恩師の一周忌、案内状に書かれた「平服でお越しください」の文字。
「平服って普段着?それともスーツ?礼服じゃダメなの?」と、クローゼットの前で腕組みしていませんか?
言葉通りに受け取ってカジュアルな服で行くと、当日冷や汗をかくことになります。
かといって、張り切って礼服を着ていくのも、実はマナー違反になる可能性があるのです。
元ホテルマンの私が、案内状の裏にある「施主の意図」を読み解き、手持ちのスーツで完璧に対応できる「大人の平服マナー」を伝授します。
結論から言うと、平服の正解は「略喪服(ダークスーツ)」です。
著者プロフィール
町田 誠(まちだ まこと)
冠婚葬祭マナーアドバイザー / 元ホテルマン
高級ホテルでの法要担当歴15年。数千件の法事を見届け、参列者の服装や振る舞いをサポートしてきた経験を持つ。「マナーはルールではなく、相手への敬意」を信条に、形式にとらわれない現実的なアドバイスを行う。
なぜ「平服」指定なのか?施主の意図と「礼服NG」の理由
まず、「平服」という言葉の真意を理解しましょう。
施主が「平服で」と指定する理由は、主に「堅苦しくしたくない」「参列者の負担を減らしたい」という配慮からです。
ここで重要なのが、「礼服(準喪服)で行けば無難だろう」という考えは危険だということです。
もし施主側が、案内通りに「略喪服(ダークスーツ)」を着ていた場合、あなたが「準喪服(礼服)」を着ていくと、施主よりも格上の服装になってしまう「逆転現象」が起きてしまいます。
これは、招かれた側としては失礼にあたります。
だからこそ、指定通り「平服(略喪服)」で行くのが、大人のマナーなのです。
【5秒チェック】手持ちのスーツは使える?OK/NG境界線リスト
では、具体的にどんなスーツならOKなのでしょうか?
わざわざ買い足さなくても、手持ちのビジネススーツで代用できるか、以下のリストでチェックしてみてください。
- [ ] 色は「黒」「濃紺」「チャコールグレー」か?
- 明るいグレーや青、茶色はNGです。
- [ ] 柄は「無地」か?
- 遠目には無地に見える織り柄(シャドーストライプなど)はOKですが、はっきりしたストライプやチェックはNGです。
- [ ] 素材に「光沢」はないか?
- パーティー用の艶がある素材はNGです。マットなウール素材がベストです。
- [ ] デザインは「シングル」か?
- ダブルでも構いませんが、ビジネス感が強すぎるものや、デザイン性が高いものは避けましょう。
※リクルートスーツのような真っ黒なスーツでも構いませんが、生地感で「喪服ではない」とバレることもあります。その場合は、インナー(シャツやネクタイ)をしっかり整えることでカバーできます。
【図解】シャツ・ネクタイ・靴…アイテム別「恥をかかない」選び方
スーツが決まったら、次は小物です。ここで失敗すると、せっかくのスーツも台無しになります。

シャツ
白無地一択です。色付きや柄物は避けましょう。
襟の形はレギュラーカラーかワイドカラーで。
ボタンダウンはカジュアルな印象になるため、法事ではNGです。
ネクタイ
黒無地を選びます。
ここで一番の注意点は、結び方です。
普段のビジネスシーンでは、結び目にくぼみ(ディンプル)を作って立体的に見せますが、法事ではディンプルを作らないのがマナーです。
ディンプルは「喜び」を表すとされているからです。
靴・ベルト
黒の革製品で統一します。
クロコダイルなどの型押しは「殺生」を連想させるためNGです。
また、目立つ金具(バックル)がついているものも避けましょう。
靴は、紐付きの「内羽根式ストレートチップ」が最もフォーマルで安心です。
ローファーやスエード素材はカジュアルすぎるのでNGです。
靴下
黒無地です。
座敷に上がる可能性もあるので、くるぶし丈やワンポイント入りは避け、ふくらはぎまで隠れる長さのものを選びましょう。
夏場や冬場はどうする?季節ごとの注意点とマナー
夏場:「クールビズ」は通用しない
いくら暑くても、法事は「儀式」です。
クールビズの感覚でノーネクタイや半袖シャツのみで参列するのはマナー違反です。
移動中は上着を脱いでいても構いませんが、会場に入る前には必ず上着を着用し、ネクタイを締めましょう。
半袖シャツを着る場合も、必ずジャケットを羽織ってください。
冬場:コートは建物外で脱ぐ
コートは、建物(または会場)の入り口で脱ぐのがマナーです。
素材はウールやトレンチコートが無難です。
ここでも「殺生」を連想させるファー付きや革ジャン、ダウンジャケットは避けたほうが良いでしょう。
まとめ:服装は「敬意」の表れ。自信を持って参列を
「平服」とは、決して「何でもいい」という意味ではありません。
それは「略喪服」という、相手を思いやる心が形になったドレスコードです。
完璧な礼服でなくても、マナーを守ったダークスーツなら、あなたの敬意は必ず伝わります。
服装の不安を解消して、自信を持って恩師に会いに行ってください。
あなたのその装いこそが、恩師への感謝を伝える一番のメッセージになるはずです。