肘から上の腕が痛い…これって心臓?40代が警戒すべき「危険なサイン」と「首トラブル」

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この記事の著者:仙田 康(せんだ やすし)

日本整形外科学会認定専門医 / 脊椎脊髄病医 / 「仙田整形外科クリニック」院長

臨床歴20年、執刀数1,000件以上。脊椎疾患(首・腰)と末梢神経障害を専門とし、「手術しない脊椎治療」を掲げて生活習慣指導に力を入れている。「ネットの極端な情報に怯える患者さん」を優しく諭し、医学的根拠に基づいて冷静にトリアージ(選別)する頼れるドクター。

ふとした時に感じる二の腕の鈍痛。

夜、ズキズキして目が覚める。

ネットで調べると「心筋梗塞」なんて怖い言葉が出てきて、不安でたまらない…。

そんな状態でこの記事にたどり着いたのではないでしょうか?

「左腕が痛いと心臓が悪い」という話は有名ですが、ネットの情報だけで過度に怯える必要はありません。

しかし、体からの「小さなSOS」を見逃してもいけません。

特に40代の働き盛りにとって、その腕の痛みは「首」からの警告かもしれません。

今日は診察室で患者さんにお話しするように、その痛みの正体を解き明かしていきましょう。

※本記事は医師による情報提供を目的としていますが、診断に代わるものではありません。

症状が強い場合は速やかに医療機関を受診してください。

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【30秒セルフチェック】救急車?病院?それとも様子見?

まずは落ち着いてください。

あなたが今一番知りたいのは、「この痛みは今すぐ救急車を呼ぶべきものなのか?」ということだと思います。

最優先で、命に関わる危険なサイン(Red Flag)を除外しましょう。以下のチェックリストを確認してください。

腕の痛み 緊急度判定フローチャート

もし「Red Flag」に当てはまる場合は、迷わず救急車を呼んでください。

心筋梗塞による痛みは、心臓だけでなく神経を伝って左腕に「放散痛」として現れることがあります。

当てはまらない場合は、ひとまず命の危険は低いと考えられます。

少し安心しましたか?

では、あなたの痛みの「真犯人」を探していきましょう。

「揉んでも治らない」なら疑うべきは「首」。40代を襲う頸椎症とは

「腕が痛いから、腕の筋肉が疲れているんだろう」

そう思って湿布を貼ったり、マッサージをしたりしていませんか?

もしそれで治らないなら、痛みの原因は腕にはありません。

疑うべきは「首(頸椎)」です。

なぜ「首」が悪いのに「腕」が痛いのか?

私たちの首の骨(頸椎)からは、腕や指先に向かって神経が伸びています。

この神経の根元が、何らかの原因で圧迫されると、その神経がつながっている先の「腕」や「手」に痛みや痺れが走ります。

これを「放散痛(関連痛)」と呼びます。

つまり、「火元(原因)」は首にあるのに、「煙(痛み)」が腕に出ている状態です。

いくら煙(腕)を仰いでも、火元(首)を消さない限り痛みは治まりません。

40代は「首の曲がり角」

特に40代以降は、加齢によって椎間板の弾力が失われ、骨が変形しやすくなります。

これに加えて、長時間のデスクワークやスマホ操作による「ストレートネック(スマホ首)」が追い打ちをかけます。

その結果、変形した骨や飛び出した椎間板が神経を圧迫し、「頸椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)」を引き起こすのです。

これが、40代の「治らない腕の痛み」の正体であるケースが非常に多いのです。

頸椎の神経圧迫と腕の痛みの関係(デルマトーム)

四十肩?筋肉痛?その他の原因との見分け方

「でも、ただの四十肩や筋肉痛かもしれないし…」

そう迷っている方のために、他の病気との見分け方を整理しました。

特に重要なのは「夜間痛(安静時痛)」の有無です。

筋肉痛や腱炎は「動かした時」に痛みますが、神経の痛みは「じっとしていても(寝ていても)」痛むのが特徴です。

📊 比較表
腕の痛みの原因を見分けるポイント

疾患名痛みの特徴痺れの有無夜間痛見分け方
頸椎症性神経根症首を反らすと痛む。腕に放散痛がある。あり (指先など)あり上を向くと腕が痛い・痺れる
四十肩 (肩関節周囲炎)腕を上げたり、後ろに回すと激痛。なしあり (炎症期)腕が上がらない。痺れはない。
筋肉痛・腱炎使った筋肉を押すと痛い。動かすと痛い。なしなし安静にしていれば痛くない。
胸郭出口症候群つり革につかまるなど、腕を挙げると痛む。ありまれなで肩の女性や筋肉質の男性に多い。


✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 「上を向いて腕が痛くなるか」を試してみてください(ジャクソンテスト)。

なぜなら、これは頸椎症性神経根症の代表的なサインだからです。もしこれで腕にビリッと電気が走るような痛みが出るなら、原因はほぼ間違いなく「首」です。無理に動かさず、早めに整形外科を受診してください。

とりあえずどうする?受診までの「やっていいこと・ダメなこと」

「原因は首かもしれない」と分かったところで、病院に行くまでの間、どう過ごせばいいのでしょうか?

間違ったセルフケアは症状を悪化させるので注意が必要です。

1. 温める vs 冷やす

基本的には「温める」のが正解です。

慢性的な神経痛や筋肉の凝りは、温めて血流を良くすることで緩和します。

ただし、ぶつけた直後や、熱を持って腫れている場合(急性の炎症)だけは冷やしてください。

2. マッサージは「首」を避ける

「首が凝っているから」と、首をグイグイ強く揉むのはNGです。

神経が過敏になっている状態で強く揉むと、炎症が悪化したり、神経を傷つけたりするリスクがあります。

マッサージをするなら、肩や背中など、患部から少し離れた場所を優しくほぐす程度に留めましょう。

3. 寝る時の姿勢(枕の高さ)

夜間痛がある場合、枕の高さが合っていない可能性があります。

高すぎる枕も、低すぎる枕も首に負担をかけます。バスタオルを畳んで、首のカーブが自然に保てる高さに調整してみてください。

痛い方の腕を抱き枕に乗せて寝るのもおすすめです。

4. 受診は「整形外科」へ

まずは「整形外科」を受診してください。

整骨院や整体院は、診断がついた後のメンテナンスとしては有効ですが、MRIやレントゲンによる「診断」はできません。

万が一、腫瘍や感染症などが原因だった場合、発見が遅れるリスクがあります。

まとめ

いかがでしたか?

腕の痛みは、体からの重要なサインです。

特に40代で「夜も痛い」「痺れがある」場合は、単なる疲れではなく、頸椎症性神経根症などの神経トラブルが隠れている可能性が高いです。

「怖い病気ではない可能性が高い」と分かって、少し安心できたでしょうか?

しかし、放置して自然に治るものでもありません。

放っておくと、握力が低下したり、感覚が麻痺したりする後遺症が残ることもあります。

一度、MRIなどの設備がある整形外科で「中身」を見て安心を手に入れましょう。

あなたの痛みの原因がはっきりし、適切な治療で快適な日常が戻ることを願っています。

参考文献

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