【この記事を書いた人】
歴史・文化ナビゲーター / 2児の父日本の歴史的建造物の分かりやすい解説や、ファミリー向け知育観光ガイドを専門としています。旅行メディアでの連載多数。難解な歴史を「家族で楽しめるストーリー」に変換してお届けします。同じ父親として、子供に「すごい!」と言わせたいパパの気持ちに深く共感し、週末の家族旅行を全力でサポートします。
家族で日光東照宮へ行く予定があるとき、子どもからこんな質問をされたら、少しドキッとしませんか?
「三猿(さんざる・さんえん)って、どういう意味?」
「なんで目と耳と口をかくしているの?」
「見ざる・言わざる・聞かざるって、何?」
有名な言葉なのに、いざ子どもに説明しようとすると、意外と難しいですよね。
「悪いことを見ない、聞かない、言わないってことだよ」と答えるだけでも間違いではありません。
でも実は、日光東照宮の三猿には、もっと深い意味があります。
三猿は、神厩舎にある8面の猿の彫刻のうちのひとつです。
そして、その8面の彫刻全体で、人間の一生が表されているといわれています。
つまり三猿は、ただの有名な彫刻ではなく、子どもの成長を願う親の思いや、人生の流れを伝える大切な場面なのです。
この記事では、日光東照宮の三猿の意味、神厩舎の8枚の猿彫刻、子どもにわかりやすく伝えるコツ、四猿や英語表現まで、親子旅行で使えるやさしい言葉で解説します。
この記事でわかること
- 日光東照宮の三猿の意味
- 「見ざる・言わざる・聞かざる」の子ども向け説明
- 三猿がある神厩舎とはどんな建物か
- 8面の猿彫刻が表す人生ストーリー
- 三猿だけを見て帰るともったいない理由
- 四猿という考え方
- 英語での三猿の言い方
- 現地で子どもに話せる豆知識
日光東照宮の三猿とは?
日光東照宮の三猿は、「見ざる・言わざる・聞かざる」で知られる有名な猿の彫刻です。
それぞれの猿は、目、口、耳を手で隠しています。
- 目を隠す猿:見ざる
- 口を隠す猿:言わざる
- 耳を隠す猿:聞かざる
よく知られている意味は、悪いことを見ない、悪いことを言わない、悪いことを聞かない、という教えです。
ただし、日光東照宮の三猿は、それだけで終わる話ではありません。
三猿は、神厩舎に彫られた8面の猿の彫刻のうち、2枚目にあたる場面です。
その8面の彫刻は、人間の一生を表しているとされ、三猿はその中の「幼少期」を象徴する場面と考えられています。
三猿がある場所は「神厩舎」
三猿が彫られているのは、日光東照宮の神厩舎です。
神厩舎は「しんきゅうしゃ」と読みます。
簡単にいうと、神様に仕える馬をつなぐための厩、つまり馬小屋です。
日光東照宮の公式説明では、昔から猿が馬を守るとされていたことから、神厩舎の長押上に猿の彫刻が8面あるとされています。
その中でも特に有名なのが、三猿の彫刻です。
子どもへの説明例
「この建物は、神様の馬がいる場所だったんだよ。昔の人は、猿が馬を守ってくれると考えていたから、ここに猿の彫刻があるんだよ」
このように話すと、子どもにも「なぜ猿がいるのか」が伝わりやすくなります。
「見ざる・言わざる・聞かざる」の意味
三猿の「見ざる・言わざる・聞かざる」は、よく道徳的な教えとして説明されます。
悪いものを見ない。
悪いことを言わない。
悪い話を聞かない。
このような意味で知られています。
ただ、子どもに説明するときは、少しやわらかく伝えるのがおすすめです。
子ども向けに言い換えるなら
「小さいうちは、悪いことや人を傷つける言葉にあまりふれず、やさしい心を育ててね、という願いが込められているんだよ」
「悪いことをするな」と言うよりも、「きれいな心で育ってほしいという親の願い」と伝えると、子どもにも温かく伝わります。
特に三猿は、8面の人生ストーリーの中では幼い時期を表す場面です。
そのため、親が子どもを守りたい、まっすぐ育ってほしいという願いと重ねて説明すると、家族旅行の会話にもぴったりです。
三猿は「8枚の人生ストーリー」の一部
日光東照宮の三猿を見に行くと、つい三猿だけを写真に撮って満足してしまいがちです。
でも、実はそれだけでは少しもったいないです。
神厩舎には、三猿を含む8面の猿の彫刻があります。
その8面全体で、人間の一生が表されているといわれています。
つまり三猿は、物語の中の1場面です。
1枚目から順番に見ていくと、子どもの誕生、成長、自立、悩み、恋愛、結婚、新しい命へとつながる人生の流れが見えてきます。

神厩舎の8枚の猿彫刻をやさしく解説
ここからは、神厩舎の8枚の猿彫刻を、親子で楽しみやすい言葉で紹介します。
現地で見るときは、三猿だけでなく、できれば1枚目から順番に探してみてください。
1枚目:母猿と子猿
1枚目には、母猿と子猿が表されています。
母猿が子猿を見守る姿は、親が子どもの未来を思う場面のように見えます。
これから始まる人生の物語のスタートです。
子どもへの声かけ例
「これは赤ちゃんのころの場面だよ。お母さん猿が、子どもを大切に見守っているんだね」
2枚目:三猿
2枚目が、有名な三猿です。
目、口、耳を隠した3匹の猿が描かれています。
幼いころは、悪いものを見たり、聞いたり、言ったりせず、素直な心で育ってほしいという教えとして語られます。
子どもへの声かけ例
「小さいうちは、いやな言葉や悪いことにふれすぎず、やさしい心で大きくなってね、という願いがあるんだよ」
3枚目:自立の準備
3枚目は、少し成長した猿の姿とされています。
親のもとを離れ、これから自分で歩き出そうとする時期です。
子どもが少しずつ自分の世界を広げていく姿に重ねることができます。
子どもへの声かけ例
「大きくなると、少しずつ自分で考えて動くようになるんだね」
4枚目:希望を見上げる青年期
4枚目は、若い猿が上を見上げる姿として紹介されることがあります。
夢や希望を持って、これからの人生を見つめるような場面です。
空を見上げる姿から、未来へ向かう前向きな気持ちを感じられます。
子どもへの声かけ例
「大きくなったら、やってみたいことや夢を見つけるんだね」
5枚目:悩みや励まし
人生には、楽しいことばかりではありません。
5枚目は、悩みや迷い、友だちの励ましを思わせる場面として語られます。
うまくいかない時期にも、そばで支えてくれる人がいることを感じられる場面です。
子どもへの声かけ例
「困ったときは、ひとりでがんばらなくてもいいんだよ。助けてくれる人がいるんだね」
6枚目:恋や迷い
6枚目は、恋愛や心の迷いを表す場面として説明されることがあります。
子どもには少し難しいテーマですが、「大人になると、大切な人のことで悩むこともあるんだよ」とやさしく伝えるとよいでしょう。
子どもへの声かけ例
「大人になると、人を大切に思う気持ちも出てくるんだね」
7枚目:結婚と人生の荒波
7枚目は、結婚や夫婦で人生を進む姿として語られることがあります。
人生には波のように大変なこともあります。
それでも、誰かと力を合わせて乗り越えていくというメッセージを感じられます。
子どもへの声かけ例
「大人になると、家族や大切な人と一緒に、いろいろなことを乗り越えていくんだね」
8枚目:新しい命へ
8枚目は、新しい命へつながる場面として語られます。
そして、また1枚目の母猿と子猿へつながっていくように、人生がめぐっていくと考えられます。
8面の猿彫刻は、人生の流れをぐるりと見せてくれる物語なのです。
子どもへの声かけ例
「最後はまた新しい赤ちゃんにつながっていくんだね。命はこうやって続いていくんだね」
親子で見るなら「三猿だけ」で終わらせない
日光東照宮では、三猿の前に人が集まりやすく、写真を撮ってすぐ次へ進みたくなることもあります。
でも、親子で行くなら、三猿の前後の彫刻もぜひ見てみてください。
子どもにとっても、「これは赤ちゃん」「これは大きくなったところ」「これは悩んでいるところ」と物語として見ると、ぐっと楽しみやすくなります。
現地での楽しみ方
- まず三猿を探す
- そのあと1枚目に戻って順番に見る
- 「これは何をしている猿かな?」と子どもに聞いてみる
- 親が答えを全部言わず、想像させる
- 最後に「人生の物語になっているんだよ」と伝える
歴史の説明が難しくても、彫刻を見ながら親子で想像するだけで、楽しい学びになります。
三猿のルーツには諸説あり
三猿は、日本語の「ざる」と「猿」をかけた言葉遊びとしても有名です。
見ざる、聞かざる、言わざる。
この「ざる」が猿と結びつき、3匹の猿で表されるようになったと説明されることがあります。
また、三猿の考え方は、日本だけでなく世界にも広がっています。
ただし、ルーツについては諸説あります。
『論語』の「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言、非礼勿動」という教えと結びつけて説明されることもあります。
これは、「礼に反することは見ない、聞かない、言わない、行わない」という意味です。
日光東照宮の三猿を見るときは、こうした思想や言葉遊びが重なり合っていると考えると、より奥深く感じられます。
幻の4匹目?四猿という考え方
三猿には、「四猿」という考え方もあります。
四猿は、見ざる、聞かざる、言わざるに加えて、「せざる」を入れた4匹の猿です。
「せざる」は、悪いことをしない、礼に外れた行いをしない、という意味で語られることがあります。
『論語』の「非礼勿動」と結びつけて説明されることもあります。
ただし、日光東照宮の神厩舎にある有名な彫刻は三猿です。
四猿については、地域や文化によって語られる説のひとつとして紹介するとよいでしょう。
子どもへの豆知識
「実は、国や場所によっては4匹目の猿がいると考えることもあるんだって。4匹目は“悪いことをしない”という意味で語られることがあるんだよ」
「4匹目がいるかもしれない」と話すと、子どもは興味を持ちやすいです。
ただし、「日光東照宮に4匹目が隠れている」と断定しないようにしましょう。
三猿は英語で何という?
三猿は、英語では「Three wise monkeys」と呼ばれることがあります。
直訳すると、「3匹の賢い猿」です。
英語では、次のように表現されます。
- See no evil:悪いものを見ない
- Hear no evil:悪いことを聞かない
- Speak no evil:悪いことを言わない
子どもが英語に興味を持ち始めているなら、現地で教えてあげるのも楽しいです。
親子で言ってみよう
See no evil.
Hear no evil.
Speak no evil.
むずかしく感じる場合は、「悪いものを見ない、聞かない、言わないって英語でも言うんだよ」と伝えるだけでも十分です。
現地で子どもに話せる簡単解説
日光東照宮の現地で、子どもに長い説明をするのは難しいですよね。
人も多く、次の見どころへ進みたくなることもあります。
そんなときは、短い言葉で伝えるのがおすすめです。
3歳〜5歳向け
「このお猿さんはね、悪いものを見ない・聞かない・言わないで、やさしい心で大きくなってね、という意味なんだよ」
小学生向け
「三猿は、8枚ある猿の彫刻の2枚目なんだよ。全部見ると、赤ちゃんから大人になるまでの人生の物語になっているんだ」
歴史好きの子向け
「三猿は日本だけでなく、世界でも知られているんだよ。英語ではThree wise monkeysって言うんだ」
子どもの年齢に合わせて、短く伝えるのがポイントです。
全部説明しようとしなくても、ひとつでも「へえ!」と思ってくれたら大成功です。
日光東照宮で三猿を見るときの親子観光ポイント
三猿は人気スポットなので、混雑していることもあります。
子ども連れで見るときは、少しだけ工夫すると楽しみやすくなります。
親子で見やすくするコツ
- 人が多いときは無理に前へ行かない
- 写真を撮る前に、まず子どもに実物を見せる
- 「どの猿が何を隠している?」とクイズにする
- 三猿の後ろや横の彫刻も探してみる
- 長く説明しすぎず、短い言葉で伝える
- 眠り猫など他の動物彫刻も一緒に楽しむ
三猿は、写真で見るより実物のほうが、表情や色合いに味わいがあります。
子どもに「このお猿さん、どんな気持ちだと思う?」と聞いてみるのもおすすめです。
三猿と一緒に見たい日光東照宮の動物彫刻
日光東照宮には、三猿以外にも有名な動物彫刻があります。
親子で行くなら、動物探しのように楽しむのもよいでしょう。
眠り猫
日光東照宮の有名な彫刻のひとつが、眠り猫です。
小さな彫刻ですが、平和への願いが込められていると語られることがあります。
三猿と合わせて見ると、子どもにも「動物の彫刻がたくさんある場所」として印象に残りやすくなります。
想像の象
上神庫には「想像の象」と呼ばれる彫刻があります。
本物の象を見たことがない人が、話を聞いて想像で描いたと伝えられるユニークな彫刻です。
子どもには「昔の人が想像して作った象なんだよ」と話すと、興味を持ちやすいです。
よくある質問
Q. 日光東照宮の三猿の意味は何ですか?
A. 一般的には「悪いことを見ない、聞かない、言わない」という教えとして知られています。日光東照宮では、神厩舎にある8面の猿彫刻のうち2枚目で、幼少期の教えとして語られます。
Q. 三猿はどこにありますか?
A. 日光東照宮の神厩舎にあります。神厩舎は神様に仕える馬をつなぐ建物で、猿が馬を守るとされたことから猿の彫刻が施されています。
Q. 三猿だけでなく、ほかにも猿の彫刻がありますか?
A. はい。神厩舎には三猿を含む8面の猿の彫刻があります。全体で人間の一生を表しているとされています。
Q. 三猿は8枚のうち何枚目ですか?
A. 三猿は、8面の猿彫刻のうち2枚目として紹介されることが多いです。幼少期を表す場面として語られます。
Q. 三猿の順番は「見ざる・言わざる・聞かざる」ですか?
A. 一般的には「見ざる・聞かざる・言わざる」と言われることもあれば、「見ざる・言わざる・聞かざる」と表記されることもあります。大切なのは、目・耳・口を隠した3匹の猿が、悪いものを避ける教えを表している点です。
Q. 三猿には4匹目がいるのですか?
A. 「せざる」を加えた四猿という考え方があります。ただし、日光東照宮の有名な神厩舎の彫刻は三猿です。四猿は、地域や文化によって語られる別の説として紹介するとよいでしょう。
Q. 三猿は英語で何と言いますか?
A. 「Three wise monkeys」と呼ばれることがあります。See no evil、Hear no evil、Speak no evilという表現でも知られています。
まとめ:三猿は、親子で人生を学べる小さな物語
日光東照宮の三猿は、ただの有名な観光スポットではありません。
神厩舎にある8面の猿彫刻の中の1場面であり、人間の一生を表す物語の一部です。
今回のポイントをまとめます。
- 三猿は日光東照宮の神厩舎にある有名な彫刻
- 神厩舎は神様に仕える馬をつなぐ建物
- 猿は昔から馬を守ると考えられていた
- 神厩舎には三猿を含む8面の猿彫刻がある
- 8面全体で人間の一生を表しているとされる
- 三猿は幼少期の教えを表す場面
- 「悪いものを見ない・聞かない・言わない」という意味で知られる
- 子どもには「やさしい心で育ってほしいという願い」と伝えるとわかりやすい
- 四猿や英語表現など、世界に広がる豆知識もある
- 現地では三猿だけでなく、8面の彫刻を順番に見るのがおすすめ
日光東照宮へ行くときは、三猿の前で写真を撮るだけでなく、ぜひ子どもと一緒に「このお猿さんは何をしているのかな?」と話してみてください。
難しい歴史を全部覚える必要はありません。
「これは、子どもがやさしく育ってほしいという願いなんだよ」
そのひと言だけでも、三猿の見え方はきっと変わります。
家族旅行が、ただの観光ではなく、親子で心に残る学びの時間になりますように。
参考情報
- 日光東照宮公式サイト「社殿の概要」
- 日光東照宮公式サイト「境内のご案内」
- 大本山 大聖院「見猿・聞か猿・言わ猿・せ猿」
- 三猿・神厩舎に関する観光案内資料
- 日光東照宮の動物彫刻に関する観光情報