スクワットは今すぐ中止!靴下が履けない股関節痛を「貧乏ゆすり」で守る50代からのケア

朝、いつものように靴下を履こうとして、足が上がらない。

無理に手を伸ばした瞬間、足の付け根に息が止まるほどの激痛が走り、「あ、これはただの疲れじゃない」と直感する……。

そんな経験をして、「まだ50代なのに、このまま歩けなくなってしまうの?」と恐怖を感じていませんか?

「痛いのに無理して歩いていませんか?」

私がリハビリ室で、患者さんに最初にかける言葉です。

真面目な方ほど、「筋力が落ちたからだ」と思い込み、必死にスクワットやウォーキングをして、逆に股関節の寿命を縮めてしまっています。

はっきり申し上げます。その痛みは「鍛えろ」というサインではなく、「守れ」というサインです。

この記事では、理学療法士として延べ1万人以上の股関節ケアを担当してきた私が、手術を回避し、自分の足で歩き続けるための「頑張らないケア」を伝授します。

スクワットは今すぐやめてください。代わりに必要なのは、「貧乏ゆすり」と「100均グッズ」です。


著者プロフィール

山本 洋一(やまもと よういち)
理学療法士 / 股関節ケア専門トレーナー
総合病院のリハビリテーション科で20年間勤務し、延べ1万人以上の股関節痛患者を担当。「手術は最後の手段。それまでにできることは山ほどある」を信条に、医学的根拠に基づいた「手術しない股関節ケア」を広める活動を行っている。

スポンサーリンク

なぜ「靴下」と「爪切り」が辛くなるのか?痛みの正体と病期

「最近、足の爪を切るのが苦痛で……」

診察室でそう訴える方は非常に多いです。

実は、「靴下が履きにくい」「爪が切りにくい」という症状は、変形性股関節症が「進行期」に入ったことを告げる典型的なサインなのです。

変形性股関節症は、一般的に「前期→初期→進行期→末期」という4つのステージで進行します。

初期の段階では、立ち上がりや歩き始めに痛みを感じる程度ですが、進行期に入ると、骨の変形が進み、関節の隙間が狭くなります。

すると、股関節を深く曲げたり、外に開いたりする動き(可動域)が物理的に制限され始めます。

股関節の病期と可動域の変化

これが、「靴下が履けない」原因です。

しかし、ここで絶望する必要はありません。

この段階は「もう手遅れ」なのではなく、「これ以上進行させないためのケアを始めるべきタイミング」なのです。

正しい保存療法(手術以外の治療)を行えば、進行を緩やかにし、手術を数年、あるいは10年以上先送りできる可能性は十分にあります。

【警告】良かれと思ってやってはいけない「3つのNG行動」

進行期に入った股関節にとって、最も危険なのは「間違った努力」です。

良かれと思ってやっているその運動が、実は股関節の寿命を縮めているかもしれません。

以下の3つの行動は、今すぐやめてください。

NG1: スクワット

「足腰を鍛えなきゃ」とスクワットをしていませんか?

これは変形性股関節症の方にとって、最大の禁忌(やってはいけないこと)です。

深くしゃがみ込む動作は、骨盤と大腿骨が衝突する「インピンジメント(挟み込み)」という現象を引き起こします。

健康な人なら問題ありませんが、変形が始まった股関節でこれをやると、骨同士がガツガツとぶつかり合い、残っている貴重な軟骨を急速にすり減らしてしまいます。

スクワットは、股関節痛の悪化要因そのものです。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 痛みがある時の筋トレは百害あって一利なしです。まずは痛みを引かせることを最優先してください。

なぜなら、私が担当した患者さんでも、「テレビでスクワットが良いと言っていたから」と痛みを我慢して毎日続け、わずか半年で軟骨が消失して手術になってしまった方がいたからです。股関節は「鍛える」前に「守る」ことが先決です。

NG2: 痛みを我慢してのウォーキング

「歩かないと歩けなくなる」という強迫観念から、痛みをこらえて長距離を歩いていませんか?

痛みは炎症のサインです。

炎症が起きている時に関節を酷使すれば、火に油を注ぐようなもの。

水の中を歩く「プールウォーキング」なら浮力で負担が減りますが、陸上での無理なウォーキングは避けましょう。

NG3: 正座・あぐら・横座り(和式生活)

床に座る生活は、股関節を深く曲げる必要があるため、大きな負担がかかります。

特に「横座り(お姉さん座り)」は股関節をねじる動作になるため、絶対に避けてください。

可能な限り、椅子とベッドの生活(洋式生活)に切り替えることが、股関節を守る第一歩です。

手術を遠ざける!医学的に推奨される「貧乏ゆすり(ジグリング)」とは

「スクワットもウォーキングもダメなら、何をすればいいの?」

そう思ったあなたに、私が自信を持っておすすめする最強のセルフケアがあります。

それは、「貧乏ゆすり」です。

医学用語では「ジグリング」と呼ばれ、近年、変形性股関節症の保存療法として非常に注目されています。

「行儀が悪い」というイメージがあるかもしれませんが、股関節にとっては「最高の良薬」なのです。

なぜ「貧乏ゆすり」が良いのか?

股関節の軟骨には血管が通っていません。そのため、軟骨は関節液から栄養を吸収して再生します。

ジグリングによる小刻みな振動は、関節液の循環をポンプのように促し、軟骨に栄養を届けます。

実際、久留米大学などの研究では、ジグリングを継続した患者さんの股関節の隙間(関節裂隙)が広がり、軟骨が再生したことが示唆されるデータも報告されています。

正しいジグリングのやり方

やり方はとても簡単です。

  1. 椅子に浅めに座ります。
  2. つま先を床につけたまま、踵(かかと)を小刻みに上下させます。
  3. 太ももがプルプルと揺れるように、リラックスして行います。

回数に制限はありません。

テレビを見ながら、本を読みながら、1日何時間でもやってください。

「行儀の悪さ」が、あなたの軟骨を救います。

100均で解決!痛くない「靴下の履き方」と生活の知恵

最後に、毎朝のストレスである「靴下履き」を楽にする具体的な方法をお伝えします。

痛い時は、無理に股関節を曲げてはいけません。道具に頼りましょう。

介護用品店には「ソックスエイド」という便利な道具が売っていますが、実はこれ、100円ショップのアイテムで簡単に自作できるんです。

100均で作れる「手作りソックスエイド」

用意するもの:

  • A4クリアファイル(柔らかめのもの)
  • 長めの紐(1.5メートルくらい)
  • インターネットで公開されている ソックスエイド型紙 (PDF) などを印刷し、形に合わせてファイルを切り抜きます。

作り方:

  1. クリアファイルを縦に丸められる大きさに切ります(足が入る筒状になるように)。
  2. 上部の左右に穴あけパンチで穴を開け、紐を通します。

使い方:

  1. 丸めたクリアファイルに靴下を被せます。
  2. 足をクリアファイルの中に入れます。
  3. 手元の紐を引っ張り上げると、靴下がスルスルと足に履けます。

これを使えば、股関節を深く曲げることなく、痛みゼロで靴下が履けます。

他にも、床のものを拾うための「マジックハンド」や、爪切りの時に足を乗せる低い台を用意するなど、生活環境を少し工夫するだけで、痛みは劇的に減らせます。

まとめ:「頑張らない」ことが、あなたの股関節を守る

ここまで、手術を回避するためのケアについてお話ししてきました。

  1. 「スクワット」などのNG行動を今すぐやめる。
  2. 「貧乏ゆすり(ジグリング)」で軟骨に栄養を届ける。
  3. 「ソックスエイド」などの道具を使って、痛い動作を避ける。

変形性股関節症のケアにおいて最も大切なのは、「頑張って鍛える」ことではなく、「工夫して守る」ことです。

「もう手術しかない」と諦める前に、まずは今日から、テレビを見ながら足を揺らしてみませんか?

その小さな「揺れ」が、あなたの足で歩き続ける未来を作ります。


参考文献

スポンサーリンク