波板交換で失敗しない「正解」はこれ!プロが教える選び方とDIY手順

DIY 波板交換で失敗しない「正解」はこれ!プロが教える選び方とDIY手順
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この記事の著者:吉本 哲也(よしもと てつや)

一級建築板金技能士 / 屋根工事歴25年の親方

地元の工務店で修行後、独立。これまでに3,000件以上の屋根・外壁工事を手がける。特に台風被害の復旧工事経験が豊富で、「二度と飛ばない屋根」を作ることに定評がある。「DIYを否定しないが、危険なラインは厳しく止める」がモットー。

「ホームセンターに行ったけど、種類やサイズが多すぎて何も買わずに帰ってきた…」

そんな経験はありませんか?

台風の後、ふと見上げたらカーポートの屋根が割れてバタついている。

慌ててお店に行ったものの、「ポリカ」「塩ビ」「6尺」「32波」といった謎の呪文が並んでいて、どれが自分の家に合うのかさっぱり分からない。

店員さんに聞こうにも忙しそうで、結局すごすごと帰宅してしまった…。

お気持ち、痛いほど分かります。

でも、安心してください。

プロの俺から言わせれば、一般住宅のカーポートなら選ぶべき波板は「ポリカの32波」ほぼ一択です。

この記事では、現役の板金職人である私が、「絶対に失敗しない波板の選び方」と、「台風でも飛ばない施工のコツ」を、包み隠さず全部教えます。

これを読めば、もうホームセンターで迷うことはありません。

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【結論】迷ったら「ポリカ・32波・ブロンズ」を選べば9割正解

結論から言います。もしあなたが「どれを買えばいいか分からない」と迷っているなら、「ポリカーボネート製」の「32波(鉄板小波)」で、色は「ブロンズ」を選んでください。

これで9割の現場は解決します。

なぜこれほど言い切れるのか。それぞれの理由を、プロの視点で解説します。

1. 素材は「ポリカ」一択。塩ビは買うな

ホームセンターには、大きく分けて「塩化ビニル(塩ビ)」と「ポリカーボネート(ポリカ)」の2種類が置いてあります。

価格を見ると、塩ビの方が1枚あたり数百円安いことが多いです。

しかし、ここで数百円をケチって塩ビを買うのは、典型的な「安物買いの銭失い」です。

ポリカーボネートと塩化ビニルには、耐久性に決定的な差があります。

塩ビは紫外線に弱く、2〜3年でパリパリに硬化して割れてしまいます。

一方、ポリカは防弾ガラスにも使われるほどの強度を持ち、耐用年数は約10年です。

📊 比較表
表タイトル: 波板素材の耐久性とコスト比較

素材耐用年数価格目安 (6尺1枚)特徴おすすめ度
ポリカーボネート約10年1,500円〜衝撃に強く割れにくい。 紫外線カット効果もあり。◎ (推奨)
ガラスネット入り塩ビ4〜5年1,000円〜塩ビの中に糸が入っているが、やはり劣化は早い。
塩化ビニル (塩ビ)2〜3年800円〜安いがすぐ割れる。長期コスパは最悪。×
ガルバリウム鋼板15〜20年2,500円〜金属製で最強だが、光を通さないため暗くなる。◯ (倉庫等)

つまり、塩ビを選ぶと10年の間に3回も張り替え工事をすることになります。

手間と材料費を考えれば、最初からポリカを選んでおくのが最も賢い選択なのです。

2. 規格は「32波」が日本の標準

次に「32波(さんじゅうには)」という規格についてです。

これは波の山から山までの間隔(ピッチ)が約32mmであることを意味します。

日本の住宅に使われている波板のほとんどは、この「32波(鉄板小波)」という規格です。

稀に「大波(76波)」などもありますが、工場や倉庫がメインです。

ご自宅の波板の山の間隔を定規で測ってみて、約3cmなら「32波」で間違いありません。

32波という規格を選べば、既存の骨組みや残っている波板とサイズが合う確率が非常に高いので、安心して選んでください。

3. 色は「ブロンズ」が汚れ目立たずベスト

最後に色です。透明(クリア)や乳白色(オパール)など色々ありますが、私は「ブロンズ(茶色)」を強くおすすめします。

理由は単純で、汚れが目立たないからです。屋根の上は砂埃や枯れ葉ですぐに汚れます。

透明だとその汚れが下から丸見えになってしまいますが、ブロンズなら適度に隠してくれます。

また、程よく日光を遮ってくれるので、カーポートの下が暑くなりすぎないというメリットもあります。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 迷ったら「ポリカ・32波・ブロンズ」。この呪文を覚えてホームセンターに行ってください。

なぜなら、この組み合わせは耐久性・汎用性・メンテナンス性のバランスが最強だからです。私が受ける相談の多くが「安い塩ビを買ってすぐ割れた」という失敗談です。最初からポリカを選んでおけば、向こう10年は屋根の心配から解放されますよ。

「枚数が足りない!」を防ぐ、プロの計算式(働き幅575mmの罠)

「よし、ポリカを買おう!」と決めたあなた。ちょっと待ってください。

枚数の計算、どうやりましたか?

「波板の幅が655mmだから、カーポートの横幅を655で割ればいいんでしょ?」

もしそう思っていたら、そのままだと確実に枚数が足りなくなります。 これがDIYで一番多い失敗です。

「幅」ではなく「働き幅」で計算せよ

波板は、隣の板と重ねて張る必要があります。

そのため、実際に屋根として機能する幅(有効幅)は、製品の幅よりも狭くなります。

これを我々職人は「働き幅(はたらきはば)」と呼びます。

一般的な32波の波板(幅655mm)の場合、2.5山重ねると、働き幅は約575mmになります。

つまり、計算式はこうなります。

施工したい場所の横幅 (mm) ÷ 575 = 必要枚数 (※小数は切り上げ)

波板の「働き幅」と必要枚数計算の仕組み

長さ(尺)の早見表

ちなみに、長さの単位も「尺(しゃく)」という独特な表記が使われます。これも覚えておくと便利です。

  • 6尺 ≒ 1820mm (一番よく使われます)
  • 7尺 ≒ 2120mm
  • 8尺 ≒ 2420mm
  • 9尺 ≒ 2730mm
  • 10尺 ≒ 3030mm

基本的には、今ついている波板の長さを測って、それに一番近いものを選べばOKです。

長すぎる場合は、波板用ハサミやノコギリでカットできますが、短いとどうしようもないので、迷ったら長い方を選びましょう。

台風でも飛ばない!プロ直伝「2.5山重ね・5山おき」の施工鉄則

材料が揃ったら、いよいよ施工です。

ここで一番大切なのは、「台風が来ても飛ばない強度を出すこと」です。

素人施工でよくあるのが、重ね代をケチったり、留め具を減らしたりして、強風で屋根ごと剥がれてしまうケース。

これは本当に危険ですし、飛んでいった波板が近所の車や窓ガラスを割ったら、賠償問題にもなりかねません。

プロが実践している「絶対に飛ばさないための鉄則」は、以下の3つです。

鉄則1:重ね代は「2.5山以上」

隣の波板と重ねる部分は、必ず「2.5山以上」確保してください。

「もったいないから1山でいいや」と思うかもしれませんが、1山だと風が吹いた時に隙間から風が入り込み、めくれ上がってしまいます。

また、横殴りの雨が吹き込んで雨漏りの原因にもなります。

重ね代(2.5山)は、屋根の強度と防水性を保つための生命線です。

ここだけは絶対にケチらないでください。

鉄則2:留め具は「5山おき」

フックボルトや傘釘などの留め具は、「5山おき」の間隔で留めるのが基本です。

間隔が広すぎると、波板が風でバタついて音がうるさいだけでなく、その振動で穴が広がって割れてしまいます。

逆に狭すぎると穴だらけになってしまいます。「5山おき」が、強度と手間のバランスが最も良い黄金比です。

鉄則3:穴あけは必ず「山」に

これが最大のポイントです。穴をあけるのは、波の「山(高い方)」ですか?それとも「谷(低い方)」ですか?

正解は、「山」です。

谷に穴をあけると、雨水が流れる通り道に穴があることになり、当然そこから水が漏れます。

「山」に穴をあけて、そこに傘釘やフックボルトの傘(パッキン)を被せることで、雨水の侵入を完全に防ぐことができるのです。

波板施工の3大鉄則(重ね代・ピッチ・穴あけ位置)

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 道具は「電動ドリル」と「波板用ハサミ」を用意してください。

なぜなら、手回しのキリで何十箇所も穴をあけるのは苦行だからです(笑)。最近はホームセンターで電動工具のレンタルもしています。道具さえあれば、プロの鉄則を守るだけで、素人の方でも驚くほど頑丈な屋根が作れますよ。

【警告】ここからはプロに頼め!DIYでやっていい場所・ダメな場所

ここまでDIYの方法をお伝えしてきましたが、最後に一つだけ、親方として厳しいことを言わせてください。

DIYでやっていいのは、「命の危険がない場所」だけです。

具体的には、以下の基準で判断してください。

  • DIY OK: 1階のカーポート、物置、テラス屋根など、脚立に乗って作業できる範囲。
  • DIY NG: 2階以上のベランダ屋根、屋根の上に登らないと作業できない場所、急勾配の屋根。

2階以上の高所作業は、私たちプロでも緊張する危険な作業です。

慣れていない方がやると、転落して大怪我、最悪の場合は命を落とすリスクがあります。

「数万円浮かせたい」という気持ちは分かりますが、命より高い修理費はありません。

危険な場所や、自分には無理そうだと感じた場合は、迷わずプロに見積もりを依頼してください。

それが、あなたと家族を守るための「正解」です。

よくある質問(Q&A)

最後に、現場でお客様からよく聞かれる質問にお答えします。

Q. 古い波板の捨て方はどうすればいいですか?
A. 自治体によりますが、多くの地域では「燃えないゴミ」や「粗大ゴミ」として出せます。波板用ハサミで小さく切って袋に入れれば、通常のゴミ収集に出せる場合も多いです。一度、お住まいの自治体のルールを確認してみてください。

Q. フックボルトと傘釘、どっちを使えばいいですか?
A. 下地(骨組み)の素材で決まります。

  • 下地がアルミや鉄(アングル)の場合 → フックボルト(引っ掛けて固定するため)
  • 下地が木材の場合 → 傘釘(打ち込んで固定するため)
    最近は、木下地用にドライバーでねじ込める「波板ビス」もあり、抜けにくくておすすめですよ。

Q. 波板に裏表はあるんですか?
A. あります! これ、すごく重要です。
ポリカーボネート波板には、片面に「耐候処理(紫外線カット)」が施されています。通常、シールが貼ってある面、または文字が印刷されている面が「太陽側(外側)」です。
これを逆にして張ってしまうと、紫外線で劣化して数年でボロボロになってしまいます。張る前に必ず確認してくださいね。

まとめ

いかがでしたか?

波板交換は、正しい知識さえあれば、決して難しい作業ではありません。

  1. 素材選び: 迷わず「ポリカ・32波・ブロンズ」を選ぶ。
  2. 枚数計算: 幅ではなく「働き幅(575mm)」で計算する。
  3. 施工: 「2.5山重ね・5山おき・山に穴あけ」を守る。

この3つのポイントを押さえておけば、初めての方でもプロ並みの仕上がりが手に入ります。

自分で張り替えた新しい屋根の下で、愛車を洗車したり、洗濯物を干したりするのは、本当に気持ちがいいものです。

「パパすごい!」と家族に褒められるのも、DIYの醍醐味ですよね。

さあ、まずはメジャーを持って、カーポートのサイズを測りに行くところから始めてみませんか?

あなたのDIYが成功することを、心から応援しています!


参考文献

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