「日本付近の天候に影響を与える風は?」
模試のこの問題に、自信満々に「貿易風!」と書いてバツをもらったタクミ君。
偏差値が目標に届かなくて、めちゃくちゃ悔しい思いをしたよね。
「教科書には『中緯度』とか『コリオリの力』とか難しい言葉ばっかり。
結局、どっちがどっちで、どう覚えればいいんだよ!」
そんな風にイライラして検索した君、大正解だ。斉藤先生が断言しよう。
君の頭が悪いんじゃない。
教科書の解説が、風の「流れ」をイメージさせてくれないのがいけないんだ。
地理はパズルだ。地球がどっちに回っていて、空気がどう動こうとするか。
その「仕組み」さえ掴めば、テスト中に頭の中で地球を回すだけで、正解の矢印が勝手に浮かんでくるようになる。
この記事では、回転椅子の比喩や飛行機の雑学を使って、偏西風を「一生忘れない武器」にアップデートする。
今日から君の地理の成績を、偏西風並みの強風に乗せて一気に加速させよう!
著者プロフィール
山本 先生 難関私立中高一貫校 地理教諭 / 受験地理YouTuber
20年間の指導で延べ5,000人の受験生を合格へ導く。「暗記を捨てる地理」をモットーにした講義が、理系志望の生徒からも「論理的でわかりやすい」と絶大な支持を得ている。YouTubeチャンネルでは、身近なニュースと地理を繋げる動画を配信中。
なぜ「西」から吹くの?地球の自転が風を曲げる魔法の正体
タクミ君、まずは「なぜ西から吹くのか」という最大の謎を解き明かそう。
これには地球の自転が深く関わっている。
想像してみてほしい。君が「回転椅子」に座って、猛スピードで左回りに回っているとする。
その状態で、椅子の中心から外側(北極方向)に向かってボールを投げたらどうなるかな?
ボールはまっすぐ飛んでいるつもりでも、椅子が回っているせいで、投げた瞬間よりも「右側」にズレていくはずだ。
この、回転している物体の上で働く「見かけ上の力」をコリオリの力と呼ぶ。
地球も同じだ。赤道付近で温められた空気は、北極に向かって進もうとする。
でも、地球は西から東へ自転している。
赤道付近は回転スピードが一番速いから、北へ向かう空気は「地球の回転スピードを追い越してしまう」んだ。
その結果、まっすぐ北へ行くはずの風が、東(右)へグイッと曲げられて「西から吹く風(偏西風)」になる。 これが偏西風の正体だ。

【決定版】偏西風と貿易風の見分け方。緯度と向きをセットで攻略
テストでタクミ君を苦しめた「貿易風」との混同。
これを解消するには、緯度(吹いている場所)で仕分けるのが一番確実だ。
地球を横に3つのゾーンで分けて考えよう。
- 赤道〜緯度30度(低緯度):貿易風
「貿易」は昔、帆船を使って暑い国とやり取りしていたよね。だから「暑い赤道近く」と覚えよう。向きは偏西風と逆で、東から吹く。 - 緯度30度〜60度(中緯度):偏西風
日本があるのは北緯35度付近。つまり、日本は「偏西風のど真ん中」だ。 テストで「日本付近の風」と出たら、迷わず偏西風を選べばいい。 - 緯度60度〜極地方(高緯度):極東風
極地から吹いてくる東寄りの風だ。
📊 比較表
偏西風と貿易風の完全比較表
| 項目 | 偏西風 (Westerlies) | 貿易風 (Trade Winds) |
|---|---|---|
| 吹く場所(緯度) | 30度〜60度(日本付近) | 0度〜30度(赤道付近) |
| 風の向き | 西から東へ | 東から西へ |
| 名前の由来 | 西に偏(かたよ)って吹くから | 貿易船が利用した安定した風だから |
| 日本への影響 | 天気を西から東へ変える | 台風を日本付近まで運んでくる |
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「西から吹くから偏西風」という名前そのものを、最強の判別基準にしてください。
なぜなら、多くの生徒が「向き」だけを暗記しようとして、南半球の問題でパニックになるからです。でも、地球の自転の影響(コリオリの力)は、北半球では「進行方向の右」に曲げるというルールさえ知っていれば、どんな地図でもその場で矢印を書けます。暗記を捨てて、ルールを使いこなしましょう。
飛行機の時間が変わる?日本の天気が西から変わる?偏西風が動かす世界
偏西風の知識は、テストだけでなく君の生活にも深く関わっている。
飛行機の「行き」と「帰り」のナゾ
タクミ君、ハワイ旅行を想像してごらん。
成田からホノルルへ行くときは約7時間で着くのに、帰りは約9時間もかかるんだ。
この「2時間の差」の正体こそが偏西風だ。
上空1万メートル付近には、偏西風の中でも特に強いジェット気流が流れている。
日本からアメリカへ行く飛行機は、この強い追い風に乗って加速する。
逆に帰りは猛烈な向かい風に立ち向かうから、時間がかかるんだ。
天気予報が「西から下り坂」と言う理由
日本の天気予報で「明日は西から雨が降り始めるでしょう」とよく言うよね。
これは、日本の上空を吹く偏西風が、雨雲を西から東へとベルトコンベアのように運んでいるからなんだ。

受験生が知っておきたい「ジェット気流」と「異常気象」のヒミツ
最後に、記述問題や難関校の入試で狙われる「応用知識」を授けよう。
偏西風はいつもまっすぐ吹いているわけじゃない。
蛇(ヘビ)のようにクネクネと曲がることがある。
これを偏西風の蛇行と呼ぶんだ。
- 蛇行が起きるとどうなる?
偏西風が北へ大きく曲がると、南の熱い空気が北へ入り込んで「猛暑」になる。逆に南へ曲がると、北の冷たい空気が降りてきて「寒波」になる。
最近ニュースでよく聞く「記録的な猛暑」や「大雪」の裏側には、この偏西風の気まぐれが隠れていることが多い。
記述問題で「異常気象の原因」を問われたら、「偏西風(ジェット気流)の蛇行により、寒気や暖気が停滞したため」と書ければ、採点官も驚く満点解答だ!
まとめ:地理は「仕組み」がわかれば最強の武器になる
タクミ君、偏西風の正体は掴めたかな?
- 仕組み: 地球の自転(コリオリの力)が、風を右に曲げて「西風」にする。
- 場所: 緯度30〜60度(日本付近)で吹くのが偏西風。
- 影響: 飛行機の時間を変え、日本の天気を西から変える。
模試で間違えたのは、君が「もっと深く知りたい」と思った証拠だ。
仕組みがわかった今の君なら、もう貿易風と迷うことはない。
次に空を見上げたとき、雲がどっちに動いているか確認してごらん。
その雲を動かしている巨大なパワーこそが、今日君がマスターした偏西風だ。
この納得感を武器に、次の模試では地理を君の最強の得点源にしよう!
【参考文献リスト】