普通に親と話をしていて、きちんと会話が成立しているのに、父は息子と話をしているという意識がないのか『あなたは、どちらさんですか』と聞いてきた。
子供のわたしが父に認識されていないのか?と、自分の耳を疑ってしまった。
昨日まで普通に話をしていたのに、ついにこの日がやって来たのかと・・・
がくぜんとして、くじけそうになりました。
不自然な親子の会話
父は私を知らないよその人だと思い、自分の家族のことを話してくれていた。
父自身のこと、母のこと、息子や娘のことなど、内容は正しくスムーズに話している。
父は『自分には息子がいて・・・』と息子である私に息子の説明をする。
高校から大学、就職までのことを詳細に話したあとで、『それで、あなたは何そしているの?』と私に尋ねる父。
いま父が話したことをしている人なんですけど、とも言えずに、しばらく話しをしていた。
父と子が話しているのに、父は他人に話す丁寧語を使って話している。
自宅とショートステイを繰り返す生活をしていましたが、少しでも歩行器を使って歩けるようになるためにリハビリ入院をすることにしたのですが、こんなことになるなんて。
認知症が急激に進んだの?
少しずつ認知症が進んできていたのですが、普通に会話するには問題のない程度でした。
入院2日目には私の携帯に電話をしてきたし、入院3日目に面会に行った時も普通に会話をして帰りました。
入院5日目も特に変わったことはなかったのですが、入院7日目に異変が始まりました。
今いる場所が病院であることの認識ができていない。
自分の息子である私を認識していない。
入院してからそんなに急激に認知症が進むのだろうか?
環境の変化が影響
そう言えば、入院する前にせん妄(せんもう)という症状が出る場合があると説明を受けたことを思い出しました。
【 せん妄 】
高齢者に多く発症する一種の意識精神障害で、症状が認知症と似ていますが、せん妄は突然発症し、数時間から数週間に渡って継続して症状が出る。
せん妄は、環境の変化や薬の副作用などを原因として発症するようです。
入院することで、いつもいる場所でない、周りにいる人がいつもと違うなど、周りの環境が大きく変化したことでせん妄の症状が出ているかも知れません。
せん妄の症状であれば、症状がおさまれば息子として認識してくれるかも知れないと、少し期待しています。
入院9日目には・・・
入院9日目の面会では、朝10過ぎなのに既に父は爆睡してました。
揺り起こして面会に来たことを伝え、顔を見せて誰かわかるかと尋ねると、『あっ、お前か』と私が息子であることをすぐに認識してくれたようでした。
とても眠かったようで、体の状態についての話しを少しだけすると、またすぐに爆睡してしまいました。
しばらく寝顔を見ていてから、帰りました。
果たして、父は子のことを認識できるように戻ったのでしょうか?
もうしばらく、観察を続けます。
母も私を認識していない?
母も私を自分の息子だとわかっていない感じがすることも何度かあるようになってきました。
私は誰かを聞いてみても、わかっているようないないような反応です。
そうかというとたまに、私の名前を呼ぶので近くに行くと認識しているようにも感じます。
悲しいけれど、段々と忘れられていくんですね。