InstagramやTikTokで、マーモットが立ち上がったり、のんびりごはんを食べたりしている動画を見て、「こんなに可愛い動物がいるの?」と心をつかまれたことはありませんか?
あの、ずんぐりした体つきと、どこか人っぽい表情。見ているだけで癒やされて、「もし家で一緒に暮らせたら、毎日しあわせかも…」と想像がふくらんでしまいますよね。
でも、マーモットは犬や猫のように広く飼われている動物ではなく、飼育にはかなり高いハードルがあります。
特に最近SNSで人気の高いヒマラヤマーモットは、国内での流通例そのものがまだ少なく、飼育情報も限られています。
そのため、見た目のかわいさだけでお迎えを決めてしまうと、「思っていたよりずっと大変だった…」となってしまう可能性があります。
この記事では、マーモットをペットとして考えるときに知っておきたい現実を、初心者の方にもわかりやすく整理しました。
あわせて、「飼うのは難しそうだけれど、会ってみたい」という方のために、今の日本でマーモットに会えるスポットについてもご紹介します。
勢いで決める前に、まずは落ち着いて知ることから。
そうすることで、あなたにとってもマーモットにとっても、やさしい選択がしやすくなりますよ。
【この記事を書いた人】
松田 玲奈(Matuda Reina)
エキゾチックアニマル専門ライター 兼 飼育ライフアドバイザー大手ペットメディアでの執筆経験を持ち、エキゾチックアニマルに関する相談記事や飼育ガイドを多数担当。「かわいいから飼いたい」という気持ちに寄り添いながらも、命を預かることの重みをやさしく、ていねいに伝えることを大切にしている。
SNSで人気のマーモット。日本でペットとして考えることはできるの?
まず気になるのが、「そもそもマーモットって日本で飼えるの?」という点ですよね。
結論から言うと、国内で流通例はありますが、マーモットは一般的なペットとはかなり違う存在です。
ハムスターやモルモットの延長のような感覚で考えてしまうと、あとで大きなギャップに苦しむことがあります。
近年は、ヒマラヤマーモットの正規輸入成功が話題になったこともあり、「日本でもお迎えできるかもしれない」と感じる方が増えています。
ですが、それは“誰でも気軽に迎えやすくなった”という意味ではありません。
マーモットは、飼育環境、温度管理、スペース、医療体制など、どれをとっても専門性が高い動物です。
まだ国内では飼育ノウハウが広く行き渡っているとは言いにくく、情報収集もかなり慎重に行う必要があります。
また、体調を崩したときに、近所の一般的な動物病院でそのまま対応してもらえるとは限りません。
エキゾチックアニマルを診られる病院はありますが、犬猫と比べると数は限られていて、さらにマーモットのような珍しい動物まで診療対象かどうかは、事前確認がとても大切です。
つまり、マーモットを「飼えるかどうか」だけで考えるのではなく、きちんと暮らしを支え続けられるかまで含めて考えることが必要になります。
まず知っておきたいのは、マーモットが「かなり特別な飼育環境」を必要とすること
マーモットの魅力はたくさんありますが、そのぶん飼育の難しさも大きいです。
もともと高地や涼しい環境に適応している種類が多いため、日本の高温多湿な夏は大きな負担になりやすいとされています。
公開されている専門情報では、飼育下では20〜25℃前後を意識した温度管理が理想と案内されています。
これは、ただ「夏は少し涼しくすればいい」という話ではありません。
真夏だけでなく、季節の変わり目や留守中も含めて、年間を通して安定した環境を保つ必要があります。
さらに、マーモットは体が比較的大きく、動き回ったり、掘るような行動を見せたりする動物です。
そのため、小さなケージひとつで飼えるタイプではなく、スペース面でもかなり余裕が求められます。
「かわいい動画を見て癒やされたい」という気持ちだけでなく、毎日その子の快適さを優先できるかが、とても大事になってくるのです。
ズバリ、費用はどれくらい?「本体価格」だけでは考えにくいのが現実です
マーモットをお迎えしたいと思ったとき、多くの方が最初に気になるのは費用だと思います。
現在公開されている専門情報では、マーモットの生体価格はかなり高額で、平均110万円前後、種類や流通状況によってはそれ以上になることもあると案内されています。
特にヒマラヤマーモットのように人気が高く、流通量が少ない種類は、より高額になりやすいようです。
ただ、本当に大切なのは、生体価格だけではないことです。
お迎えにあたっては、広めの飼育スペース、温度管理のためのエアコン環境、停電時への備え、日々の飼育用品なども必要になってきます。
つまり、「買えるかどうか」ではなく、快適な環境を維持できるかまで見ておく必要があります。
そのため、SNSなどで見かける「150万円くらい必要」という表現は、単純な生体価格ではなく、飼育環境づくりも含めたひとつの目安として受け取るとわかりやすいでしょう。

お金だけでは足りません。飼育前に考えたい3つの大きなハードル
費用が用意できたとしても、それだけで安心とは言えません。
マーモットとの暮らしには、日常の中でずっと続くハードルがあります。
1. 24時間に近い温度管理
マーモットは暑さに弱いとされているため、夏場の室温管理はとても重要です。
日中の留守中も含めて、適温を保つ必要があるので、エアコンを前提にした生活設計が必要になります。
特に日本の夏は、部屋の中でも短時間で高温になりやすいですよね。
「数時間くらいなら大丈夫かな」と油断しないことが大切です。
2. 診てもらえる病院を先に探しておくこと
マーモットのような珍しい動物は、体調不良のときにすぐ相談できる病院が限られます。
エキゾチックアニマル診療を掲げている病院でも、対象動物は施設によって異なるため、事前確認は必須です。
迎えてから探すのではなく、迎える前に「どこへ相談できるか」を見つけておくと安心です。
3. 鳴き声・かじる行動・生活スペースへの配慮
動画では穏やかに見えることが多いマーモットですが、実際には警戒時に大きな声を出したり、かじる・掘るといった行動が問題になることもあります。
そのため、集合住宅での騒音、家具や壁、コード類への対策なども考えておく必要があります。
かわいさだけでは乗り越えにくい、現実的な課題ですね。
✍️ 専門家の視点からのひとこと
結論:マーモットは「飼えるかどうか」より、「何年も快適な環境を保ち続けられるか」で考えるのがおすすめです。
最初の勢いだけでは乗り切れないのが、エキゾチックアニマルとの暮らしです。家計・住環境・通院先まで含めて、ひとつずつ確認してみてくださいね。
飼えなくても大丈夫。今は「会いに行く」という選択肢もあります
ここまで読んで、「やっぱり自分の暮らしでは難しいかもしれない」と感じた方もいらっしゃると思います。
でも、それは決して残念な判断ではありません。
むしろ、かわいさだけで突き進まずに、動物にとっての幸せまで考えられている、とてもやさしい選択です。
そして今は、飼わなくてもマーモットに会える場所があります。
東京都中野区には、2025年5月に「マーモット村 東京」がオープンしました。
さらに、大阪でも2025年11月に「マーモット村 大阪」がグランドオープンしています。
どちらも事前予約制で、現在の公式案内では、無理に触れ合うよりも、自由に過ごすマーモットたちを見て楽しむスタイルが中心です。
この形は、見に行く側にとっても、マーモットにとっても、無理の少ない楽しみ方と言えそうです。
数千円で週末に会いに行けるなら、「飼う」以外の幸せな関わり方として十分魅力的ですよね。
「絶対にお迎えしなきゃ」ではなく、「自分にできる距離感で大切に思う」。
それも、とても素敵なマーモット愛だと思います。
まとめ:あなたの“好き”に合った、やさしい選び方を
マーモットは、本当に魅力的な動物です。
見ているだけで気持ちがゆるみ、思わず笑ってしまうような不思議な可愛さがあります。
でもその一方で、飼育には高い専門性と、長く続く責任がともないます。
- 国内での流通例はあるものの、一般的なペットとは言いにくい
- 生体価格だけでなく、飼育環境づくりにも大きな費用がかかる
- 温度管理、通院先、住環境など、事前に考えることが多い
- 今は、マーモット村のように会いに行ける場所もある
だからこそ、「飼う」か「会いに行く」か、どちらを選ぶとしても、まずは知ることが大切です。
もし本気でお迎えを考えるなら、最初に探したいのは販売情報ではなく、診てもらえる病院と、安定した飼育環境をつくれるかどうかです。
そして、「やっぱり会いに行くほうが自分には合っていそう」と思ったなら、それもとても素敵な答えです。
好きだからこそ、無理をしない。そんな選び方を、ぜひ大切にしてくださいね。
【参考文献・情報源】
- マーモット村 公式サイト・公式予約ページ
- マーモット専門情報サイトおよび公開コラム
- Animal Diversity Web(Marmota himalayana)
- エキゾチックアニマル診療案内を公開している動物病院情報