握力が弱くても大丈夫!手の小さい女性が選ぶべき「疲れない剪定バサミ」の正解

前田 憲一

著者:前田 憲一(まえだ けんいち)

園芸道具コンシェルジュ / 刃物診断士

老舗刃物メーカーでの製品開発を経て独立。延べ5,000人以上のガーデナーに「身体を痛めない道具選び」をアドバイス。「道具は身体の限界を補うもの」を信条に、科学的根拠に基づいた選定をサポートしている。

週末、庭のバラや果樹を剪定したあと、翌日まで手がしびれて包丁を握るのも辛い……。そんな経験はありませんか?

「もう若くないから仕方ない」「私の握力が足りないせいだ」と諦めてしまうのは、まだ早すぎます。

節子さん、その手の痛みはあなたの体力のせいではなく、今使っているハサミの「仕様」があなたの身体に合っていないだけかもしれません。

1,000円程度の安価なハサミとプロ仕様の道具の差は、切れ味以上に「身体への優しさ」に現れます。

この記事では、手の小さい女性が20mmの太い枝を「ため息が出るほど楽に」切るための、秘密のスペックをお教えします。

「手のサイズ(180mm規格)」×「切断方式(アンビル/ラチェット)」×「疲労軽減(回転ハンドル)」という3つの軸で選べば、翌朝の痛みから解放され、庭仕事が再び楽しみになりますよ。


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まずは自分の手を知る。女性の標準「180mmサイズ」が疲れにくい理由

節子さん、新しいハサミを探す前に、まずはご自身の手のサイズを測ってみましょう。

剪定バサミ選びで最も多い失敗は、「大は小を兼ねる」と思い込んで標準的な200mmサイズを買ってしまうことです。

ハサミの全長と手のサイズには、密接な関係があります。

理想的なのは、「中指の先から手首の最初の横しわまでの長さ」と「ハサミの全長」が近いことです。

日本人女性の平均は約17cm。このサイズの方にとって、180mm(Sサイズ)の剪定バサミは、人間工学的に最も荷重を抑えられる最適適合サイズとなります。

もし17cmの手で200mmのハサミを握ると、指の掛かりが悪くなり、刃を開閉するたびに余計な握力を使わなければなりません。

これが「手が疲れる」最大の原因です。

まずは「180mm」という数字を、あなたの運命の一本を探すための基準にしてください。


「アンビル式」vs「ラチェット式」。握力を3倍にする魔法の仕組み

次に注目すべきは、刃の構造です。

一般的に普及しているのは「バイパス式(交差式)」ですが、握力に自信がない方には別の選択肢があります。

アンビル式は、上刃が「受け台(アンビル)」に当たる構造で、握力弱者にとって非常に有利な仕組みです。

バイパス式が2枚の刃ですれ違うように切るのに対し、アンビル式は「包丁とまな板」のように枝を押し切ります。

これにより、切断時の抵抗が分散され、バイパス式よりも20〜30%軽い力で切ることが可能になります。

さらに太い枝に挑むなら、ラチェット機構が強い味方になります。

これは一度の握り込みで切るのではなく、カチカチと3〜4回に分けて力を蓄積しながら切る仕組みです。

📊 比較表
切断方式別の特徴比較

比較項目バイパス式(交差式)アンビル式(受け台式)ラチェット式
仕組み2枚の刃が重なる刃を受け台に押し当てる歯車で力を数回に分散
必要な握力標準(最大荷重が高い)軽い(20%軽減)極めて軽い(1/3に分散)
切れ味の美しさ非常に綺麗綺麗普通
得意な作業柔らかな枝・花の剪定硬い枝・枯れ枝20mm以上の太い枝

翌朝のしびれを防ぐ!「回転ハンドル」と「クッション」の驚くべき効果

「切る力」の次は、「手のひらへの負担」を考えましょう。

長時間の作業でマメができたり、腱鞘炎のような痛みが出たりするのは、ハンドルと手のひらの間で起きる「摩擦」が原因です。

これを物理的に解消するのが、回転ハンドルという機能です。

回転ハンドルは、握り込む動作に合わせてハンドル自体が回転するため、手のひらとの摩擦をゼロに近づけ、腱鞘炎やマメを物理的に防ぎます。

また、切断した瞬間に「ガツン」と手に伝わる衝撃を吸収するクッション(ショックアブソーバー)の有無も重要です。

この小さなパーツが、あなたの手首と肘を翌朝のしびれから守ってくれます。

回転ハンドルによる荷重分散の仕組み


【厳選】岡恒・アルス・千吉。あなたにぴったりのメーカーはどれ?

最後に、佐藤さんにぴったりの具体的なモデルをご紹介します。

  1. アルスコーポレーション「VS-7R」
    180mmサイズで回転ハンドルを備えた、まさに「疲れにくさNo.1」のモデルです。ハードクローム仕上げが施されているため、サビやヤニに強く、忙しい主婦の方でも切れ味を長く維持できます。
  2. 岡恒「剪定皮サック付 180mm (No.101)」
    伝統的な切れ味を求めるならこちら。ただし、バネがやや強めなので、ある程度の握力がある方向けです。「一生モノ」として研ぎながら使いたい方に最適です。
  3. 藤原産業(千吉)「ラチェット式剪定鋏 SGP-22R」
    とにかく太い枝を楽に切りたいなら、このラチェット式。驚くほど軽い力で20mmの枝が切れます。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 迷ったら、まずは「180mmのアンビル式」を手に取ってみてください。

なぜなら、この組み合わせは「サイズ適合」と「荷重軽減」を同時に叶える、最も失敗の少ない選択だからです。道具を新調することは、年齢に抗うことではなく、これからの庭仕事をより長く、より深く楽しむための知的な投資ですよ。


まとめ:道具を変えれば、庭はもっと優しくなる。

節子さん、道具選びは「自分を労わること」から始まります。

180mmというサイズは手の小さい女性への優しさであり、アンビル刃や回転ハンドルはあなたの握力を補う知恵です。

身体の限界を根性でカバーするのではなく、高性能な道具に任せてしまいましょう。

正しい一本を選べば、翌朝の痛みに怯えることなく、また笑顔でハサミを握れるようになります。

まずはご自身の手のサイズを測ってみてください。

17cm以下なら、迷わず180mmのアンビル式をチェックしましょう。


参考文献

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