この記事の著者:篠田 恵子(しのだ けいこ)
科学美容家 / 化粧品成分上級スペシャリスト / 元化粧品開発研究員
大手化粧品メーカーで10年間、スキンケア製品の処方開発に従事。「魔法のような広告」をバッサリ切り捨て、科学的根拠に基づいた「本当に効くコスメ」の選び方を指南します。
SNSで話題の「塗るサーモン注射」ことPDRNコスメ。
「痛い注射は嫌だけど、本当に塗るだけであんなツヤ肌になれるの?」と、期待半分、疑い半分で検索されたのではないでしょうか?
元化粧品開発者の視点から正直に言えば、答えは「半分イエスで半分ノー」です。
PDRNは確かに素晴らしい成分ですが、ただ塗ればいいというものではありません。
そこには「浸透」という大きな壁が存在するからです。
しかし、諦めないでください。科学の力を使えば、注射なしでも「水光肌」は作れます。
今日は、成分オタクの私が厳選した「本当に届くPDRN」の選び方を伝授します。
【結論】注射とコスメは別物。でも「水光肌」なら自宅で作れる
まず、過度な期待を整理しましょう。
美容医療の「リジュラン注射」と、化粧品の「PDRNコスメ」は、アプローチする場所が全く違います。
- リジュラン注射: 針で真皮層に直接成分を届け、組織そのものを再生させる(根本治療)。
- PDRNコスメ: 表皮層に働きかけ、バリア機能を修復し、キメを整えてツヤを出す(対症療法+予防)。
正直に言いますが、深く刻まれたシワや凹みをコスメだけで治すのは不可能です。
それは注射の領域です。
しかし、「パンッとしたハリ」や「内側から発光するようなツヤ(水光肌)」であれば、コスメでも十分に目指せます。
むしろ、PDRNの持つ「抗炎症作用」や「修復力」は、日々のスキンケアでこそ真価を発揮します。
注射のようなダウンタイムなしで、毎日コツコツと肌の土台を立て直せるのが、コスメの最大の強みなのです。
なぜ「ただ塗るだけ」では意味がないのか?PDRNの「浸透の壁」
では、なぜ「ただ塗るだけではダメ」なのでしょうか?
それは、PDRNという成分の「大きさ(分子量)」に問題があるからです。
私たちの肌には、外部からの異物侵入を防ぐ強力なバリア機能があります。
このバリアを通過できる成分の大きさは、一般的に「500ダルトン以下」と言われています。
しかし、PDRN(ポリデオキシヌクレオチド)の分子量は、製品にもよりますが数万〜数十万ダルトンにもなります。

つまり、何の工夫もされていないPDRNを塗るのは、「網戸に向かってバスケットボールを投げている」ようなもの。
肌の表面に乗っかっているだけで、奥には届いていないのです。
だからこそ、PDRNコスメを選ぶときは「どうやって届けるか(DDS技術)」が命になります。
失敗しない「本物」の選び方。パッケージ裏で見るべき3つの条件
では、具体的に何を見ればいいのでしょうか?
ドラッグストアやQoo10で迷わないための、3つのチェックポイントを用意しました。
📊 チェックリスト: PDRNコスメ選びの3箇条
- 低分子化されているか?
- 成分表や公式サイトに「低分子PDRN」「加水分解DNA」などの表記があるか確認しましょう。分子量が小さいほど、浸透のチャンスは増えます。
- 浸透技術(DDS)はあるか?
- ここが最重要です。成分をカプセルに閉じ込めた「リポソーム化」や、物理的に道を作る「マイクロニードル(リードルショット等)」が採用されている製品を選びましょう。
- 濃度は十分か?
- 成分表示の最後の方にちょこっと書いてあるだけでは効果は期待できません。成分表の上位にあるか、あるいは「〇〇ppm」と濃度が明記されているものが信頼できます。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 迷ったら「リードルショット(針)」か「リポソーム美容液」を選んでください。
なぜなら、これらは物理的・化学的に「浸透の壁」を突破する仕組みが明確だからです。特にマイクロニードルとの併用は、擬似的に注射に近い環境(肌に穴を開けて成分を入れる)を作るため、PDRNとの相性は抜群です。
サーモン?植物性?あなたに合うPDRNの種類と相性の良い成分
最後に、自分に合うPDRNの種類を選びましょう。
最近はサーモン由来だけでなく、植物性も増えています。
1. 効果重視なら「動物性(サーモン由来)」
リジュラン注射と同じく、サケの精巣から抽出されたもの。
臨床データが豊富で、人のDNAと構造が近いため、「本気でハリを出したい」「リジュランに近い効果が欲しい」という方におすすめです。
2. 優しさ重視なら「植物性(高麗人参など)」
高麗人参などから抽出されたPDRN。
動物性に比べて分子量が小さい傾向があり、浸透しやすいのが特徴です。
「魚アレルギーがある」「ヴィーガンコスメがいい」「敏感肌」という方はこちらを選びましょう。
おすすめの併用成分:レチノール
PDRNは「守り・修復」の成分です。
ここに「攻め」の成分であるレチノールを組み合わせると、最強のエイジングケアになります。
レチノールでターンオーバーを促しつつ、PDRNでA反応(皮剥けなどの炎症)を抑える。
この黄金コンビは、私も現役時代から注目していた組み合わせです。
まとめ
いかがでしたか?
- 注射とコスメは役割が違う(でも水光肌は作れる)
- PDRNは「浸透技術」が命
- 「低分子・技術・濃度」の3点を確認する
この3つさえ押さえておけば、もう誇大広告に踊らされることはありません。
痛い思いをしなくても、科学の力を使えば肌は変えられます。
まずはパッケージの裏を見て、「浸透技術」に注目してあなたに合う一本を探してみてください。
あなたの肌が、内側から輝く「水光肌」に変わることを応援しています!