[著者情報]
この記事を書いた人:佐藤 明奈(さとう あきな)
家庭料理研究家 / 無添加ごはんアドバイザー
料理教室「ママの安心ごはん」主宰。「完璧を目指さなくていい。でも、家族の体に入るものは妥協したくない」という想いで、伝統食材を現代風にアレンジした、子供が喜ぶ無添加レシピを提案している。
もうすぐひな祭りですね。
スーパーの特設コーナーで、娘さんのために「桜でんぶ」を手に取ったものの、裏面の原材料表示を見て、そっと棚に戻してしまった経験はありませんか?
「赤色106号…? 砂糖が一番最初に来てる…」
「これを子供に食べさせるのは、ちょっと抵抗があるな」
そのモヤモヤとした気持ち、痛いほどよく分かります。
私もかつては、あの鮮やかすぎるピンク色と、ジャリジャリするほどの甘さが苦手で、ひな祭りのちらし寿司作りが憂鬱でした。
夫も「甘いご飯はちょっと…」と箸が進まないのも悩みでした。
でも、諦めないでください。
実は、桜でんぶは本来、魚の旨味が詰まった美味しい「ふりかけ」なのです。
手作りすれば、添加物は一切なし。
砂糖も半分以下に抑えられ、パパも「これならうまい!」とおかわりするような、絶品の「大人の桜でんぶ」に生まれ変わります。
この記事では、食紅を使わずに、スーパーにある「ある食材」を使って、驚くほど簡単に無添加ピンクを作る方法をお伝えします。
なぜ市販の桜でんぶは「あんなに甘くて赤い」のか?
まず、私たちが抱いている「桜でんぶ=体に悪そうな甘い粉」というイメージの正体について、少しだけお話しさせてください。
本来、桜でんぶ(田麩)は、白身魚をほぐして調味した伝統的な保存食です。
しかし、スーパーで売られている市販品の多くは、常温で長期間保存するために、大量の砂糖を使用しています。
砂糖には防腐効果があるため、どうしても「魚の味」よりも「砂糖の味」が勝ってしまうのです。
また、あの不自然なほど鮮やかなピンク色は、時間が経っても色褪せないように「赤色106号」などの合成着色料が使われていることが一般的です。
つまり、市販の桜でんぶに含まれる「赤色106号」や大量の砂糖は、流通と見栄えのためのものであり、味や栄養のためではないのです。
家庭で手作りする場合、その日に食べる分だけ作れば良いので、保存性のための砂糖は必要ありません。
魚本来の旨味を感じられる、優しい味に仕上げることができるのです。
魔法の食材は「ビーツ缶」。無添加ピンクを作る驚きの裏技
「でも、食紅を使わずにどうやってピンク色にするの?」
そう思いますよね。
わざわざ製菓材料店で紅麹を買うのも手間ですし、余らせてしまいます。
そこで私がおすすめしている魔法の食材が、「ビーツの水煮缶」です。
最近は普通のスーパーの缶詰売り場やサラダコーナーでもよく見かけるようになりました。
ビーツの汁は、桜でんぶにとって最高の天然着色料になります。
「ビーツって土臭くない?」と心配される方もいますが、安心してください。
使うのはほんの数滴〜小さじ1杯程度。加熱することで特有の香りは飛び、魚の旨味と馴染んで、全く気にならなくなります。
もしビーツが手に入らない場合は、「赤しそ(梅酢)」や「ゆかり」でも代用可能です。
こちらは少し渋い色味になりますが、香りが良く、より「ご飯のお供」感が増しますよ。

【レシピ】フープロで一瞬!甘さ控えめ「大人の桜でんぶ」の作り方
それでは、実際に作ってみましょう。
伝統的な作り方では、茹でた魚をすり鉢で延々と擦る…という重労働が必要でしたが、忙しい私たちは文明の利器「フードプロセッサー」を使いましょう。
これなら一瞬でふわふわになります。
材料(作りやすい分量)
- タラ(真鱈)の切り身:2切れ(甘塩でも生でもOK)
- 酒:大さじ1
- みりん:大さじ1
- 砂糖:大さじ1〜2(市販品の半分以下です。お好みで調整)
- 塩:ひとつまみ(ここが重要!)
- ビーツの缶詰の汁:小さじ1/2〜(色を見ながら調整)
作り方
- タラを茹でる
鍋にお湯を沸かし、タラを入れて火が通るまで茹でます。皮と骨を丁寧に取り除きます。 - フープロで細かくする
茹でたタラの身をフードプロセッサーに入れ、細かくなるまで撹拌します。ここしっかり細かくするのが、ふわふわ食感のコツです。 - 炒って味付け
フライパンにタラを移し、調味料(酒、みりん、砂糖、塩)とビーツの汁を加えます。弱火にかけ、菜箸4本を使って絶えず混ぜながら水分を飛ばします。 - 仕上げ
全体がパラパラになり、好みのピンク色になったら完成です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 最後に必ず「塩」をひとつまみ足して味を整えてください。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちですが、砂糖の甘さを引き立てつつ、味の輪郭を締めるために塩気が必要だからです。塩と砂糖の対比効果により、甘さ控えめでも満足感のある「ご飯が進む味」になり、甘いのが苦手なパパも喜んで食べてくれるようになります。
余っても大丈夫! 卵焼きやポテサラに入れる「消費アイデア」
「手作りしても、結局ひな祭りでしか使わなくて余りそう…」
そんな心配も無用です。この「大人の桜でんぶ」は、魚の旨味が強いので、普段のおかずの「調味料」としても優秀なんです。
- 桜色のだし巻き卵:
卵焼きに混ぜ込むと、ほんのりピンク色の可愛い卵焼きになります。魚の出汁が効いているので、味付けはこれだけでOK。お弁当に入れると娘が喜びます。 - リッチなポテトサラダ:
ハムの代わりに桜でんぶを混ぜてみてください。タラの繊維がジャガイモに絡み、高級感のある味わいに変身します。 - あんバタートースト風:
意外かもしれませんが、バタートーストに乗せると「甘じょっぱさ」が癖になります。
まとめ:今年のひな祭りは、胸を張って食卓に出せる
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「桜でんぶ=甘い添加物の粉」という常識は、もう捨てましょう。
手作りすれば、それは立派な「魚料理」です。
スーパーの棚の前で悩んでいたあの時の自分に、教えてあげたいですね。
「食紅も、大量の砂糖もいらないよ。お家にある道具と、ちょっとした工夫で、こんなに美味しくて安心なものが作れるんだよ」と。
今年のひな祭りは、ママの愛が詰まった「優しいピンク」で、家族の笑顔を咲かせましょう。
パパの「これ、うまいな!」という言葉と、娘さんの「可愛い!」という歓声が、きっと聞けるはずです。
[参考文献リスト]
- 桜でんぶの基本情報とレシピ – macaroni
- おぼろ・でんぶの原材料について – カネハツ食品