
この記事の著者:佐々木 律子 (Sasaki Rituko)
ビジネスコミュニケーション・インストラクター / 元秘書
大手企業の役員秘書を10年経験。「マナーは形式ではなく、相手への思いやり」を信条とし、教科書的な正解よりも、現場で本当に喜ばれる「生きたフレーズ」を指導しています。
「上司が体調不良で休んでいる。急ぎの確認があるけど、メールしたら迷惑かな…」
「でも、連絡しないと仕事が進まないし…」
そんな風に悩んで、メールの下書き画面とにらめっこしていませんか?
相手を気遣うあまり、連絡を躊躇してしまうその優しさ、とても素敵です。
でも、遠慮して連絡を遅らせるより、配慮のあるメールで業務をスムーズに進める方が、結果的に相手を助けることになる場合も多いのです。
元秘書の私が教える「大人の気遣いメール」の極意はシンプルです。
いつもの業務連絡に、「冒頭のワンクッション」と「結びの返信不要」を足すだけ。
たったこれだけで、あなたのメールは「無機質な業務連絡」から「心温まる優しさの便り」に変わります。
体調不良の相手に送るメール、最大の気遣いは「短さ」と「返信不要」
まず、マインドセットを変えましょう。
「丁寧なメール=長文のお見舞い」だと思っていませんか?
実はこれ、体調不良の相手にとっては逆効果になることがあります。
熱がある時や頭が痛い時、スマホやPCの画面を見るのは辛いものです。
そんな時に長々とした文章を読むのは、それだけで負担になってしまいます。
本当に相手を思うなら、「お見舞いメール」を送ろうとせず、あくまで「業務連絡」に徹すること。
そして、以下の2つの鉄則を守ることが、プロの気遣いです。
- 要件は簡潔に
結論から書き、相手がスクロールせずに読める長さに収めます。 - 返信のプレッシャーを与えない
「返信しなきゃ」と思わせないよう、こちらで完結させるか、返信不要を明記します。
【コピペOK】相手・シーン別「業務連絡+気遣い」フレーズ集
では、具体的にどんな言葉を添えればいいのでしょうか?
相手との関係性や緊急度に合わせて使い分けられる、実践的なフレーズをご用意しました。そのままコピペして使ってください。
📊 比較表
相手・緊急度別「気遣いフレーズ」組み合わせ表
| 相手・シーン | 冒頭のクッション言葉 | 結びの気遣い (返信不要) |
|---|---|---|
| 上司へ (緊急度:高) どうしても判断が必要な時 | お加減が悪い中、大変恐縮です。 緊急の確認事項がありご連絡いたしました。 | ご無理のない範囲で、 ご判断のみ仰げれば幸いです。 |
| 上司へ (緊急度:低) 報告・共有のみ | 突然のご連絡失礼いたします。 体調はいかがでしょうか。 | ご返信には及びません。 出社された際にご確認ください。 |
| 取引先へ 体調不良と聞いた時 | 寒暖差の折、 体調を崩されたと伺いました。 | 本メールへのご返信は不要です。 どうぞゆっくりご静養ください。 |
| 同僚・部下へ 少しカジュアルに | 体調どう?無理しないでね。 仕事のことは気にせず休んで。 | 返信はいらないよ。 お大事に! |
ポイントは、「ご返信には及びません」や「本メールへのご返信は不要です」と言い切ること。
「お忙しいとは思いますが…」のような曖昧な表現だと、相手は「返信した方がいいのかな?」と迷ってしまいます。言い切る優しさを持ちましょう。
件名で9割決まる。「開かなくても安心できる」件名の書き方
メールを開く前の段階、つまり「件名」でも気遣いはできます。
体調が悪い時、受信トレイに「【重要】」「ご報告」といった件名が並んでいると、それだけでプレッシャーを感じるものです。
件名だけで「内容」と「アクションの要否」がわかるように工夫しましょう。
- 良い例:
【返信不要】〇〇プロジェクトの進捗報告(営業部・佐藤)【共有のみ】来週の会議資料について(返信には及びません)【要確認:〇日迄で可】見積書の承認依頼
- 悪い例:
お疲れ様です(開かないと内容がわからない)ご報告(緊急度がわからず、ドキッとさせる)〇〇の件(具体的でない)
件名に【返信不要】と入っていれば、相手は「あ、今は開かなくていいんだ」「後で元気になってから読めばいいんだ」と安心できます。
これこそが、究極の気遣いです。
「ご自愛ください」は使っていい?間違いやすいNGワードと正解
最後に、よくある間違いと正しい表現を確認しておきましょう。
良かれと思って使った言葉が、実は失礼だったり負担だったりすることもあります。
NG: 「お体ご自愛ください」
「自愛」には「自らの体を大切にする」という意味が含まれています。
「お体」をつけると「頭痛が痛い」のような重複表現になってしまいます。
- OK: 「どうぞご自愛ください」「季節の変わり目ですので、ご自愛ください」
NG: 「頑張ってください」「早く元気になってください」
励ましのつもりでも、病気の人にとっては「早く治さなきゃ」というプレッシャーになることがあります。
- OK: 「一日も早い回復をお祈りしております」「ゆっくり静養なさってください」
NG: 「お大事に」(目上の人に対して)
「お大事に」は省略形なので、目上の人には少しカジュアルすぎます。
- OK: 「お大事になさってください」
あなたの「一言」が、相手の回復を支える
「業務連絡+気遣い」のメール、イメージできましたか?
大切なのは、形式的なマナーを守ることよりも、「相手をゆっくり休ませてあげたい」というあなたの思いやりです。
「短く」「返信不要」で送るそのメールは、きっと相手の心に届き、信頼関係を深めるきっかけになるはずです。
さあ、このフレーズを使って、今すぐメールを送ってしまいましょう。
そして、相手が安心して休めるよう、あなたはあなたの仕事を頑張ってくださいね。