「ご来社」と「ご来訪」でもう迷わない。イベント案内からお礼まで、コピペで使えるビジネスメール完全マニュアル

取引先を外部のイベントブースにお招きする案内メールを作成中、「『ご来社』はおかしいから『ご来訪』かな?でも『ご来訪される』って正しい敬語?」と、送信ボタンを押す手が止まってしまっていませんか?

言葉遣いを間違えて失礼があってはいけないと、プレッシャーを感じるお気持ち、よく分かります。

結論から言うと、「ご来訪される」は二重敬語とみなされるリスクがあるため、ビジネスメールでは避けるのが無難です。

この記事では、年間50回以上のマナー研修を行う専門家が、「自社」「外部イベント」など招く場所に応じた最適な言葉の使い分け基準と、二重敬語のリスクを回避する「言い換え表現」を解説します。

そのままコピペして使えるビジネスメールのテンプレートも用意したので、サクッとメールを完成させましょう。


【著者プロフィール】

横山 麻衣(ビジネスマナー講師・コミュニケーションコンサルタント)

大手企業での新入社員・若手社員研修を年間50回以上担当。辞書的な正しさだけでなく、「現場ですぐに使える実践的なメール術」が好評。言葉遣いに迷い、送信ボタンを押すのをためらってしまう若手社員のプレッシャーに寄り添い、絶対に恥をかかない「現場で一番スマートな表現」を伝授している。

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1. 結論:「ご来訪される」はNG!ビジネスメールでの大正解とは?

「ご来訪される、で合っているかな…」と不安に思いながらメールを作成しているあなたへ。

まずは、その不安の正体をはっきりさせましょう。

文化庁の「敬語の指針」によると、一つの語について同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」とし、一般に適切ではないとされています。

「ご来訪される」は、「ご(尊敬の接頭辞)」+「来訪」+「される(尊敬の助動詞)」という構造になっており、この二重敬語に該当するリスクが高いのです。

「じゃあ、どう書けばいいの?」と焦る必要はありません。ビジネスの現場で最もスマートで、絶対に恥をかかない大正解があります。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 無理に「ご来訪」という熟語(漢語)を使わず、「お越しいただく」や「ご足労いただく」といった和語(大和言葉)に言い換えましょう。

なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、丁寧さを意識するあまり硬い熟語を使おうとして、かえって不自然な日本語になってしまうケースが非常に多いからです。私自身、以前は「文法的に正しい敬語」を教えることに注力していましたが、実際のビジネスシーンでは「相手にどう柔らかく、スマートに伝わるか」が重要だと気づきました。「お越しいただく」という和語への言い換えは、相手に柔らかく丁寧な印象を与えつつ、文法的な間違いも防げる最強のテクニックです。この知見が、あなたの成功の助けになれば幸いです。

「ご来訪いただく」も文法的には正しいですが、メールの文面では「お越しいただく」の方が、より洗練された印象を与えます。

2. 【場所別】「来訪」「来社」「来場」の正しい使い分けマップ

「ご来訪される」の不安が解消されたところで、次は「場所」による言葉の使い分けについて整理しましょう。

ここを間違えると、相手に違和感を与えてしまいます。

ビジネスシーンでよく使われる「来訪」「来社」「来場」には、明確な使い分けの基準があります。

  • 来社: 相手が「自社」に来る場合のみ使用します。
  • 来場: 相手が「イベント会場」や「展示会」などに来る場合に使用します。
  • 来訪: 相手が訪ねて来ることを広く指し、場所を問いません

つまり、「来社」は自社限定、「来訪」は場所を問わないという関係性があります。

また、「来場」はイベント会場などに特化した表現です。

今回のように、取引先を「外部のイベントブース」に案内する場合、「弊社ブースへご来社ください」とするのは場所が違うためNGです。

この場合は、場所を問わない「来訪」か、イベントに特化した「来場」を使うのが適切です。

「来社」「来場」「来訪」の場所別使い分けマトリクス

3. そのまま使える!シチュエーション別・案内メールテンプレート

言葉の使い分けが理解できたら、あとは実践あるのみです。

ここでは、あなたが今まさに作成しようとしている「外部イベントブースへの案内メール」をはじめ、シチュエーション別のテンプレートを用意しました。

1で解説した「お越しいただく」への言い換えと、2で解説した場所別の使い分け(来場・来社)を反映しています。

そのままコピーして、必要な箇所を書き換えてご活用ください。

【テンプレート1:外部イベントブースへのご案内】

件名:【展示会のご案内】〇〇EXPO出展のお知らせ(株式会社〇〇 鈴木)〇〇株式会社[部署名] [役職名][お名前] 様いつも大変お世話になっております。株式会社〇〇の鈴木でございます。本日は、〇月〇日(〇)より開催される「〇〇EXPO」への弊社出展につきまして、ご案内申し上げます。当日は、新製品「〇〇」のデモンストレーションをはじめ、貴社の課題解決に役立つソリューションを多数展示いたします。ご多忙の折とは存じますが、ぜひ弊社ブースへお越しいただけますと幸いです。[お名前]様のご来場を、心よりお待ち申し上げております。【展示会概要】・日時:202X年〇月〇日(〇)~〇日(〇)10:00~17:00・場所:〇〇ビッグサイト 東〇ホール・弊社ブース番号:〇-〇〇※ご来場いただける場合は、事前にご連絡いただけますと、 スムーズにご案内が可能でございます。何卒よろしくお願い申し上げます。--------------------------------------------------[署名]--------------------------------------------------

【テンプレート2:自社での打ち合わせへのご案内】

件名:〇〇に関するお打ち合わせの日程について(株式会社〇〇 鈴木)〇〇株式会社[部署名] [役職名][お名前] 様いつも大変お世話になっております。株式会社〇〇の鈴木でございます。先日はお電話にてお時間をいただき、誠にありがとうございました。〇〇の件につきまして、お打ち合わせの日程をご相談したく存じます。誠に恐縮ではございますが、弊社にて実機をご覧いただきながらご説明できればと存じます。つきましては、以下の日程で弊社へお越しいただくことは可能でしょうか。・〇月〇日(〇)14:00~15:00・〇月〇日(〇)10:00~11:00・〇月〇日(〇)15:00~16:00上記日程でご都合が合わない場合は、遠慮なくお申し付けください。ご足労をおかけし大変恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。--------------------------------------------------[署名]--------------------------------------------------

4. よくある質問:「訪問」や「往訪」との違いは?

最後に、ビジネスシーンで混同しやすい類似語について補足しておきます。

「来訪」とよく似た言葉に「訪問」や「往訪」があります。

これらの最大の違いは「誰の動作か(主体)」です。

「来訪」は相手が来ることを指すのに対し、「訪問」は自分が行くことを指します。

したがって、相手の動作に対して「ご訪問いただく」とするのは誤りです。

📊 比較表
「来訪」「訪問」「往訪」の違いと使い分け

言葉意味誰の動作か(主体)例文
来訪人が訪ねて来ること相手本日はご来訪いただき、誠にありがとうございます。
訪問人を訪ねて行くこと自分明日、14時に貴社を訪問いたします。
往訪人を訪ねて行くこと(訪問の硬い表現)自分往訪のスケジュールを調整しております。

※「往訪」は「訪問」と同じ意味ですが、より硬い表現であり、社内でのスケジュール共有などで使われることが多いです。

社外へのメールでは「訪問」を使うのが一般的です。


言葉遣いに迷うのは、あなたが相手に敬意を払い、失礼のないようにと配慮している証拠です。その真摯な姿勢は、きっと相手にも伝わります。

「ご来訪される」という二重敬語のリスクを避け、「お越しいただく」というスマートな言い換えをマスターしたあなたなら、もう大丈夫です。場所に応じた「来社」「来場」の使い分けも完璧ですね。

さっそくテンプレートをコピーして、自信を持ってメールの送信ボタンを押してください!


【参考文献リスト】
本記事は、以下の信頼できる情報源に基づいて執筆されています。

  • 文化庁
    敬語の指針
    (二重敬語の定義および適切な敬語表現の基準として参照)
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