夜中の腹痛で救急車を呼ぶ目安は?危険サインと自宅でできる楽な姿勢

夜中に突然、お腹がキリキリ痛くなって目が覚めた。

脂汗が出るほど痛い。

吐き気もある。

「ただの食べすぎ?」

「朝まで様子を見ていいの?」

「救急車を呼ぶのは大げさ?」

そんなふうに、暗い部屋でスマホを握りしめながら不安になっていませんか?

夜中の腹痛は、ひとりだと余計に怖く感じますよね。

腹痛の多くは、食べすぎ、冷え、便秘、胃腸炎などで起こることがあります。

しかし中には、虫垂炎、胆石、腸閉塞、消化管の出血、婦人科系の病気など、早めの診察が必要な病気が隠れていることもあります。

この記事では、夜中に腹痛が起きたときに確認したい危険サイン、救急車を呼ぶ目安、#7119への相談、自宅でできる楽な姿勢、やってはいけない行動を、初心者にもわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 夜中の腹痛で救急車を呼ぶ目安
  • 危険な腹痛のサイン
  • #7119に相談したほうがよいケース
  • 自宅でできる楽な姿勢
  • 温めてよい腹痛・注意したい腹痛
  • 自己判断で避けたいNG行動
  • 翌朝受診するなら何科に行くか

【著者プロフィール】

高橋 誠(仮名) / 救急科専門医・消化器内科医
大学病院の救急救命センターで10年間、夜間救急の最前線で数多くの「急性腹症」患者を診察。夜中の突然の痛みに怯える患者に寄り添い、専門用語を排して「今すぐ取るべき行動」を冷静かつ的確に指示するナビゲーター。

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まず確認:今すぐ119番を考えたい危険サイン

夜中の腹痛でいちばん大切なのは、「様子を見る腹痛」と「急いで助けを呼ぶ腹痛」を分けることです。

次のような症状がある場合は、迷わず119番を考えてください。

  • 突然、経験したことのない激しい腹痛が起きた
  • 痛みがどんどん強くなっている
  • 冷や汗が出る
  • 顔色が悪い、唇の色が悪い
  • 意識がぼんやりする
  • 呼びかけへの反応が鈍い
  • 立っていられない、ふらつく
  • 吐き気や嘔吐が止まらない
  • 吐血した
  • 黒い便、血の混じった便が出た
  • お腹が板のように硬い
  • お腹を押すと強く痛む、離したときに響く
  • 高熱を伴う
  • 胸や背中にも強い痛みがある
  • 妊娠中、または妊娠の可能性がある

厚生労働省の案内でも、激しいお腹の痛みで苦しがる、嘔吐が止まらない、便に血が混じるといった症状は、すぐ救急車を呼ぶ目安として示されています。

また、急性腹痛では、重い痛み、ショックの徴候、腹膜炎の徴候などが重い病気を疑うサインになります。

「大げさかも」と遠慮する必要はありません。

夜中でも、危険サインがあるときは早めに助けを呼びましょう。

夜中の腹痛・救急判断と楽な姿勢

救急車か迷ったら#7119へ相談

「救急車を呼ぶほどか分からない」

「でも朝まで待つのも怖い」

そんなときは、地域で実施されていれば#7119に相談できます。

#7119は、救急車を呼ぶべきか、すぐ病院へ行くべきか迷ったときに、医師・看護師・相談員などが症状を聞き取り、緊急性や受診の目安を助言してくれる電話相談です。

消防庁も、#7119は「救急車を呼んでいいのだろうか」とためらう場面で、一刻を争うサインかどうか判断するために役立つと案内しています。

迷ったときの考え方

  • 危険サインがある → 119番
  • 救急車を呼ぶか迷う → #7119
  • #7119が地域で使えない → 自治体の夜間救急相談、救急外来、かかりつけ医の案内を確認

#7119は全国すべての地域で使えるとは限りません。

つながらない場合は、お住まいの自治体の夜間救急相談窓口や、消防・救急の案内ページを確認してください。

自宅で様子を見る前に確認したいこと

危険サインがなく、痛みが軽い〜中等度で、少し落ち着いている場合は、短時間だけ様子を見ることもあります。

ただし、次のことを確認しましょう。

  • 痛みの場所はどこか
  • 痛みは強くなっていないか
  • 吐き気や嘔吐はあるか
  • 下痢や血便はあるか
  • 発熱はあるか
  • お腹が硬くなっていないか
  • 最後に食べたものは何か
  • 妊娠の可能性はないか
  • 持病や服薬中の薬はあるか

メモに残しておくと、病院や#7119に相談するときに説明しやすくなります。

腹痛時に楽になりやすい姿勢

危険サインがない場合、まずは衣服やベルトをゆるめて、楽な姿勢で休みましょう。

腹痛時は、ひざを曲げるとお腹の緊張がゆるみ、痛みがやわらぐ場合があります。北海道医師会の応急手当情報でも、腹痛時は衣服やベルトをゆるめ、横になり、ひざを曲げると痛みがやわらぐ場合があると案内されています。

おすすめの姿勢1:横向きで丸まる姿勢

  1. ベルトやきつい服をゆるめます。
  2. 横向きに寝ます。
  3. 両ひざを軽く曲げます。
  4. お腹に力を入れず、ゆっくり呼吸します。

吐き気があるときは、仰向けより横向きのほうが安心です。

嘔吐したときに、吐いたものがのどに詰まるのを防ぎやすくなります。

おすすめの姿勢2:仰向けでひざを立てる姿勢

  1. 仰向けに寝ます。
  2. ひざを軽く立てます。
  3. ひざの下にクッションや丸めた布団を入れます。
  4. お腹の力を抜きます。

岐阜市の応急手当の基礎知識でも、膝屈曲位は腹部の緊張と痛みを和らげる姿勢として紹介されています。

ただし、姿勢で痛みがよくなるかどうかには個人差があります。

無理に決まった姿勢を取る必要はありません。

自分がいちばん楽だと感じる姿勢で休んでください。

お腹は温めてもいい?

冷えや胃腸のけいれん、便秘っぽい腹痛では、お腹をやさしく温めると楽になることがあります。

ただし、すべての腹痛で温めればよいわけではありません。

発熱がある、激痛がある、右下腹部が強く痛む、押すと強く痛む、お腹が硬いなどの場合は、炎症や腹膜炎などが隠れている可能性があります。

このようなときは、温めて様子を見るより、医療機関や#7119へ相談してください。

温めるときの注意

  • 危険サインがない軽い腹痛に限る
  • カイロは直接肌に貼らない
  • 熱すぎる湯たんぽを使わない
  • 痛みが強くなるならすぐ中止する
  • 発熱や激痛がある場合は温めてごまかさない

腹痛には温めると楽になる場合もありますが、虫垂炎や腹膜炎など、温めることで悪化する可能性がある病気もあります。痛みが続く場合や緊急性の高い症状がある場合は、医療機関を受診することが大切です。

夜中の腹痛でやってはいけないNG行動

NG1:自己判断で痛み止めを飲む

原因が分からない強い腹痛では、自己判断で痛み止めを飲む前に、医療機関や#7119へ相談しましょう。

痛み止めで一時的に症状が隠れると、受診のタイミングが遅れることがあります。

また、薬の種類によっては胃腸に負担をかけることもあります。

特に、激しい腹痛、吐血、血便、冷や汗、意識がぼんやりするなどがある場合は、薬で様子を見るのではなく、早めに救急相談・受診をしてください。

NG2:無理に食べる

腹痛や吐き気が強いときは、無理に食べないようにしましょう。

胃腸が弱っているときに食事をすると、吐き気や痛みが増すことがあります。

痛みが落ち着くまでは、食事は控えめにし、必要に応じて医療機関へ相談してください。

NG3:水を一気に飲む

嘔吐があるときに水を一気に飲むと、また吐いてしまうことがあります。

水分を取る場合は、少量ずつゆっくりにしましょう。

ただし、嘔吐が止まらない、水分が取れない、脱水が心配な場合は、早めに受診してください。

NG4:痛みを我慢して朝まで待つ

「夜中だから迷惑かも」と思って、強い痛みを我慢しすぎるのは危険です。

腹痛の中には、時間がたつほど悪化するものもあります。

いつもと違う強い痛み、冷や汗、血便、吐血、意識の変化がある場合は、朝まで待たずに相談しましょう。

痛む場所で考えられる原因の目安

腹痛の原因は、痛む場所だけで決められるものではありません。

ただ、受診時に説明するために、どこが痛いかを知っておくことは役立ちます。

痛む場所考えられる原因の例注意したい症状
みぞおち胃炎、胃潰瘍、胆石、膵炎、心臓の病気など冷や汗、背中の痛み、胸の痛み、吐血
右上腹部胆石、胆のう炎、肝臓・胆道の病気など発熱、吐き気、黄疸、脂っこい食事後の痛み
右下腹部虫垂炎、腸の炎症、婦人科系の病気など痛みの移動、発熱、歩くと響く痛み
左下腹部大腸憩室炎、便秘、腸炎など発熱、血便、強い圧痛
下腹部膀胱炎、腸炎、便秘、婦人科系の病気など排尿痛、血尿、不正出血、妊娠の可能性
お腹全体胃腸炎、腸閉塞、腹膜炎などお腹が硬い、嘔吐が続く、腹部膨満

痛む場所は、病気を考えるヒントにはなります。

しかし、自己判断で病名を決めつけるのは危険です。

強い痛みや危険サインがあれば、医療機関へ相談してください。

女性が特に注意したい腹痛

女性の場合、腹痛の原因が婦人科系の病気であることもあります。

特に、下腹部の強い痛みや、不正出血、妊娠の可能性がある場合は注意が必要です。

早めに相談したい症状

  • 妊娠中、または妊娠の可能性がある
  • 生理予定日と違う出血がある
  • 片側の下腹部が強く痛む
  • 肩の痛みやめまいを伴う
  • 立っていられないほど痛い
  • 発熱や強い吐き気がある

妊娠の可能性がある場合の強い腹痛は、異所性妊娠などの緊急性がある病気が隠れていることもあります。

迷ったら、産婦人科、救急外来、#7119へ相談しましょう。

翌朝に受診するなら何科?

夜中の痛みが軽くなったとしても、次のような場合は翌朝に受診を検討しましょう。

  • 痛みが完全には引いていない
  • 同じ場所が繰り返し痛む
  • 発熱がある
  • 下痢や嘔吐が続く
  • 血便・黒い便があった
  • 食欲が戻らない
  • 妊娠の可能性がある
  • 高齢者、持病がある、免疫が弱っている

受診先は、症状によって変わります。

症状受診先の目安
胃痛、みぞおちの痛み、吐き気内科、消化器内科
下痢、嘔吐、発熱内科、消化器内科
右下腹部の痛み、歩くと響く痛み救急外来、外科、消化器内科
不正出血、妊娠の可能性、強い下腹部痛産婦人科、救急外来
血尿、排尿痛、下腹部痛泌尿器科、内科

どこへ行けばよいか迷う場合も、#7119や自治体の医療相談窓口に相談できます。

受診時に伝えるとよいこと

病院では、痛みの情報が診断の手がかりになります。

次の内容をメモしておくと、診察で伝えやすくなります。

  • 痛みが始まった時刻
  • 痛みの場所
  • 痛みの強さ
  • 痛みが移動したか
  • どんな痛みか
  • 吐き気・嘔吐の有無
  • 下痢・便秘・血便の有無
  • 発熱の有無
  • 最後に食べたもの
  • 飲酒の有無
  • 持病
  • 服用中の薬
  • 妊娠の可能性

痛みでうまく話せない場合は、家族や同居人にメモを見せてもらうのもよい方法です。

よくある質問

Q. 夜中の腹痛で救急車を呼んでいいか迷います。

A. 突然の激しい痛み、冷や汗、意識がぼんやりする、吐血・血便、嘔吐が止まらない、お腹が硬いなどがある場合は119番を考えてください。迷う場合は、地域で実施されていれば#7119へ相談しましょう。

Q. 腹痛のとき、どんな姿勢が楽ですか?

A. 衣服をゆるめ、横向きでひざを軽く曲げる姿勢や、仰向けでひざを立てる姿勢が楽な場合があります。吐き気があるときは横向きが安心です。無理せず、自分が楽な姿勢を選びましょう。

Q. お腹を温めてもいいですか?

A. 冷えや軽い胃腸のけいれんでは温めて楽になることがあります。ただし、激痛、発熱、右下腹部の強い痛み、お腹が硬い、押すと強く痛いなどがある場合は、温めて様子を見るより医療機関へ相談してください。

Q. 痛み止めを飲んでもいいですか?

A. 原因が分からない強い腹痛では、自己判断で痛み止めを飲む前に相談しましょう。症状が隠れて受診が遅れることがあります。特に危険サインがある場合は、薬で様子を見ず119番や#7119を利用してください。

Q. 痛みが引いたら病院に行かなくてもいいですか?

A. 一時的に痛みが引いても、同じ場所が痛む、発熱がある、吐き気や下痢が続く、血便がある、妊娠の可能性がある場合は受診を検討してください。

Q. 夜中に水を飲んでも大丈夫ですか?

A. 吐き気や嘔吐がない軽い腹痛なら、少量ずつ水分を取ることがあります。ただし、嘔吐が続く、水分が取れない、強い痛みがある場合は、無理に飲まず相談してください。

まとめ:夜中の腹痛は「危険サイン」を先に確認

夜中の腹痛は、不安になって当然です。

でも、まず確認するべきことはシンプルです。

危険サインがあるかどうか。

これを先に見てください。

  • 突然の激しい腹痛
  • 冷や汗や顔色の悪さ
  • 意識がぼんやりする
  • 吐血・血便・黒い便
  • 嘔吐が止まらない
  • お腹が硬い
  • 痛みがどんどん強くなる
  • 妊娠中・妊娠の可能性がある強い腹痛

このような症状があれば、119番を考えましょう。

救急車を呼ぶか迷う場合は、#7119や自治体の救急相談窓口を利用してください。

危険サインがなく、軽い腹痛であれば、衣服をゆるめて横になり、ひざを曲げるなど楽な姿勢で休みます。

ただし、痛みが続く、強くなる、いつもと違うと感じる場合は、無理に我慢しないでください。

夜中でも、あなたの体を守ることが最優先です。


参考情報

  • 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」
  • 厚生労働省「大人の症状は#7119」
  • 総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)」
  • MSDマニュアル プロフェッショナル版「急性腹痛」
  • 北海道医師会「応急手当Web 腹痛」
  • 岐阜市「応急手当の基礎知識」
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