
この記事の著者:加藤 サチコ
世代間コミュニケーション・コンサルタント / 元大手人材会社マネージャー
著書『上司の言葉選び図鑑』。管理職とZ世代の橋渡し役として、年間200回の企業研修に登壇。「若者言葉を無理に使わず、理解して信頼を得る」メソッドを提唱。
金曜日の夕方、部下から突然こんなLINEが届いて、スマホの前で固まってしまったことはありませんか?
「すみません!今ガンダで向かってます!!💦」
一瞬、「えっ、ガンダム? モビルスーツで来るの?」と本気で混乱したり、「ふざけているのかな?」とモヤモヤしたり……。
その気持ち、痛いほどわかります。
私も管理職になりたての頃、同じ経験をして返信に5分も悩んでしまいました。
でも、安心してください。「ガンダ」は決してふざけているわけではありません。
むしろ、そこには部下なりの「必死のやる気」が隠されているのです。
この記事では、世代間コミュニケーションの専門家である私が、「ガンダ」の正確な意味と語源、そして部下から使われた時に上司として株が上がる「正解の返し方」を解説します。
意味さえわかれば、明日からは笑顔で「了解!」と返せるようになりますよ。
1分で解決!「ガンダ」の正しい意味と語源
まずは、一番のモヤモヤを解消しましょう。結論から言います。
「ガンダ」とは、「ガンガンダッシュ(全力疾走)」の略語です。
非常にシンプルですが、これ以上の意味はありません。
「ガンガン(激しく)」+「ダッシュ(走る)」を組み合わせた若者言葉で、とにかく急いでいる状態を指します。
ガンダムとは一切関係ありません
ここで明確にしておきたいのが、「ガンダ」と「機動戦士ガンダム」は全くの無関係であるという事実です。
多くの人が「ガンダムの略かな?」と連想しますが、これは若者言葉における「あるある」な誤解です。
部下が「ガンダで行きます」と言ったとき、彼らはアムロ・レイのようにニュータイプとして覚醒しているわけでも、モビルスーツに搭乗しているわけでもありません。
単に、駅の階段を駆け上がっているだけです。
この誤解を真顔で「ガンダムのこと?」と聞いてしまうと、部下は「あ、通じなかった……」と気まずさを感じてしまいます。
ここは心の中で「ガンダムじゃないのね(笑)」とツッコミを入れつつ、スルーするのが大人の余裕です。
「ガン」の系譜を知れば怖くない
「ガンダ」の「ガン」は、強調を表す接頭辞のようなものです。
皆さんもよく使う言葉に似たものがありますよね。
- ガン見(ガンガン見る = じっと見る)
- ガン無視(ガンガン無視する = 徹底的に無視する)
これらと同じで、「ガンダ」も「ガンガン」という強調のニュアンスを含んでいます。
つまり、単なる「ダッシュ」よりも、「なりふり構わず急いでいる」という必死さが込められているのです。
なぜ部下は上司に「ガンダ」を使うのか?隠された心理
「意味はわかったけど、上司に対してそんな若者言葉を使うのは失礼じゃない?」
そう感じる方もいるかもしれません。
しかし、現場で多くの若手社員と接していると、彼らが「ガンダ」を使う背景には、単なる報告以上の心理が働いていることがわかります。
「遅れそうだけど、やる気はあります!」という弁解
部下が「ガンダ」を使うシチュエーションを思い出してみてください。
その多くは、「遅刻しそう」「待ち合わせにギリギリ」といった緊急事態ではないでしょうか。
単に「急いで向かいます」と送るよりも、「ガンダで向かいます!」と送ることで、彼らは以下のようなニュアンスを伝えようとしています。
- 状況の深刻さ: 「今、汗だくで走っています!」という臨場感。
- 弁解とアピール: 「遅れて申し訳ないけれど、走って挽回しようとする誠意(やる気)だけは認めてほしい!」
つまり、「ガンダ」は「遅刻の罪悪感を、全力疾走という行動で相殺したい」という、部下なりの必死の弁解とアピールなのです。
親近感の裏返しでもある
また、若手社員にとって、ガチガチに敬語を使う相手には「申し訳ございません。只今急行しております」と送るはずです。
あえて「ガンダ」という崩した言葉を使うのは、あなたに対して「このくらいの言葉なら受け止めてくれるだろう」という信頼と親近感を持っている証拠でもあります。
決してあなたを軽んじているわけではありません。
「先輩ならわかってくれる」という甘えが、少し言葉に出てしまっただけなのです。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 部下の「ガンダ」は、言葉遣いの乱れではなく「SOSのサイン」として受け取りましょう。
なぜなら、この言葉を使う時、部下は物理的にも精神的にも余裕がありません。そこで言葉尻を捉えて注意するよりも、まずは「焦っている状況」を理解してあげることが、その後の信頼関係構築に大きく役立ちます。
【コピペOK】部下から「ガンダ」と言われた時の神返信3選
では、実際に部下から「ガンダで向かいます!」とLINEが来たら、どう返すのが正解なのでしょうか?
私がおすすめする「神返信」と、やってはいけない「NG返信」を紹介します。
パターン1:【基本の神対応】安全配慮で大人の余裕を見せる
最も無難で、かつ好感度が高いのがこの返しです。
あなた: 「了解!転ばないように気をつけてね(笑)」
解説:
部下の「急いでいる」というアピールを受け止めつつ、「転ばないように」と相手の身を案じることで、上司としての器の大きさを示せます。
(笑)をつけることで、「怒っていないよ」というメッセージも伝わり、部下の焦りを和らげることができます。
パターン2:【信頼を示す対応】焦らせないことでミスを防ぐ
重要な商談前など、部下がパニックになっている時に有効です。
あなた: 「慌てなくて大丈夫だよ。先に入って待ってるから、安全第一で来てね。」
解説:
「ガンダ」している部下は視野が狭くなっています。
あえて「慌てなくていい」と伝えることで、到着後のミスやトラブルを未然に防ぐことができます。
パターン3:【NG対応】緊急時に会話を止める・説教する
これは絶対に避けたい対応です。
あなた: 「ガンダム? どういう意味?」
あなた: 「上司に対する言葉遣いとして不適切です。」
解説:
部下は今、走っています。そんな時に「意味」を問いただしたり、説教を始めたりすると、部下は立ち止まって返信しなければなりません。
結果として到着がさらに遅れ、部下のモチベーションも「ガンダ(急降下)」してしまいます。
指導が必要な場合でも、まずは到着を待ち、落ち着いてからにしましょう。

2026年版:「ガンダ」は死語?リモート時代の新しい使い方
「でも、ガンダってもう古い言葉(死語)じゃないの?」
そう思う方もいるかもしれません。
確かに、女子高生の流行語ランキングからは姿を消しましたが、それは言葉が廃れたからではなく、「日常語として定着した」からです。
さらに最近では、リモートワークの普及に伴い、「ガンダ」と「リモートワーク」という新しい関係性が生まれています。
物理移動から「タスク処理速度」への意味拡張
以前は「走って移動する」という物理的な意味でしか使われませんでしたが、2026年現在では、以下のように「デジタルタスクを爆速で処理する」という意味でも使われています。
- 「次のZoom会議までに、資料をガンダで作ります!」
- 「チャットの返信、ガンダで終わらせます!」
これは、言葉が時代に合わせて進化した面白い例です。
部下がデスクに座ったまま「ガンダします!」と言っても、矛盾しているわけではありません。
「猛スピードでキーボードを叩きます!」という宣言なのです。
このように、「ガンダ」という言葉は、物理的な移動だけでなく、業務スピードの速さを表現する言葉へと意味の範囲を広げています。
まとめ:言葉の意味を知れば、部下はもっと可愛くなる
最後に、もう一度ポイントを整理しましょう。
- 意味: 「ガンダ」は「ガンガンダッシュ(全力疾走)」の略。ガンダムとは無関係。
- 心理: 部下の「遅れそうだけど頑張る!」という必死の弁解とやる気のサイン。
- 対応: 「ガンダム?」と聞き返さず、「気をつけてね」と優しく返すのが正解。
言葉は生き物です。世代が違えば、使う言葉が違うのは当たり前。
そこで「わからない」と拒絶するのではなく、「どういう意味?」と面白がってみたり、こっそり調べてみたりする。
そんな上司の歩み寄りこそが、部下にとっては一番嬉しいものです。
もし明日、部下から「ガンダで向かいます!」とLINEが来たら。
スマホの前でニヤリと笑って、「了解!転ばないようにね」と返してあげてください。
その一言で、あなたと部下の距離は、きっと「ガンダ」で縮まるはずです。