著者プロフィール
鈴木 武 (Takeshi Suzuki)
ビジネス英語コーチ / 元外資系メーカー海外営業部長TOEIC 300点台から独学でビジネス英語を習得し、海外駐在を経験。「教科書の正解」ではなく、現場で本当に通じる「最適解」を伝授する頼れる先輩コーチ。著書に『現場で恥をかかないビジネス英語の極意』など。
「『with』は友達感覚、『along with』は主従関係。この感覚さえ掴めば、あなたの英語は一気にプロらしくなります。」
海外の取引先から届いたメールに、さらっと書かれていた “along with” というフレーズ。
「〜と一緒に」という意味だとは分かっていても、いざ自分が返信する段になると、どうしても使い慣れた “with” ばかりを選んでしまっていませんか?
辞書を引いても「〜と一緒に」「〜に加えて」としか書かれておらず、「じゃあ、with と何が違うの?」「どういう時に along with を使うべきなの?」という疑問は解消されませんよね。
実は、その「なんとなく違う気がする」という直感は正しいのです。
ネイティブスピーカーは、この2つの言葉を明確な意図を持って使い分けています。
その鍵となるのが、「どっちが主役か?」という主従関係です。
この記事では、元外資系営業部長の私が、ビジネス現場で「あえて along with を選ぶべき場面」と、絶対にやってはいけない「文法ミス」について解説します。
これを読めば、あなたも自信を持って「主役」と「脇役」を演出し、プロらしい洗練された英語を使えるようになります。
「〜と一緒に」だけじゃない?ネイティブが感じる along with のコアイメージ
辞書的な和訳に頼っていると、いつまでたってもネイティブの感覚は掴めません。
まずは、彼らの脳内にある「映像」を共有しましょう。
“along” という単語には、「長いもの(道や川など)に沿って」というコアイメージがあります。
そこに「一緒」を表す “with” がくっついたのが “along with” です。
つまり、単に「AとBが一緒にいる(静止画)」のではなく、「Aという大きな流れ(主)があり、そこにBが乗っかって一緒に進んでいる(動画)」というイメージなのです。

このイメージさえ持っていれば、迷うことはありません。
「Aがメインで、Bはあくまで付属品(おまけ)」と言いたい時こそが、along with の出番なのです。
【図解】どっちが主役? with / together with との使い分け
では、似たような表現である “together with” や “in addition to” とはどう使い分ければよいのでしょうか?
ここでも「主従関係」が判断基準になります。
1. together with / and (対等な関係)
AとBが対等なパートナーである場合は、“and” または “together with” を使います。
イメージは「手をつないで一緒にゴールする」感じです。
- Mr. Smith and I will attend the meeting.
(スミスさんと私は、二人とも出席します=対等)
2. along with (主従関係)
先ほど説明した通り、Aが主役でBが付属品の場合です。
- I, along with my assistant, will attend the meeting.
(私がメインで出席し、アシスタントも連れて行きます=主従)
3. in addition to (単なる追加)
これは「リストに項目を加える」ような、事務的な「追加」のニュアンスが強くなります。
- In addition to English, he speaks French.
(英語に加えて、フランス語も話す=能力の列挙)
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 上司や取引先と同行する際は、安易に
along withを使わないよう注意しましょう。なぜなら、
I, along with my boss...と言ってしまうと、無意識のうちに「私が主役で、上司はついで」というニュアンスを醸し出してしまうリスクがあるからです。目上の人と一緒の場合は、無難にandやtogether withを使うか、主語をWeにするのが大人のマナーです。
ビジネスメールで恥をかかない!絶対守るべき「単数扱い」のルール
ここが今回の記事で最も重要なポイントです。
along with を使う際、多くの日本人が陥る「文法トラップ」があります。
それは、主語の単数・複数の一致(Subject-Verb Agreement)です。
結論から言います。
“A along with B” の主語は、あくまで “A” だけです。
文法的に along with B は「前置詞句(修飾語)」であり、接続詞(and)ではありません。
そのため、動詞の形は A に合わせる必要があります。
📊 比較表
表タイトル: along with と and の文法的な違い(主語の一致)
| 表現 | 文法上の扱い | 主語の数 | 動詞の形 (現在形) |
|---|---|---|---|
| A and B | 接続詞 | 複数 (A + B) | are / do / have |
| A along with B | 前置詞句 | Aに依存 | is (Aが単数の場合) |
❌ よくある間違い
- The CEO, along with his assistant, are coming to the party.
(CEOとアシスタントだから2人=複数形 are だと思ってしまう)
✅ 正しい使い方
- The CEO, along with his assistant, is coming to the party.
(主語は The CEO だけ。along with his assistant はただの飾り=単数形 is)
このルールを知らずに are を使ってしまうと、ネイティブには「主語が見えていない(文法構造が分かっていない)」という稚拙な印象を与えてしまいます。
ビジネスメールでは、この一点だけは絶対に守ってください。
Phrases such as *together with*, *as well as*, and *along with* are not the same as *and*. The phrase introduced by *along with* modifies the earlier word, but it does not compound the subjects.
出典: Subject-Verb Agreement – Lund University AWELU
明日から使える!along with の実践フレーズ集
理屈が分かったところで、明日からのメールや会話ですぐに使える実践的なフレーズを紹介します。
1. メールの添付ファイルを送る時(鉄板!)
請求書や見積書を送る際、メインの書類に補足資料を付けるシチュエーションは along with の独壇場です。
- “Please find the invoice attached along with the detailed report.”
(詳細レポートと一緒に、請求書を添付いたしました。)- 解説: 請求書(invoice)がメインで、レポートはあくまで参考資料というニュアンスが綺麗に伝わります。
2. プロジェクトの進捗報告
- “We have completed the design phase, along with the initial testing.”
(初期テストと共に、デザインフェーズを完了しました。)- 解説: デザイン完了が主たる成果で、テストはおまけ(付随作業)であることを示唆します。
3. 熟語:get along with (うまくやる)
- “I get along with my colleagues very well.”
(同僚たちとうまくやっています。)- 解説: 直訳すると「同僚たちという流れに乗って、一緒に進んでいる」=「波長が合う、仲良くやる」という意味になります。これもコアイメージ通りですね。
まとめ
along with は、単なる「〜と一緒に」ではありません。
そこには明確な「主従関係」と「流れ」が存在します。
- コアイメージ: 大きな流れ(主)に、小さなもの(従)が乗っかっている。
- 使い分け: 対等なら
and/together with。主従ならalong with。 - 絶対ルール:
A along with Bの動詞は、A に合わせる(単数なら is)。
言葉を選ぶことは、相手への敬意を表すことでもあります。
「なんとなく」の英語から卒業し、意図を持って言葉を選べるようになれば、あなたのビジネス英語はもっと洗練されたものになるはずです。
次のメールでは、ぜひ自信を持って、あえて along with を使って「主役」と「脇役」を演出してみてください。
参考文献
- Subjects containing “along with”, “as well as”, and “besides” – Lund University AWELU
- Difference between “along with” and “together with” – Stack Exchange (English Language & Usage)
- Subject-Verb Agreement – Grammarly Blog