高齢の父と母、どちらも介護が必要になり、ショートステイを利用することになりました。
できれば夫婦で同じ施設に入所させたい――そんな希望を実現してみた結果、思いがけない現実が見えてきました。
ショートステイとは? 夫婦で同じ施設に入れるのか
ショートステイは、介護が必要な高齢者が一時的に施設で生活を送ることができるサービスです。
介護保険を利用でき、在宅介護を支える家族にとって大きな助けになります。
通常は個別に施設を選ぶことが多いですが、夫婦で同じ施設に入れるかどうかは、空き状況や施設の方針によって異なります。
今回は、別々の施設に通っていた父と母を、同じ施設で過ごせるよう手配したお話です。
父と母を同じショートステイ施設に。理想の環境が実現!
当初、父と母はそれぞれ別々のショートステイ施設を利用していました。
父は小規模でアットホームな施設、母は大規模で設備が整った施設。
それぞれに合った環境でしたが、通う方向も違い送迎も大変でした。
「どうせなら夫婦一緒に過ごせるほうがいい」と考え、母のいる施設に父も移れるよう、ケアマネージャーに相談。
審査を経て、無事に父も同じ施設で長期ショートステイができることに。
さらに、施設のルールでは男女別室が原則でしたが、夫婦ということで特例として同室が許可されました。まさに理想的な展開でした。
しかし現実は理想通りにはいかなかった
父は新しい施設に馴染めませんでした。理由は複数あります:
- 大規模施設で対応が遅れることがあり、不満がたまった
- コール対応が遅く、ストレスを感じるようになった
- 入所者の中に騒がしい人もいて、環境が合わなかった
- 細かい要望が通りにくく、前の施設との違いを強く感じた
「ここはうるさい」「職員の対応が悪い」と、毎回の訪問時には不満ばかりを口にするようになってしまいました。
結局、父は元の施設へ。母はそのまま残留
理想的だと思っていた夫婦同室でのショートステイでしたが、わずか1週間も経たずに父は再び元の施設へ戻ることになりました。
母は新しい施設に満足しており、移動の必要がなかったため、そのまま残ることに。結果として、また別々の施設で過ごす形に戻りました。
小規模施設の柔軟性と「合う・合わない」の重要性
父がもともといた施設は、少人数でアットホームな雰囲気。職員との距離も近く、要望にも柔軟に対応してもらえていたようです。
そうした環境が、父には非常に合っていたのでしょう。
一方で、大規模施設はルールや運営体制がしっかりしている分、個別対応が難しいこともあります。同じショートステイ施設でも、利用者にとっての「居心地の良さ」は大きく異なることが分かりました。
やってみなければ分からないこともある
周囲からは「夫婦が同じ施設に入れて良かったね」と言われていましたが、実際に生活してみないと分からないことも多いというのが正直なところです。
父は要介護4、母は要介護5。お互いに支え合うのは難しい状況であることも、一緒に過ごすことの難しさにつながったのかもしれません。
今回の経験を通して、「同じ施設に入れること=幸せ」とは限らないという学びを得ました。結局は、それぞれが快適に過ごせる場所が一番なのかもしれません。