでかかるか
月額料金が安く見えても、オプションを足すと高くなることがあります。
契約前に、月額費用だけでなく総額で確認しましょう。
- 入会金
- 保証金
- 事務手数料
- 法人登記利用料
- 郵便転送料
- 会議室利用料
- 電話代行料
- ロッカー利用料
- 社名プレート費用
- 退去時費用
「月額だけ安い」ではなく、1年間使った場合の総額で比較すると失敗しにくいです。
5. ネットワーク環境とセキュリティ
IT企業にとって、通信環境はとても重要です。
共有Wi-Fiだけで業務を行う場合、セキュリティや速度に不安が残ることがあります。
次の点を確認しましょう。
- 有線LANは使えるか
- 専用回線を引けるか
- 固定IPが必要な場合に対応できるか
- Wi-Fiは利用者ごとに分離されているか
- 通信速度は業務に十分か
- 障害時のサポート体制はあるか
- ネットワーク利用規約は明確か
機密性の高い業務を行う場合は、自社でVPNや端末管理、覗き見防止フィルターなどの対策も行いましょう。
6. 会議室・フォンブースの使いやすさ
スタートアップは、オンライン商談、採用面談、投資家面談、チームミーティングが多くなりがちです。
個室があっても、毎回その部屋で会議できるとは限りません。
会議室やフォンブースの数、予約の取りやすさ、料金を確認しましょう。
- 会議室は何室あるか
- 何日前から予約できるか
- 無料枠はあるか
- 直前予約できるか
- フォンブースは十分あるか
- 防音性はあるか
7. 契約期間と解約条件
スタートアップは、成長スピードが早く、人数も変わりやすいです。
契約期間が長すぎると、移転や増床の負担になることがあります。
次の点を確認しましょう。
- 最低契約期間
- 解約予告期間
- 増席・減席のしやすさ
- 別拠点への移動可否
- 退去時費用
- 契約更新料
法人口座開設に向けて準備したい資料
法人口座の開設では、金融機関ごとに必要資料や審査基準が異なります。
ただ、起業直後の会社が準備しておくとよい資料には共通点があります。
- 登記事項証明書
- 定款
- 代表者の本人確認書類
- 法人番号
- 事業内容がわかる資料
- 会社ホームページやサービスページ
- 取引先との契約書・見積書・請求書
- オフィス契約書
- 許認可が必要な場合は許認可証
- 資本金や出資者がわかる資料
特に、フレキシブルオフィスやバーチャルオフィスを登記住所にする場合は、「ここでどのように事業を行っているのか」を説明できるようにしておくと安心です。
事業の実態がわかるWebサイトや契約書、請求予定の資料があると、説明しやすくなります。
ITスタートアップ向け・オフィス選びのチェックリスト
最後に、内見・契約前に使えるチェックリストをまとめます。
| チェック項目 | 確認内容 | 重要度 |
|---|---|---|
| 法人登記 | 登記可能か、追加料金があるか、契約書に明記されるか | 高 |
| 個室性 | 完全個室か、施錠できるか、半個室ではないか | 高 |
| 防音性 | Web会議の声が漏れにくいか、会議室が使いやすいか | 高 |
| 通信環境 | 有線LAN、専用回線、Wi-Fi分離、速度、障害時対応 | 高 |
| 郵便物 | 受け取り、通知、転送、書留対応、費用 | 高 |
| 会議室 | 予約の取りやすさ、料金、来客対応 | 中 |
| 追加費用 | 登記、郵便、会議室、電話、ロッカー、退去費用 | 高 |
| 許認可対応 | 自社の業種で利用できるか、同業の実績があるか | 高 |
| 契約条件 | 最低契約期間、解約予告、増席・減席の柔軟性 | 中 |
| アクセス | 駅からの距離、取引先・採用候補者の来やすさ | 中 |
よくある質問
Q. シェアオフィスで法人登記しても大丈夫ですか?
A. 登記可能なシェアオフィスであれば、法人登記自体はできる場合があります。ただし、法人口座開設や許認可、郵便物管理、取引先審査で説明が必要になることがあります。契約前に、登記可否、契約書への記載、郵便物対応、同業の利用実績を確認しましょう。
Q. バーチャルオフィスだと法人口座は作れませんか?
A. 必ず作れないわけではありません。ただし、金融機関は事業実態や取引目的を確認します。住所だけでなく、事業内容、Webサイト、契約書、代表者の実績、取引予定などを説明できるように準備することが大切です。
Q. 個室型レンタルオフィスなら法人口座は必ず開設できますか?
A. 必ず開設できるわけではありません。個室型オフィスは事業実態を説明しやすい材料のひとつですが、審査では事業内容、本人確認、資本金、取引目的、実質的支配者なども確認されます。
Q. IT企業は必ず完全個室を選ぶべきですか?
A. 顧客情報、開発情報、採用面談、資金調達資料などを扱うなら、完全個室や防音会議室がある環境のほうが安心です。ただし、起業準備中や個人作業中心なら、コワーキングスペースから始める選択肢もあります。
Q. PマークやISMSを取る予定がある場合、何を確認すればいいですか?
A. 入退室管理、書類や端末の保管、来客管理、施錠、ネットワーク管理、従業員の利用ルールを確認しましょう。施設側に取得企業の利用実績があるか聞いておくと安心です。
Q. 一番安いプランを選んでも問題ありませんか?
A. 作業場所として短時間使うだけなら問題ない場合もあります。ただし、法人登記、郵便物、法人口座、採用、商談、セキュリティまで考えるなら、安さだけで選ばないほうが安全です。必要な機能を足した総額で比較しましょう。
まとめ:ITスタートアップのオフィス選びは「安さ」より「信用・実態・セキュリティ」
起業初期は、できるだけ固定費を抑えたいものです。
そのため、安いシェアオフィスやバーチャルオフィスに魅力を感じるのは自然なことです。
しかし、ITスタートアップの場合、オフィスは単なる住所や作業場所ではありません。
法人登記、法人口座開設、情報セキュリティ、採用、取引先からの信用に関わる大切な基盤です。
今回のポイントをまとめます。
- シェアオフィス、レンタルオフィス、コワーキングスペースは名称だけで判断しない
- ITスタートアップは、個室性・登記可否・セキュリティを重視する
- シェアオフィスやバーチャルオフィスでも登記・口座開設が可能なケースはある
- ただし、事業実態を説明できる資料の準備が重要
- 個室型レンタルオフィスでも、法人口座開設が保証されるわけではない
- Web会議、PC画面、郵便物、ネットワークの管理を確認する
- 許認可やPマーク・ISMSを考えるなら、事務所要件を事前に確認する
- 料金は月額だけでなく、登記・郵便・会議室などを含めた総額で比較する
目先の安さだけで選ぶと、あとから登記変更、口座開設のやり直し、移転、セキュリティ対策で余計な費用がかかることがあります。
反対に、最初から自社に必要な条件を整理して選べば、小さく始めながらも信用と安全性を守れます。
まずは、候補の施設に「法人登記」「法人口座開設時の資料」「完全個室」「郵便物」「通信環境」「許認可対応」の6点を確認してみてください。
あなたの事業が安心して成長できる、ちょうどよいオフィス選びにつながります。
参考情報
- 金融庁「金融機関におけるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策について」
- 金融庁「金融機関窓口や郵送書類等による確認手続にご協力ください」
- CBRE「これからのフレキシブルオフィスマーケット」
- CBRE「2025 Tokyo Flexible Office Market」
- JLL「Tokyo flex space regains growth momentum in 2025」
- 国税庁「法人番号公表サイト」
🎨 デザイナー向け指示書:インフォグラフィック
件名:ITスタートアップ向けオフィス選びチェックマップ
目的:起業初期の読者が、シェアオフィス・レンタルオフィス・コワーキングスペース・バーチャルオフィスの違いを理解し、自社に合うオフィスを選べるようにする。
タイトル:安さだけで選ばない!ITスタートアップのオフィス選び5つの基準
- 左上:4種類の比較。「シェアオフィス=共有」「レンタルオフィス=専有」「コワーキング=交流」「バーチャルオフィス=住所利用」とアイコン付きで表示。
- 右上:IT企業が重視すべき3要素。「法人登記」「情報セキュリティ」「法人口座の説明資料」を大きく配置。
- 中央:おすすめ判断フロー。「作業場所だけ?」→コワーキング、「登記住所だけ?」→バーチャルオフィス、「顧客対応・採用あり?」→個室型レンタルオフィス。
- 左下:内見チェックリスト。「完全個室」「防音」「郵便物」「有線LAN」「会議室」「追加費用」をチェックボックス化。
- 右下:注意枠。「個室でも口座開設が保証されるわけではありません。事業実態を説明できる資料を準備」と記載。
デザインの方向性:スタートアップ向けの信頼感あるビジネスデザイン。白・ネイビー・ブルーを基調に、チェックポイントはグリーン、注意点はオレンジで強調。スマホでも読める縦長レイアウト。
参考altテキスト:ITスタートアップがシェアオフィス、レンタルオフィス、コワーキングスペース、バーチャルオフィスを比較し、法人登記、法人口座、セキュリティ、内見チェック項目を確認する図解。