
著者:山本 康(やまもと やすし)
肛門外科専門医 / 日帰り手術クリニック院長
年間1,000件以上の痔核治療に従事。低侵襲な「切らない注射療法(ALTA療法)」の第一人者として、多忙なビジネスパーソンの早期社会復帰を支援。医学的エビデンスに基づいた「仕事を止めない治療」を提唱している。
今朝の排便時、便器が真っ赤になるほどの出血に驚き、さらに外に出てきた「イボ」が戻らなくなった感覚に、冷や汗をかきながらこの記事を開いていませんか?
「管理職として大きなプロジェクトを抱えているのに、今さら入院なんてできない」「そもそも肛門科に行くなんて恥ずかしすぎる……」
佐藤さん、そのお気持ちは痛いほどわかります。
しかし、戻らなくなった脱肛を指で押し込みながら自力で治そうとする行為は、サーバーの警告灯を無視してパッチを当て続けているのと同じくらい危険な状態です。
いぼ痔には、医学的に定められた「自力ケアの限界点」が存在します。
この記事では、専門医の視点から、あなたが仕事を1日も休まず、かつ「メスを使わずに」根治を目指せる最新の治療戦略を公開します。
今週末だけで、その悩みはリセット可能です。
【セルフチェック】自力で治せるのはどこまで?医学的な「受診の境界線」
いぼ痔(内痔核)の進行度は、医学的に「Goligher(ゴリガー)分類」という4つのグレードで定義されています。
あなたが今、病院に行くべきか、市販薬で粘れるかの損益分岐点はここにあります。
Goligher分類と自力ケアの限界
- グレード1: 出血はあるが、イボは脱出しない。
- グレード2: 排便時に脱出するが、自然に中に戻る。
- グレード3: 脱出し、指で押し込まないと戻らない。
- グレード4: 常に脱出したままで、押し込んでも戻らない。
「指で戻す必要がある(グレード3)」状態は、物理的に組織が伸びきった「ハードウェアの故障」と同じです。
残念ながら、この段階に達すると市販薬や生活改善といった「ソフトウェアの修正」だけで完治させることは医学的に不可能です。
放置を続けると、ある日突然戻らなくなり、激痛と壊死を引き起こす「嵌頓(かんとん)痔核」へと悪化します。
そうなれば、強制的なシャットダウン(緊急入院・切除手術)が避けられなくなります。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「指で戻す」というルーチンが始まったら、それが専門医によるメンテナンスが必要な最終サインです。
なぜなら、この段階では痔核を支える支持組織(Parks靭帯)が断裂しており、薬で炎症を抑えても「脱出する構造」そのものは治らないからです。早期に適切な処置をすれば、後述する「切らない治療」の適応となります。
仕事を休まない新常識。切らない治療「ジオン注射(ALTA療法)」とは
「痔の治療=痛い手術・長期入院」というイメージは、もはや過去のものです。
佐藤さんのように仕事を止められない方にこそ知ってほしいのが、「ジオン注射(ALTA療法)」です。
メスを使わず、注射一本で根治を目指す
ジオン注射は、脱出した痔核に直接薬液を注入し、組織を硬化・退縮させる治療法です。
「切らない治療」であるため、出血や術後の痛みが劇的に少なく、佐藤さんのような「切りたくない・休みたくない」というニーズに完璧に応えます。
まさに、システムを稼働させたままバグを修正するような、スマートな解決策と言えるでしょう。

金曜受診・月曜出社。40代管理職のための「最短治療ロードマップ」
日帰り手術を専門とするクリニックを選べば、佐藤さんのキャリアに影響を与えることなく治療を完結させることが可能です。
📊 比較表
放置(緊急入院) vs 早期日帰り治療のコスト・リスク比較
| 比較項目 | 放置して悪化(緊急入院) | 早期日帰り治療(ジオン注射) |
|---|---|---|
| 治療時間 | 1週間程度の入院 | 約15〜30分 |
| 仕事への影響 | 長期離脱・プロジェクト停滞 | 週末のみ(月曜出社可) |
| 痛み・出血 | 術後の痛みが強く、回復に時間を要する | 最小限(鎮痛剤でコントロール可) |
| 精神的負担 | 「倒れた」という敗北感 | 「メンテナンス完了」という達成感 |
週末完結型のスケジュール例
- 金曜夕方: 仕事帰りに初診。検査と治療計画の策定。
- 土曜午前: ジオン注射(日帰り手術)。30分程度で終了し、帰宅。
- 日曜: 自宅でリラックスして静養。
- 月曜午前: 通常通り出社。 デスクワークも問題ありません。
FAQ:恥ずかしさ、費用、再発…専門医が答える「受診前の不安」
Q:肛門を見られるのが、どうしても恥ずかしいのですが……。
A:お気持ちはわかります。しかし、我々専門医にとって、お尻は「修理が必要な生体パーツ」に過ぎません。毎日何十人もの患者さんを診ており、感情的なバイアスは一切ありません。ITエンジニアがサーバーの裏側をチェックするのと同じ、極めて事務的でプロフェッショナルな作業ですので、安心してお任せください。
Q:費用はどのくらいかかりますか?
A:ジオン注射は保険適用です。3割負担の場合、検査・手術代を含めて2〜3万円程度が目安です。1週間の入院費用(10万円以上)や、放置による機会損失を考えれば、非常に投資対効果の高い選択と言えます。
Q:再発はしませんか?
A:ジオン注射の1年後の根治率は90%を超えています。ただし、再発を防ぐには「長時間の座りっぱなし」を避け、食物繊維を摂るといった「運用ルールの改善」もセットで行うことが重要です。
まとめ:痔の治療は「プロの自己管理」。快適なデスクワークを取り戻そう
佐藤さん、痔の悩みで毎朝のトイレを戦場にするのは、もう終わりにしませんか?
いぼ痔の脱出は「構造的な故障」であり、ジオン注射は「仕事を止めない最新の修理法」です。
受診を恥じる必要はありません。
むしろ、不調を早期に発見し、最短ルートで解決することこそが、デキる管理職の「自己管理能力」の証明です。
今週末、あなたのシステムを正常な状態にアップデートしましょう。
まずは、お近くの日帰り手術対応クリニックを検索することから始めてください。
いぼ痔(内痔核)は、適切な時期に適切な治療を行えば、日常生活を制限することなく完治が目指せる疾患です。
出典: 痔核(いぼ痔)の症状と分類 – 日本大腸肛門病学会, 2024年参照