
この記事の著者:北村 敦(きたむら あつし)
DIYアドバイザー / 元家具職人
DIY教室の講師歴10年。ホームセンターの資材担当としての勤務経験もあり、売り場の裏事情にも詳しい。「失敗させない兄貴分」として、初心者が陥りやすい罠を先回りして教える。
「子供のおもちゃが増えてきたから、リビングにぴったりの収納棚を作ろう!」
そう意気込んでホームセンターに行ったものの、木材売り場にズラリと並ぶ板の前で立ち尽くしてしまった経験はありませんか?
「ラワン?」「構造用?」「コンパネ?」……呪文のような名前ばかりで、どれを選べばいいのかさっぱり分からない。
店員さんに聞こうにも、何を聞けばいいのかすら分からない。
結局、何も買わずにすごすごと帰ってきてしまった。
そんなあなたへ、元家具職人として断言します。
迷う必要はありません。
DIYでおしゃれで丈夫な棚を作るなら、正解は「シナランバーコア」これ一つです。
この記事では、なぜ「シナランバーコア」が最強なのか、そしてどう選べば「安っぽくないプロ級の家具」になるのかを、専門用語なしで解説します。
これを読めば、もうホームセンターで迷うことはありません。
「ベニヤ板」は買うな。「合板」を買え。
まず最初に、多くの人が陥っている大きな誤解を解いておきましょう。
あなたがホームセンターで探すべきなのは、「ベニヤ板」ではありません。「合板(ごうはん)」です。
「えっ、ベニヤ板と合板って同じじゃないの?」と思われたかもしれませんね。
実は、厳密には違うものなんです。
ベニヤ(Veneer)とは、丸太をかつら剥きにした「薄い1枚の板(単板)」のことを指します。
ペラペラの木の皮のような状態です。
これ1枚では強度がなく、家具の材料にはなりません。
このベニヤ(単板)を、繊維の方向が直交するように奇数枚重ねて接着剤で貼り合わせたもの。
これが「合板(Plywood)」です。

一般的に「ベニヤ板」と呼ばれているものの正体は、実はこの「合板」なんです。
しかし、DIYで棚を作るなら、薄っぺらい板ではなく、しっかりとした厚みと強度のある「合板」を探す必要があります。
売り場に行ったら、「合板」と書かれたコーナーを目指してください。そこがあなたの戦場です。
おもちゃ棚の正解は「シナランバーコア」である3つの理由
合板売り場に行くと、さらに「ラワン合板」「シナ合板」「ランバーコア」など、色々な種類があって混乱すると思います。
ここで結論を言います。おもちゃ棚を作るなら、「シナランバーコア」を選んでください。これ一択です。
なぜ、元家具職人の私がここまで強く推すのか。それには、初心者こそが恩恵を受けられる3つの理由があるからです。
1. 圧倒的な軽さ:女性でも片手で持てる
「棚作りで一番大変なのは何か?」と聞かれたら、私は迷わず「重さ」と答えます。
普通の合板(積層合板)は、薄い板が何層にも重なっているので、中身が詰まっていて非常に重いです。
18mm厚のサブロク板(畳一畳分)だと、男性でも運ぶのに苦労します。
しかし、シナランバーコアは違います。
ランバーコア(Lumber Core)とは、芯材に「ファルカタ」などの軽い木のブロックを使った合板のことです。
中身が軽い木なので、驚くほど軽量なんです。
女性でも片手で持てる軽さは、組み立て作業の負担を劇的に減らしてくれます。
途中で嫌にならずに完成させるために、「軽さ」は正義です。
2. ビスが効く:失敗してもやり直せる
DIY初心者が一番恐れる失敗。それは「ネジ(ビス)を打ったら板が割れた」ことではないでしょうか。
普通の合板は、層の間にビスを打つと、メリメリっと割れてしまうことがあります。
しかし、シナランバーコアの芯は「木のブロック」です。
つまり、無垢の木にネジを打つのと同じ感覚で、ガッチリとビスが効きます。
もし失敗しても、少し場所をずらせば打ち直すことができます。
この「リカバリーのしやすさ」が、初心者には最強の味方になります。
とランバーコア(ブロック芯)の断面比較.jpg)
3. 美しさ:塗装なしでもプロ級の仕上がり
そして最後にして最大の理由が、「シナ」という樹種の美しさです。
安い「ラワン合板」は、表面が赤茶色でザラザラしており、木目も荒いです。
これを綺麗に見せるには、丁寧なヤスリがけと塗装が必須になります。
一方、「シナ合板」の表面は、白くてきめ細かく、スベスベしています。
塗装をしなくても十分に清潔感があり、そのまま部屋に置いても「安っぽい」感じがしません。
もし塗装する場合でも、木肌が白いので塗料の色が綺麗に発色します。
「軽くて、ビスが効いて、見た目が綺麗」。
これら3つの要素(軽さ・強度・美観)のバランスが最も優れているのが、シナランバーコアというわけです。
これがおもちゃ棚の最適解である理由がお分かりいただけたでしょうか。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: ホームセンターに行ったら、まず板の「断面」を見てください。
なぜなら、断面がバームクーヘンのような層になっているのが「普通の合板」、厚い木のブロックが挟まっているのが「ランバーコア」だからです。店員さんに聞かなくても、断面を見れば一発で見分けられますよ。
【厚み別】失敗しない使い分けリスト
「シナランバーコアが良いのは分かったけど、厚さはどれを選べばいいの?」
次はそんな疑問にお答えします。
板の厚みは、家具の強度に直結する重要な要素です。
おもちゃ棚を作る前提で、失敗しない厚みの基準をお伝えします。
棚板・側板:15mm または 18mm
本やおもちゃを乗せる棚板や、全体を支える側板には、15mm または 18mm の厚さを選んでください。
これより薄い(例えば12mm)と、本の重みで板がたわんでしまい、最悪の場合崩壊します。
逆にこれ以上厚いと、重くなりすぎて扱いづらくなります。
ホームセンターでは「15mm」か「18mm」が一般的です。
どちらでも大丈夫ですが、重い図鑑などをたくさん置くなら18mmの方が安心です。
背板:4mm または 5.5mm
棚の裏側に貼る「背板」には、4mm または 5.5mm の薄いシナ合板(ここはランバーコアではなく普通の合板でOK)を使います。
背板は重さを支えるわけではなく、棚全体の「揺れ止め」の役割を果たします。
厚みは必要ないので、薄くて安いもので十分です。
引き出し:9mm または 12mm
もし引き出しを作るなら、側板には 9mm または 12mm が適しています。
15mmだと分厚すぎて引き出しの中が狭くなってしまいますし、薄すぎると壊れやすくなります。
📊 比較表
おもちゃ棚DIYのための厚み選びガイド
| 部位 | 推奨厚み | 選び方のポイント |
|---|---|---|
| 棚板・側板 | 15mm / 18mm | 重さを支えるメイン部分。薄いとたわむので注意。 |
| 背板 | 4mm / 5.5mm | 揺れ止め用。薄くてOK。ここは普通のシナ合板で。 |
| 引き出し | 9mm / 12mm | 軽さと容量確保のため、少し薄めを選ぶのがコツ。 |
絶対に買ってはいけない「NG合板」リスト
正解をお伝えしましたが、逆に「これだけは絶対に買ってはいけない」というNG合板も存在します。
安さにつられてこれらを買ってしまうと、後で必ず後悔することになります。
1. コンパネ(コンクリート型枠用合板)
「コンパネ」は、コンクリートを流し込むための型枠として使われる板です。
黄色い塗装がされていたり、表面がボコボコしていたりします。本来は使い捨てにするものなので、見た目は二の次。
しかも、耐水性を高めるための接着剤が使われており、独特の臭いがすることがあります。
室内で使う家具には全く適していません。
2. 構造用合板
家の壁や床の下地に使われる板です。強度はありますが、表面はガサガサで、大きな節や割れがあることも多いです。
「あえてラフな感じにしたい」という上級者なら使いこなせますが、子供が触れるおもちゃ棚には、ささくれが刺さる危険があるため避けるべきです。
3. F☆☆☆☆(フォースター)の刻印がないもの
これが最も重要です。
合板に使われる接着剤には、シックハウス症候群の原因となる「ホルムアルデヒド」が含まれていることがあります。
JAS規格では、この放散量に応じて等級が決められており、「F☆☆☆☆(フォースター)」が最も放散量が少ない最高等級です。
建築基準法により、内装仕上げ材として使用面積の制限を受けないのはF☆☆☆☆のみです。
出典: 合板の基礎知識 – 日本合板工業組合連合会
子供部屋に置く家具なら、必ず板の表面に「F☆☆☆☆」のスタンプが押されているか確認してください。
これがない板、あるいは星の数が少ない板は、室内での使用が制限されています。
よくある質問(FAQ)
最後に、ホームセンターに行く直前のあなたが抱きそうな不安を解消しておきましょう。
Q: どうやって持って帰ればいいですか?
A: ホームセンターの「カットサービス」を利用しましょう。
サブロク板(1820mm × 910mm)をそのまま持ち帰るのは、軽自動車や普通車では難しいです。
事前に作りたい棚のサイズを決めておき、お店でその寸法通りにカットしてもらいましょう。小さくなれば、車にも簡単に積み込めますし、家での作業も組み立てるだけになるので一石二鳥です。
Q: 塗装は必要ですか?
A: シナランバーコアなら、そのままでも十分綺麗です。
ただし、子供が汚れた手で触ったり、落書きをしたりすることを考えると、汚れ防止のために塗装することをおすすめします。
初心者には、扱いやすくて臭いも少ない「水性ウレタンニス」がおすすめです。これを塗るだけで、水拭きができるようになり、耐久性がグンと上がります。
「パパすごい!」と言われる家具を作ろう
ここまで読んでくれたあなたは、もう「板選び」で迷うことはありません。
「シナランバーコアの15mm(または18mm)」
「F☆☆☆☆(フォースター)の刻印」
この2つを確認すれば、間違いなくプロ級の材料が手に入ります。
良い材料を使うことは、DIY成功への一番の近道です。
加工しやすく、仕上がりが綺麗なシナランバーコアを使えば、あなたの腕が未熟でも、きっと素敵な棚が完成します。
さあ、作りたい棚のサイズを測って、メモを持ってホームセンターへ行ってみましょう!
完成した棚を見たお子さんの「パパすごい!」という笑顔が、あなたを待っていますよ。