食事が難しくなってくると、家族として「どうすればいいの?」「このまま弱ってしまうの?」と、不安が押し寄せてくることがありますよね。
でも、どうか覚えていてください。
あなたはひとりではありません。
同じ状況を経験している家族はたくさんいて、サポートしてくれる専門職も必ず存在します。
なぜ「食べられなくなる」のか?
まず、食べられなくなった背景を知ることは、とても大切なステップです。原因が違えば対処方法も変わってきます。
よくある原因
- 認知症の進行
- 脳梗塞・パーキンソン病など神経系の病気
- 筋力低下・加齢による嚥下能力の低下
- 病気・長期入院による体力低下
- 食欲低下やうつ症状
原因はひとつではなく、複合しているケースが多いことも覚えておきましょう。
📌専門家コメント
「家族は『なんとか食べさせたい』という気持ちになります。でも誤嚥や窒息の危険がある場合は、無理をしないことが大切です。大切なのは“安全に、その人らしく”です。」
── 言語聴覚士(ST)
食べられなくなったときの選択肢
ここからは、医療や介護の現場で実際に検討される選択肢をわかりやすく比較します。
| 方法 | 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 経口摂取(とろみ・形態調整食) | 口から食べ続ける方法 | 楽しさ・満足感が残せる | 誤嚥リスクあり、慎重な評価が必要 |
| 経管栄養(胃ろう・鼻チューブ) | 管で栄養を補給 | 栄養維持がしやすい | 家族が心理的に迷いやすい |
| 点滴・緩和ケア | 負担を減らしたケア | 苦痛が少なく過ごせる | 栄養補給としては不十分なことも |
どの選択にも“正解”はありません。
ご本人の状態、本人の思い、家族の考えを大切にし、医療者と一緒に選びましょう。
家庭でできるサポート
① 姿勢を正しく整える
飲み込みやすい姿勢は次の通りです。
- 椅子に深く座る
- 膝・足裏が床に着く高さに調整
- 少し顎を引く
→「背中・頭・足」この3つが揃うと安全性が高まります。
② 食事形態を変える
- ミキサー食
- ペースト食
- やわらか食
- とろみ飲料
味や色が変わると食欲が落ちやすいため、盛りつけや器の工夫もポイントです。
家族の心のケア
「食べさせたい」「もっとできることがあるはず」
そう思う優しさは、決して間違いではありません。
でも介護で1番大切なのは、あなた自身を責めないこと。
🌿こんな気持ちが湧いたら休息のサイン
- 私がもっと頑張ればよかった
- これで良かったのかわからない
- 誰も理解してくれない気がする
そんなときは外部のサポートを使っていいのです。
医療・介護との連携方法
まず相談できる窓口
- ケアマネジャー
- 訪問看護師
- 病院の相談員
- 地域包括支援センター
困ったときに頼る先があるだけで、心はずいぶん軽くなります。
体験談
「母が食べなくなったとき、私は“食べられない=あきらめる”と思い込んでいました。でも、食べる形を変えることで、最後まで“食卓の時間”を共有できました。それだけで救われた気持ちでした。」
まとめ:家族としてできること
口から食べられなくなることは、ただの症状ではなく、生活や家族の気持ちにも大きく影響します。
だからこそ、
「無理をさせない」「選択肢を知る」「専門職とつながる」「気持ちを共有する」
ことが大切です。
どうか、あなたがひとりで抱え込まないで大丈夫だということを忘れないでください。
そして、今日このページを開いた時点で、すでにあなたは大切な一歩を踏み出しています。
これからも、ご本人とあなたらしい形で歩んでいけますように。