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健康情報リサーチ編集部
腹痛、急性虫垂炎、救急受診の目安、内科・消化器科の受診先選びについて、公的機関や専門機関の情報をもとに、初心者にもわかりやすく解説しています。不安をあおるのではなく、「どんな症状なら早めに相談すべきか」を落ち着いて判断できる情報発信を大切にしています。
大切なおことわり
本記事は、みぞおちから右下腹部へ移動する腹痛についての一般的な情報をまとめたものです。腹痛の原因は、虫垂炎だけでなく、胃腸炎、胆のう炎、尿路結石、婦人科疾患、腸閉塞、憩室炎などさまざまです。強い腹痛、歩くと響く痛み、発熱、嘔吐、お腹の硬さ、意識がぼんやりするなどがある場合は、自己判断せず医療機関へ相談してください。
昨夜は、みぞおちのあたりがキリキリ痛かった。
「胃もたれかな」「食べすぎかな」と思っていたのに、今朝になると痛みが右下腹部に移ってきた。
歩くと響く。
少し熱っぽい。
食欲もない。
でも、今日は仕事や予定がある。
そんな状況で、病院に行くべきか迷っていませんか?
結論からいうと、みぞおちやへそ周りから始まり、数時間後に右下腹部へ移動する腹痛は、急性虫垂炎、いわゆる盲腸でみられることがある重要なサインです。
もちろん、その症状だけで虫垂炎と決めつけることはできません。
ただし、痛みが強くなる、歩くと響く、発熱や吐き気がある、右下腹部を触ると強く痛む場合は、早めに内科・消化器内科・外科・救急外来へ相談したほうが安心です。
この記事では、みぞおちから右下へ移動する腹痛で考えられる原因、虫垂炎の特徴、受診の目安、何科に行くべきか、受診前に避けたい行動を、初心者にもわかりやすく解説します。
まず結論|右下腹部へ移動する腹痛は、早めに受診を考えたいサイン
腹痛には、しばらく様子を見てもよいものもあります。
しかし、次のような症状がある場合は、急性虫垂炎などの急性腹症が隠れている可能性があります。
- 最初はみぞおち・へそ周りが痛かった
- 数時間後に痛みが右下腹部へ移動した
- 歩くとお腹に響く
- 咳やくしゃみで痛みが響く
- 食欲がない
- 吐き気や嘔吐がある
- 微熱や発熱がある
- 右下腹部を軽く触るだけで強く痛い
- お腹が硬い、力が抜けない感じがある
このような場合は、「胃薬を飲んで仕事へ行けば大丈夫」と無理をせず、医療機関へ相談しましょう。
特に痛みが強い、動けない、吐き続けている、顔色が悪い、冷や汗が出る、意識がぼんやりする場合は、救急外来や119番も含めて早急な対応が必要です。
早めの受診・救急相談が必要なサイン
- 右下腹部の痛みが強くなっている
- 歩く・咳をする・車の振動でお腹に響く
- 発熱、吐き気、嘔吐がある
- お腹が硬く、触ると強く痛む
- 水分が取れない
- 冷や汗、ふらつき、意識がぼんやりする
- 妊娠の可能性がある
救急車を呼ぶべきか迷う場合は、地域で利用できれば#7119に相談できます。緊急性が高いと感じる場合は、ためらわず119番へ連絡してください。
なぜ虫垂炎では、痛みが右下へ移動することがあるの?
急性虫垂炎は、大腸の入り口付近にある「虫垂」という細い部分に炎症が起こる病気です。
一般には「盲腸」と呼ばれることもあります。
虫垂炎の典型的な経過では、最初はみぞおちやへそ周りに、場所がはっきりしない痛みが出ることがあります。
その後、炎症が進むにつれて、痛みが右下腹部に限局してくることがあります。
これは、初期には内臓からのぼんやりした痛みとして感じられ、炎症が周囲の腹膜に及ぶと、よりはっきりした右下腹部の痛みとして感じられるためです。
MSDマニュアルでも、虫垂炎の古典的な症状として、心窩部やへそ周囲の痛みに続き、数時間後に右下腹部へ痛みが移動することが説明されています。
虫垂炎でみられやすい症状
- みぞおち・へそ周りの痛み
- 右下腹部への痛みの移動
- 食欲不振
- 吐き気・嘔吐
- 微熱
- 歩くと響く痛み
- 咳や振動で響く痛み
- 右下腹部の圧痛
ただし、すべての人が教科書通りの症状になるわけではありません。
高齢者、妊娠中の方、小さなお子さんでは、症状がはっきりしないこともあります。
「右下腹部へ移動した痛み」は大切な手がかりですが、それだけで自己診断せず、診察や検査で確認することが大切です。

自己チェックで強く押すのは避けて。見るべきサインは「動くと響く痛み」
元の原稿では、McBurney点を押して手を離し、反跳痛を確認する方法を紹介していました。
たしかに、反跳痛は腹膜炎を疑う重要な所見のひとつです。
しかし、読者が自分で強く押して確認する方法は、痛みが強く、かえって不安や苦痛を増やすことがあります。
急性腹症診療ガイドラインでも、反跳痛は患者さんの苦痛が大きいため、打診痛があれば必ずしも反跳痛を誘発させる必要はないとされています。
そのため、この記事では「強く押して自己判定する」より、次のようなサインを確認する形にします。
自宅で見てほしい危険サイン
- 歩くと右下腹部に響く
- 咳やくしゃみで痛みが響く
- ベッドから起き上がると痛い
- 車の振動でお腹に響く
- お腹に力が入り、硬く感じる
- 軽く触れるだけでも強く痛い
- 痛みがだんだん強くなっている
これらがある場合は、無理に押して確認する必要はありません。
そのまま医療機関へ相談してください。
やさしいポイント
右下腹部を強く押して「虫垂炎かどうか」を自分で確かめる必要はありません。歩くと響く、咳で響く、触るだけで強い痛みがある場合は、それだけで受診を考える十分なサインです。
何科に行けばいい?迷ったら内科・消化器内科・外科・救急外来へ
みぞおちから右下へ移動する腹痛があり、虫垂炎が心配な場合は、次の診療科が候補になります。
| 状況 | 受診先の目安 |
|---|---|
| 痛みはあるが歩ける、発熱や吐き気は軽い | 内科、消化器内科、胃腸科 |
| 右下腹部痛が強い、虫垂炎が疑わしい | 消化器外科、外科、救急外来 |
| 夜間・休日で通常診療がない | 救急外来、地域の急患センター、#7119相談 |
| 強い痛み、嘔吐、冷や汗、歩けない | 119番、救急外来 |
| 妊娠の可能性がある、下腹部痛や出血がある | 救急外来、産婦人科も含めて早急に相談 |
「虫垂炎なら消化器外科が一番」と考える方もいますが、最初から消化器外科を受診できない地域もあります。
その場合は、内科や消化器内科で診察を受け、血液検査、腹部エコー、CT検査などが必要か判断してもらうことになります。
痛みが強い場合や、夜間・休日の場合は、クリニックを探し回るより救急外来へ相談したほうがよいこともあります。
女性は虫垂炎以外の病気にも注意
女性の右下腹部痛では、虫垂炎だけでなく婦人科の病気も考える必要があります。
たとえば、次のような病気です。
- 卵巣出血
- 卵巣茎捻転
- 骨盤内炎症性疾患
- 子宮外妊娠
- 生理に関連した強い痛み
特に、妊娠の可能性がある方で、強い下腹部痛、出血、めまい、冷や汗がある場合は、早急な受診が必要です。
受診時には、最終月経、妊娠の可能性、不正出血の有無も伝えましょう。
婦人科の症状か、消化器の症状か、自分だけで見分けるのは難しいです。
強い痛みがある場合は、救急外来で相談するのが安全です。
受診前にやってはいけない行動
腹痛があると、少しでも楽になりたくて、市販薬や食事で何とかしようとしてしまいますよね。
しかし、虫垂炎などの急性腹症が疑われるときは、受診前の行動にも注意が必要です。
1. 市販薬で長く様子を見る
市販の胃薬や痛み止めを飲むこと自体が、すべて危険というわけではありません。
ただし、痛みが一時的にやわらいだことで「治った」と思い、受診が遅れるのは避けたいところです。
特に、みぞおちから右下へ痛みが移動している、発熱や吐き気がある、歩くと響く場合は、市販薬だけで様子を見続けないでください。
すでに薬を飲んだ場合は、受診時に薬の名前、飲んだ時間、量を伝えましょう。
2. 下剤や浣腸を使う
「便秘かもしれない」と思って、下剤や浣腸を使いたくなることがあります。
しかし、強い腹痛や虫垂炎が疑われるときに自己判断で下剤を使うのは避けてください。
腹痛の原因によっては、症状を悪化させたり、判断を難しくしたりする可能性があります。
3. 食事をしっかり取ってから受診する
虫垂炎などで緊急の処置や手術が必要になる場合があります。
そのため、強い腹痛で受診する前に、無理に食事を取るのは避けましょう。
ただし、「絶対に水も飲んではいけない」と自己判断する必要はありません。
吐き気が強い、水分を飲むと吐く、手術の可能性があると言われた場合は、医療機関の指示に従ってください。
受診前に迷う場合は、電話で医療機関や#7119に相談すると安心です。
4. 温める・マッサージする
腹痛があると、温めたり揉んだりしたくなることがあります。
しかし、炎症がある場合には適さないことがあります。
右下腹部の強い痛みがあるときは、無理に温めたり、押したり、マッサージしたりせず、安静にして受診しましょう。
病院で伝えると診察がスムーズになること
腹痛で受診するときは、症状の経過がとても大切です。
スマホのメモに、次の内容をまとめておくと診察がスムーズになります。
- いつから痛いか
- 最初に痛かった場所
- 痛みが右下へ移動した時間
- 痛みの強さ
- 歩く、咳をする、振動で響くか
- 発熱の有無
- 吐き気・嘔吐の有無
- 食欲があるか
- 下痢・便秘の有無
- 最後に食べた時間
- 飲んだ薬の名前と時間
- 持病、アレルギー、服薬中の薬
- 妊娠の可能性、最終月経、不正出血の有無
虫垂炎が疑われる場合、診察、血液検査、尿検査、腹部エコー、CT検査などを組み合わせて判断されることがあります。
症状だけでは胃腸炎や婦人科疾患、尿路結石などと区別が難しいこともあるため、検査で確認することが大切です。
会社や家族へ伝えるときの例文
仕事や予定があると、受診をためらってしまう方も多いと思います。
でも、右下腹部へ移動する腹痛や発熱があるときは、無理をしないことが大切です。
会社へ連絡する例文
おはようございます。昨夜から腹痛があり、今朝になって痛みが右下腹部へ移動し、発熱もあるため、医療機関を受診します。本日は急で申し訳ありませんが、お休みをいただけますでしょうか。状況がわかり次第、改めてご連絡いたします。
家族へ伝える例文
みぞおちの痛みが右下腹部に移ってきて、歩くと響く感じがあります。虫垂炎の可能性もあるみたいなので、病院へ行こうと思います。付き添いか、移動のサポートをお願いできますか?
腹痛が強いときは、自分で運転して受診するのは避けたほうがよい場合があります。
痛みで集中できない、途中で悪化する、吐き気がある場合は、家族やタクシー、救急相談を利用しましょう。

よくある質問
Q. みぞおちから右下へ痛みが移動したら、必ず虫垂炎ですか?
A. 必ず虫垂炎とは言えません。ただし、虫垂炎でよく知られている痛みの経過のひとつです。発熱、吐き気、食欲不振、歩くと響く痛みがある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
Q. 反跳痛を自分で確認したほうがいいですか?
A. 強く押して確認する必要はありません。反跳痛は医療者が診察で確認する所見です。歩くと響く、咳で響く、軽く触るだけで強く痛い、お腹が硬いといった症状があれば、自己チェックを続けず受診してください。
Q. 痛み止めを飲んでもいいですか?
A. すでに飲んだ場合は、薬の名前と時間を医師に伝えてください。ただし、右下腹部へ移動する痛みや発熱がある場合、市販薬だけで長く様子を見るのは避けましょう。痛みが和らいでも原因が治ったとは限りません。
Q. 食事はしてもいいですか?
A. 強い腹痛でこれから受診する場合、手術や検査が必要になる可能性もあるため、無理に食事を取るのは避けましょう。水分については、吐き気や嘔吐がある場合は無理せず、医療機関へ相談してください。
Q. 内科と外科、どちらに行けばいいですか?
A. 痛みが軽く歩ける場合は、内科や消化器内科でも相談できます。虫垂炎が強く疑われる、痛みが強い、夜間・休日の場合は、外科や救急外来が適していることがあります。迷う場合は#7119や医療機関へ電話相談しましょう。
Q. 仕事を休むほどの腹痛かわかりません。
A. みぞおちから右下腹部へ痛みが移動し、発熱や吐き気、歩くと響く痛みがある場合は、仕事より受診を優先したほうが安全です。早めに確認することで、結果的に長く休むリスクを減らせる場合があります。
Q. 女性の場合、婦人科へ行くべきですか?
A. 右下腹部痛は、虫垂炎だけでなく婦人科の病気でも起こります。妊娠の可能性、不正出血、強い下腹部痛、めまいがある場合は、救急外来や産婦人科へ早めに相談してください。迷う場合は救急相談を利用しましょう。
まとめ|右下へ移動する腹痛は、無理せず早めに相談を
みぞおちやへそ周りから始まり、右下腹部へ移動する腹痛は、急性虫垂炎でみられることがある大切なサインです。
もちろん、症状だけで病名を決めることはできません。
しかし、発熱、吐き気、食欲不振、歩くと響く痛み、お腹の硬さがある場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関へ相談しましょう。
- 虫垂炎では、みぞおち・へそ周りの痛みから右下腹部痛へ移動することがある
- 歩く、咳をする、車の振動で痛みが響く場合は注意が必要
- 反跳痛を自分で強く押して確認する必要はない
- 右下腹部痛に発熱・吐き気・食欲不振がある場合は早めに受診を考える
- 受診先は内科、消化器内科、胃腸科、外科、救急外来が候補
- 強い痛み、冷や汗、意識がぼんやりする、歩けない場合は119番も検討する
- 妊娠の可能性がある女性の下腹部痛は、婦人科疾患も含めて早急な相談が必要
- 市販薬だけで長く様子を見る、下剤を使う、無理に食事を取るのは避ける
- 受診時は、痛みの移動、発熱、吐き気、飲んだ薬、最後に食べた時間を伝える
大切な仕事や予定があると、病院へ行く決断はしにくいものです。
でも、腹痛は「少し休めば治るもの」だけではありません。
特に、痛みの場所が移動して右下腹部に強く出てきた場合は、体が助けを求めているサインかもしれません。
不安を抱えたまま我慢するより、早めに診てもらうことが、あなたの体と日常を守る一歩になります。
参考情報
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「虫垂炎」
- 日本腹部救急医学会「急性腹症診療ガイドライン2015 第Ⅶ章 急性腹症の診察」
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)ってナニ?」
- 厚生労働省「大人の症状は #7119」
- 総務省消防庁「救急車を上手に使いましょう」