【この記事を書いた人】
宮本 拓也
エキゾチックアニマル専門ショップ店長 兼 爬虫類飼育アドバイザー。10年間で2,000組以上のファミリー層に爬虫類飼育をアドバイス。自身も小学生の子供を持つ2児の父として、子供の好奇心を全力で応援しつつ、命を預かる親の責任(費用、手間、リスク)を包み隠さず伝えることをモットーとしている。
休日にお子さんと動画を見ていたら、突然こんなことを言われたことはありませんか?
「トカゲ飼いたい!」
「カエルって爬虫類なの?」
「ヘビもペットにできるの?」
子どもの目がきらきらしていると、できればその好奇心を大切にしてあげたいですよね。
でも、親としてはすぐに「いいよ」とは言えないものです。
「虫エサは必要なの?」
「病気はうつらない?」
「旅行のときはどうするの?」
「最後までお世話できるのかな?」
そんな不安が出てくるのは、とても自然なことです。
爬虫類は、犬や猫とはまったく違う魅力があります。
鳴き声が少なく、毛が抜けず、観察する楽しさがある一方で、温度管理・エサ・衛生管理など、独特のお世話が必要です。
この記事では、子どもに聞かれやすい「爬虫類と両生類の違い」から、親が知っておきたい初期費用、虫エサ問題、感染症リスク、初心者向けの種類まで、やさしく解説します。
※本記事は一般的な飼育情報です。実際にお迎えする前には、爬虫類に詳しい専門ショップやエキゾチックアニマル対応の動物病院に相談し、ご家庭の環境に合うか確認してください。
まず答え|カエルは爬虫類ではなく「両生類」
お子さんに「カエルって爬虫類?」と聞かれたら、まずはこう答えてあげましょう。
「カエルは爬虫類ではなく、両生類だよ」
では、爬虫類と両生類は何が違うのでしょうか。
難しく考えなくても大丈夫です。子どもに説明するときは、水との関わり方で伝えるとわかりやすくなります。
| 分類 | 代表的な生き物 | 体の特徴 | 卵の特徴 |
|---|---|---|---|
| 爬虫類 | トカゲ、ヘビ、ヤモリ、カメなど | 乾燥に強いウロコや甲羅がある | 陸に産める殻のある卵を産む種類が多い |
| 両生類 | カエル、イモリ、サンショウウオなど | しっとりした皮膚を持つ | 水中にゼリー状の卵を産む種類が多い |
ざっくり言うと、水辺とのつながりが強いのが両生類、陸上生活により適応しているのが爬虫類です。
ただし、カメのように水の中で暮らす爬虫類もいますし、すべての種類がこの説明にぴったり当てはまるわけではありません。
子どもに伝えるときは、まずは「カエルは両生類、トカゲやヘビは爬虫類」と覚えるところから始めるとよいでしょう。
親子で覚えるポイント
イモリは両生類、ヤモリは爬虫類です。名前が似ているので間違えやすいですが、イモリは水辺、ヤモリは家の壁などにいるイメージで覚えるとわかりやすいですよ。

爬虫類は子どもがいる家庭でも飼える?
結論から言うと、爬虫類は家庭でも飼育できます。
ただし、犬や猫のように「一緒に遊ぶペット」というより、環境を整えて、観察しながら大切に育てる生き物と考えたほうがよいでしょう。
爬虫類は、種類によって必要な温度、湿度、エサ、ケージの大きさが大きく違います。
また、長生きする種類も多く、数年だけのつもりで迎えると後悔することがあります。
お子さんが「飼いたい」と言ったときは、まず家族で次のことを話し合いましょう。
- 誰が毎日のお世話をするか
- 虫エサや冷凍エサに家族が対応できるか
- 温度管理のための電気代を負担できるか
- 旅行や帰省のときに誰が確認するか
- 近くに爬虫類を診られる動物病院があるか
- 最後まで飼い続けられるか
子どもの好奇心はとても大切です。
でも、命を預かる以上、最終的な責任は大人にあります。
初心者ファミリーが検討しやすい爬虫類3種類
ここでは、家庭で比較的検討されやすい爬虫類を紹介します。
ただし、「必ず飼いやすい」という意味ではありません。
個体差や家庭環境によって合う・合わないがあります。
| 種類 | 初期費用の目安 | エサのハードル | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ヒョウモントカゲモドキ(レオパ) | 約3万〜6万円 | 中 | 比較的小型で、飼育情報も多い | 昆虫食が基本。人工飼料だけで安定するとは限らない |
| フトアゴヒゲトカゲ | 約5万〜10万円以上 | 中〜高 | 昼行性で観察しやすく、表情が豊か | 大きなケージ、紫外線ライト、野菜と昆虫が必要 |
| コーンスネーク | 約3万〜7万円 | 中〜高 | 比較的温和な個体が多いヘビとして知られる | 冷凍マウスを与える必要があり、脱走対策が重要 |
最初に候補に上がりやすいのは、ヒョウモントカゲモドキ、通称レオパです。
体が比較的小さく、鳴き声も少なく、飼育情報が多いため、初心者向けとして紹介されることが多い種類です。
ただし、レオパも「簡単に飼える生き物」ではありません。
本来は昆虫などを食べる生き物で、人工飼料を食べる個体もいますが、いつでも必ず人工飼料だけで飼えるとは限りません。
また、温度勾配をつくるためのヒーター、サーモスタット、温度計、隠れ家、清潔な水などが必要です。
購入前の大切な確認
「人工飼料を食べます」と説明されても、できればショップで実際に食べている様子を確認しましょう。環境が変わると食べなくなることもあるため、虫エサにも対応できるか家族で話し合っておくと安心です。
「カメなら簡単」は要注意
子どもが「カメを飼いたい」と言うこともありますよね。
カメは身近な生き物なので、簡単そうに見えるかもしれません。
しかし、水棲ガメの飼育は意外と手間がかかります。
- 水が汚れやすい
- 水換えが重労働になりやすい
- 水槽やフィルターの掃除が必要
- 大きく成長する種類がいる
- サルモネラ対策が必要
- 逃がすことは絶対にしてはいけない
特に、ミドリガメとして知られるアカミミガメは、現在は条件付特定外来生物に指定されています。
すでに飼っている個体を一般家庭で飼い続けることはできますが、販売・購入・輸入・野外への放出などは原則として規制されています。
「飼えなくなったから川や池に放す」は、絶対にしてはいけません。
カメを検討する場合は、種類ごとの寿命、大きさ、法律、飼育設備を必ず確認しましょう。
爬虫類を迎える前に知っておきたい3つの現実
1. 温度管理は毎日必要
爬虫類は変温動物です。
自分で体温を一定に保つのではなく、周りの環境を使って体を温めたり冷ましたりします。
そのため、ケージの中に「暖かい場所」と「少し涼しい場所」をつくり、生き物自身が移動して選べるようにする必要があります。
レオパの場合でも、ヒーター、サーモスタット、温度計を使った管理が大切です。
冬はもちろん、夏も暑くなりすぎないよう注意が必要です。
2. エサの問題は家族全員で確認する
爬虫類飼育で、家族がつまずきやすいのがエサです。
レオパやフトアゴヒゲトカゲは、昆虫を与える場面が出てくることがあります。
ヘビは冷凍マウスを解凍して与える必要があります。
「子どもが飼いたがっているから」とお迎えしても、親がエサにどうしても対応できないと、飼育が続かなくなってしまいます。
お迎え前に、エサの実物、保管方法、与え方まで確認しておきましょう。
3. 寿命が長く、最後まで責任がある
爬虫類は、種類によってはとても長生きします。
レオパでも10年以上、環境によっては20年ほど生きることがあります。
子どもが小学生のときに迎えた生き物を、大学生や社会人になる頃まで家族で世話する可能性もあります。
「今かわいいから」だけでなく、進学、引っ越し、家族構成の変化、旅行、災害時の避難まで考えておくことが大切です。
感染症対策|サルモネラ菌は正しく知れば予防できる
爬虫類を飼ううえで、親が必ず知っておきたいのがサルモネラ菌です。
カメなどの爬虫類は、見た目が元気でもサルモネラを持っていることがあります。
人が爬虫類やケージ、飼育水、床材などに触れ、その手で口元に触れることで感染する可能性があります。
特に、小さな子ども、高齢者、妊娠中の方、免疫力が低下している方がいるご家庭では、慎重に検討しましょう。
家庭で守りたい衛生ルール
- 爬虫類に触った後は、必ず石けんと流水で手を洗う
- ケージや水入れを台所のシンクで洗わない
- 食器用スポンジと飼育用品のスポンジを分ける
- 爬虫類を食卓やキッチンに近づけない
- 子どもだけで触らせない
- 触れ合い後に顔や口を触らないよう声をかける
- ケージ掃除は大人が管理する
「怖いから飼えない」と決めつける必要はありません。
ただし、リスクを知らずに飼うのは危険です。
正しい手洗いと掃除のルールを家族で守ることが、いちばん大切です。

お迎え前に準備するもの
種類によって必要なものは違いますが、レオパを例にすると、次のような設備が必要になります。
| 用品 | 役割 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| ケージ | 生活する場所 | 脱走できない構造、掃除のしやすさ |
| ヒーター | 体を温める場所を作る | 種類に合った加温方法を選ぶ |
| サーモスタット | 温度の上がりすぎを防ぐ | ヒーターと必ずセットで考える |
| 温度計・湿度計 | 環境を確認する | 暖かい側・涼しい側を測れると安心 |
| シェルター | 隠れる場所 | 安心して休める場所を複数用意 |
| 水入れ | 飲み水 | 倒れにくく、毎日洗いやすいもの |
| 床材 | ケージの床 | 誤飲しにくく、掃除しやすいもの |
| エサ・サプリメント | 栄養補給 | 種類に合ったエサとカルシウム補給 |
設備費は、生体代とは別に数万円かかることが多いです。
「本体価格が安いから」と生体だけを先に買うのではなく、ケージを先に準備し、温度が安定するか確認してからお迎えするのがおすすめです。
お迎えするショップの選び方
爬虫類を迎えるなら、信頼できるショップ選びも大切です。
購入前には、次の点を確認しましょう。
- 登録された第一種動物取扱業者か
- 現物確認と対面説明があるか
- その個体の食べているエサを教えてくれるか
- 温度・湿度・ケージサイズを具体的に説明してくれるか
- 寿命や大きくなったときのサイズも教えてくれるか
- 病気のサインや通院先について相談できるか
- メリットだけでなく大変な点も説明してくれるか
「この子は簡単ですよ」「とりあえず買ってから考えれば大丈夫です」といった説明だけで購入するのは避けましょう。
親が納得できるまで質問し、家族でよく話し合ってから決めることが大切です。
家族会議で決めておきたい5つの約束
お迎え前には、家族でルールを決めておきましょう。
1. お世話係を決める
子どもが「自分でやる」と言っても、毎日続けられるとは限りません。
最終確認は大人が行うと決めておきましょう。
2. 触る時間を決める
爬虫類は、長時間のふれあいがストレスになることがあります。
観察を中心にして、必要以上に触りすぎないようにしましょう。
3. 手洗いルールを守る
触った後は必ず手を洗う。ケージ掃除の後も手を洗う。
これは家族全員の約束にしましょう。
4. エサの担当を決める
虫や冷凍エサが必要になったとき、誰が用意して与えるのか決めておくと安心です。
5. 飼えなくなったときのことも考える
生き物を捨てたり、野外に放したりしてはいけません。
万が一のときに相談できるショップや譲渡先についても、事前に考えておきましょう。
旅行や帰省のときはどうする?
健康な成体であれば、種類によっては数日エサを食べなくても大丈夫な場合があります。
しかし、温度管理は待ってくれません。
旅行や帰省の予定がある家庭では、次の準備が必要です。
- サーモスタットで温度を安定させる
- エアコン管理を検討する
- 温度計で事前に確認する
- 停電時の対応を考える
- 信頼できる人に見守りを頼めるか確認する
- 長期旅行が多い家庭はお迎えを慎重に考える
「エサは数日なら大丈夫」と言われることがあっても、暑すぎる・寒すぎる環境は命に関わります。
旅行が多いご家庭では、爬虫類飼育がライフスタイルに合うか、よく考えましょう。
よくある質問
Q. カエルは爬虫類ですか?
A. いいえ。カエルは両生類です。トカゲ、ヘビ、ヤモリ、カメなどが爬虫類に分類されます。
Q. 初心者の子どもにおすすめの爬虫類はいますか?
A. ヒョウモントカゲモドキは比較的情報が多く、初心者向けとして紹介されることが多い種類です。ただし、昆虫食、温度管理、長期飼育の責任があるため、親が必ず管理できるか確認しましょう。
Q. 虫エサなしで飼えますか?
A. 人工飼料を食べる個体もいますが、必ず人工飼料だけで安定して飼えるとは限りません。体調や環境変化で食べなくなることもあるため、昆虫エサに対応できるか家族で確認しておきましょう。
Q. 爬虫類は病気をうつしますか?
A. 爬虫類はサルモネラなどを持っていることがあります。触った後の手洗い、ケージ用品を台所で洗わないこと、子どもだけで触らせないことが大切です。
Q. カメは初心者向けですか?
A. 種類によりますが、水棲ガメは水換えや掃除が大変で、初心者には負担が大きいことがあります。また、アカミミガメは条件付特定外来生物として販売や購入などが原則規制されています。
Q. 爬虫類を飼うと電気代はかかりますか?
A. かかります。ヒーター、ライト、サーモスタット、エアコンなどを使うため、特に冬場は電気代が上がることがあります。
Q. 子どもだけでお世話できますか?
A. 難しいと考えたほうが安心です。エサ、温度管理、衛生管理、体調チェックは大人の確認が必要です。子どもには観察や簡単なお手伝いから始めてもらいましょう。
まとめ|爬虫類のお迎えは「かわいい」だけでなく、家族の準備が大切
爬虫類は、子どもの好奇心を大きく広げてくれる魅力的な生き物です。
動き方、脱皮、食事、夜と昼の行動の違いなど、観察するだけでもたくさんの発見があります。
一方で、犬や猫とは違うお世話が必要で、親が責任を持って環境を整える必要があります。
- カエルは爬虫類ではなく両生類
- 爬虫類は温度管理がとても大切
- レオパは初心者向けとして紹介されることが多いが、昆虫食や長期飼育の理解が必要
- カメは水換えや法規制、感染症対策に注意
- 爬虫類に触った後は必ず石けんで手を洗う
- 子どもだけで世話を任せず、大人が管理する
- 最後まで飼い続けられるか、家族でよく話し合う
お子さんの「飼いたい!」は、命について学ぶ大切なきっかけになります。
すぐにお迎えを決めるのではなく、まずは図鑑を読む、専門ショップで観察する、飼育用品の費用を調べる、近くの動物病院を探すところから始めてみてください。
家族みんなが納得し、準備が整ったときこそ、爬虫類との暮らしを安心して始められるタイミングです。
参考情報
- 厚生労働省「カメ等のハ虫類を原因とするサルモネラ症に係る注意喚起について」
- 環境省「動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました〈一般飼い主編〉」
- 環境省「条件付特定外来生物アカミミガメ・アメリカザリガニの規制について」
- RSPCA「How To Care For a Leopard Gecko」
- 環境省「特定動物リスト」