ご主人の健康診断で「LDLコレステロールが高めです」と言われ、医師から「飽和脂肪酸を控えましょう」と説明されて、戸惑ってしまったことはありませんか?
「飽和脂肪酸って、そもそも何のこと?」
「お肉はもう食べさせないほうがいいの?」
「毎日のごはん、どう変えればいいの?」
このようなお悩みは、とてもよくあります。
毎日の食事を預かる立場だからこそ、何をどう気をつければいいのか迷ってしまいますよね。
でも、まずお伝えしたいのは、お肉や油をすべてやめる必要はないということです。
大切なのは、「食べないこと」ではなく「選び方」と「使い方」を少し見直すこと。
たとえば、お肉の部位を変える、調理法を工夫する、おやつの選び方を見直す。
そんな小さな積み重ねが、無理なくコレステロール対策につながっていきます。
この記事では、専門用語はできるだけ使わず、スーパーでの買い物や家庭での料理ですぐに役立つコツを、わかりやすくご紹介します。
ご主人にもご家族にも無理のない方法で、今日からできる工夫を一緒に見ていきましょう。
- 1 そもそも「飽和脂肪酸」とは?なぜ控えたほうがよいの?
- 2 まず知っておきたい!コレステロール対策は「全部やめる」より「置き換える」が大切
- 3 【スーパーで実践】お肉はやめなくて大丈夫!「部位」の選び方で差がつきます
- 4 魚や大豆製品も上手に活用すると、さらに続けやすくなります
- 5 【キッチンで実践】同じ食材でも変わる!脂を減らす調理法のコツ
- 6 外食やお惣菜を選ぶときのポイントも知っておくと安心です
- 7 要注意!お菓子やルウに潜む「見えない油」にも気をつけましょう
- 8 こんな習慣も見直せると、より効果的です
- 9 飽和脂肪酸に関するよくある質問(FAQ)
- 10 まとめ:完璧を目指さなくて大丈夫。できることから少しずつ
そもそも「飽和脂肪酸」とは?なぜ控えたほうがよいの?
医師から「飽和脂肪酸を控えてください」と言われても、すぐにイメージできる方は意外と多くありません。
飽和脂肪酸をとても簡単に言うと、お肉の白い脂身、バター、ラードなどに多く含まれる、常温で白っぽく固まりやすい脂のことです。
もちろん脂は体にとって必要な栄養素のひとつですが、飽和脂肪酸をとりすぎると、血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が増えやすくなることがわかっています。
LDLコレステロールが多い状態が続くと、余分なコレステロールが血管の壁にたまりやすくなり、少しずつ血管が硬く、狭くなっていくことがあります。
これが動脈硬化です。動脈硬化が進むと、将来的に心筋梗塞や脳梗塞などのリスクにつながることもあるため、早めの食生活の見直しが大切になります。
つまり医師が「飽和脂肪酸を控えましょう」と言うのは、単に体重を減らすためではなく、ご主人の血管を守るためなのです。
ただし、怖がりすぎなくても大丈夫です。
毎日の食事の中で、脂の多いものを少し減らし、別の食材や調理法に置き換えるだけでも、体への負担は変わってきます。
まず知っておきたい!コレステロール対策は「全部やめる」より「置き換える」が大切
ご主人の健康を思うあまり、「じゃあ今日からお肉禁止」「揚げ物も甘いものも全部ダメ」と厳しくしてしまいたくなることもあるかもしれません。
でも、食事は毎日のこと。
あまりに厳しい制限は、続きにくいだけでなく、食べる楽しみまで減ってしまいます。
ご主人のストレスが増えると、かえって間食やドカ食いにつながってしまうこともあります。
さらに、お肉や油を極端に避けすぎると、たんぱく質やエネルギーが不足して、体力や筋力の低下を招く場合もあります。
だからこそ大切なのは、「ゼロにすること」ではなく、より負担の少ない選び方に変えていくことです。
たとえば、豚バラを豚ももに変える。鶏ももは皮を外す。
炒め物は油たっぷりではなく蒸し焼きにする。
こうした小さな工夫なら、家庭でも無理なく続けやすいですよね。
コレステロール対策は、完璧を目指すよりも、続けられる工夫を少しずつ増やすことが成功の近道です。
【スーパーで実践】お肉はやめなくて大丈夫!「部位」の選び方で差がつきます
お肉には、たんぱく質、鉄分、ビタミンB群など、体づくりに欠かせない栄養がたくさん含まれています。
だからこそ、「お肉は悪いもの」と決めつけなくて大丈夫です。
意識したいのは、お肉の種類よりも部位です。
脂身の多い部位を控えて、赤身の多い部位を選ぶだけでも、飽和脂肪酸の量はかなり変わってきます。
たとえば、牛肉ならカルビやサーロインよりも、もも肉やヒレ肉。豚肉ならバラ肉よりも、もも肉やヒレ肉。
鶏肉なら皮つきのもも肉より、皮を取ったむね肉やささみのほうが、脂質を抑えやすくなります。
「赤身だとかたくて食べにくそう」と感じる場合は、薄切り肉を選んだり、下味をつけたり、片栗粉をまぶしてやわらかく仕上げたりすると食べやすくなります。
また、ひき肉は見た目では脂の量がわかりにくいため、できれば赤身多めのものを選ぶのがおすすめです。
商品によっては「脂身少なめ」「赤身○%」などと表示されていることもあるので、買うときに少し意識してみてください。
📊 比較表
お肉の種類別・飽和脂肪酸を減らす「部位」の選び方
| お肉の種類 | 控えめにしたい部位(飽和脂肪酸が多い) | おすすめの部位(飽和脂肪酸が少なめ) | 買い物のコツ・工夫 |
|---|---|---|---|
| 牛肉 | バラ肉(カルビ)、サーロイン | もも肉、ヒレ肉 | 「霜降り」より「赤身」を意識して選ぶと、脂を抑えやすくなります。 |
| 豚肉 | バラ肉、脂の多いひき肉 | もも肉、ヒレ肉 | しゃぶしゃぶ用の薄切りも便利です。脂を落としやすく、調理もしやすいです。 |
| 鶏肉 | 皮つきもも肉、手羽先 | むね肉(皮なし)、ささみ | 皮を外すだけでも大きな違いがあります。皮は調理前に取り除くのがおすすめです。 |
魚や大豆製品も上手に活用すると、さらに続けやすくなります
毎食お肉にこだわらなくても大丈夫です。
コレステロール対策を無理なく続けるには、魚や大豆製品も上手に取り入れるのがおすすめです。
たとえば、週に数回はお肉の代わりに、焼き魚・煮魚・豆腐ハンバーグ・厚揚げ・納豆・豆腐入りつくねなどに置き換えるだけでも、食卓の脂質バランスが整いやすくなります。
特に青魚には、血液中の脂質バランスを整える働きが期待される油が含まれています。
もちろん、魚にも調理法は大切なので、揚げるよりも焼く・煮る・蒸すのほうが取り入れやすいでしょう。
「毎日完璧に魚にしなきゃ」と考える必要はありません。
今日は豚しゃぶ、明日は焼き魚、明後日は豆腐料理というように、少しずつ選択肢を増やすだけでも十分です。
【キッチンで実践】同じ食材でも変わる!脂を減らす調理法のコツ
スーパーでの部位選びと同じくらい大切なのが、家での調理法です。
同じお肉でも、調理の仕方によって、食べる脂の量は変わってきます。
基本の考え方は、「油を足す調理」より「余分な脂を落とす調理」を選ぶことです。
たとえば、揚げる・多めの油で炒めるといった調理は、もともとの脂に加えて、さらに油を使うことになります。
一方、茹でる・蒸す・網焼きにする調理なら、余分な脂を落としやすくなります。
具体的には、次のような工夫が取り入れやすいでしょう。
- とんかつより豚しゃぶにする
- 唐揚げより蒸し鶏やグリル焼きにする
- 油たっぷりの炒め物より、蒸し焼きや煮物にする
- 焼いたあとの余分な脂をキッチンペーパーでふき取る
フライパン調理の場合も、フッ素樹脂加工のフライパンを使えば、油をたくさん入れなくても調理しやすくなります。
味つけを少し濃いめのだしや香味野菜、ポン酢などで工夫すると、「あっさりしすぎて物足りない」という不満も出にくくなります。
また、バターやラードを使う料理は、できる範囲でオリーブオイルやこめ油などの植物油に置き換えるのもおすすめです。
もちろん、植物油でも使いすぎればカロリーは増えるので、かけすぎには気をつけましょう。
✍️ 専門家からのひとこと
おすすめの工夫:お肉を炒めたり煮たりする前に、さっと下茹でや湯通しをしてみてください。
このひと手間だけで、表面についている余分な脂を落としやすくなります。特に豚こま肉や薄切り肉を使う料理では取り入れやすく、家庭でも続けやすい方法です。
「食べてはいけない」で我慢を増やすより、「どうすればおいしく脂を減らせるか」を考えたほうが、食卓の満足感を下げずに続けやすくなります。
外食やお惣菜を選ぶときのポイントも知っておくと安心です
毎日すべて手作りにするのは大変ですし、外食やお惣菜に頼る日があって当然です。
そんなときも、少し意識するだけで脂質を抑えやすくなります。
たとえば、外食なら次のような選び方がおすすめです。
- 揚げ物定食より、焼き魚定食や刺身定食を選ぶ
- ラーメンより、そばやうどんを選ぶ
- 丼もの単品より、主菜と副菜がそろった定食を選ぶ
- マヨネーズたっぷりのメニューは控えめにする
お惣菜を買うときも、コロッケ・唐揚げ・メンチカツなどの揚げ物が続かないようにして、冷ややっこ、ひじき煮、サラダ、焼き魚、煮物などを組み合わせると、全体のバランスが整いやすくなります。
完璧でなくても、「今日は揚げ物だったから、次の食事はあっさりめにしよう」と考えられれば十分です。
要注意!お菓子やルウに潜む「見えない油」にも気をつけましょう
「お肉の脂身には気をつけているのに、なかなか数値が下がらない…」というときに、見落とされやすいのが加工食品に含まれる見えない油です。
たとえば、ケーキ、クッキー、チョコレート、菓子パン、スナック菓子、市販のカレールウなどには、パーム油やショートニングなどが使われていることがあります。
これらは植物由来の油ではありますが、飽和脂肪酸を多く含むものも少なくありません。
目に見える脂身は避けやすいのですが、加工食品の中に練り込まれている油は見えないため、知らないうちに摂りすぎてしまうことがあります。
もしご主人に「食後に甘いものを食べるのが習慣」という場合は、毎日洋菓子を食べるのではなく、和菓子や果物、無糖ヨーグルトなどに置き換える日を増やしてみてください。
たとえば、
- ショートケーキ → どら焼きやまんじゅう
- バターたっぷりのクッキー → せんべいやようかん
- 菓子パン → おにぎりやバナナ
このように少し変えるだけでも、飽和脂肪酸を抑えやすくなります。
甘いものを完全にやめるより、「選び方を変える」ほうが続けやすいですね。

こんな習慣も見直せると、より効果的です
飽和脂肪酸対策というと、お肉や油ばかりに目が向きがちですが、実は毎日のちょっとした習慣も大切です。
- 夜遅い時間のこってりした食事が多い
- お酒のおつまみが揚げ物や加工肉に偏っている
- 野菜が少なく、満腹感を脂っこいおかずで補っている
- 朝食を抜いて、昼や夜に食べすぎてしまう
こうした状態が続くと、脂質のとり方全体が偏りやすくなります。
まずは、野菜やきのこ、海藻、汁物などを一緒にとって、食事全体のバランスを整えることも意識してみましょう。
「油を減らす」だけでなく、「野菜や副菜を増やして満足感を保つ」という考え方にすると、我慢ばかりの食事になりにくいですよ。
飽和脂肪酸に関するよくある質問(FAQ)
Q. 飽和脂肪酸は、1日にどれくらいまでを目安にすればよいですか?
A. 一般的には、飽和脂肪酸の摂取量は「1日の総エネルギーの7%以下」が目安とされています。成人男性なら1日あたりおよそ15〜18g前後がひとつの目安になりますが、年齢や体格、食事量によっても変わります。すでに健康診断で指摘がある場合は、主治医や管理栄養士の指示を優先してください。
Q. オリーブオイルは体によいと聞きました。たくさん使っても大丈夫ですか?
A. オリーブオイルは、バターやラードに比べると使いやすい油ですが、やはり「油」なのでカロリーは高めです。体によいイメージがあっても、かけすぎ・使いすぎには注意しましょう。炒め物なら少量で香りづけ程度に使うくらいでも十分です。
Q. 卵はコレステロールが多いから、食べないほうがいいですか?
A. 以前は卵を厳しく控える考え方もありましたが、現在は食事全体のバランスのほうが大切とされています。卵だけを必要以上に怖がるよりも、脂身の多い肉や加工食品の摂りすぎに注意するほうが実践的です。ただし、持病や治療方針によって指示が異なることもあるため、医師から個別の制限がある場合はそちらを優先してください。
Q. 夫が揚げ物好きです。どうしたら無理なく減らせますか?
A. いきなりゼロにしようとすると続きにくいため、まずは回数を少し減らしたり、量を控えめにしたりするのがおすすめです。たとえば「週3回を週1〜2回にする」「唐揚げの日はサラダや汁物をしっかりつける」「翌日はあっさりしたメニューにする」といった形なら取り入れやすいです。
まとめ:完璧を目指さなくて大丈夫。できることから少しずつ
飽和脂肪酸を控えると聞くと、つい「お肉禁止」「油は全部ダメ」と考えてしまいがちですが、実際はそんなに厳しく構えなくても大丈夫です。
今回のポイントをまとめると、次の3つです。
- 部位選び:バラ肉より赤身肉、鶏肉は皮を外す
- 調理法:揚げる・炒めるより、茹でる・蒸す・焼くを意識する
- 見えない油:洋菓子や菓子パン、市販ルウなど加工食品の油にも気をつける
どれも、今日から少しずつ始められることばかりです。
全部を一度に変えなくても、「今日は豚バラではなく豚ももにしてみよう」「おやつを和菓子にしてみよう」そんな一歩で十分です。
毎日の食事は、ご主人の健康を支える大切な習慣です。
でも、それは同時に、ご家族がほっとできる時間でもあります。
だからこそ、我慢ばかりではなく、無理なく続けられる方法を見つけていきたいですね。
完璧を目指さず、できる工夫から少しずつ。あなたのやさしい気づかいの積み重ねが、ご主人のこれからの健康につながっていきます。
【著者情報】
田中 隆一(管理栄養士)
木村クリニック 栄養指導担当。脂質異常症の食事療法や、家庭で取り入れやすい栄養管理を専門とする。過去10年間で5,000人以上の生活習慣病患者・予備軍への栄養指導を担当。「厳しい制限ではなく、毎日の献立作りに寄り添いながら、我慢しすぎずに続けられる工夫を提案すること」を大切にしている。
【参考文献リスト】
情報の透明性と正確性を大切にするため、本記事の執筆にあたっては、以下の公的機関および専門学会の資料を参考にしています。
- 厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2025年版)
- 農林水産省:脂質のとりすぎに注意
- 日本動脈硬化学会:コレステロール摂取に関するQ&A