【都内通勤】見た目で選ぶと後悔する? 街乗りファットバイク「絶対条件」とルック車の見抜き方

街中で信号待ちをしている時、ふと隣に並んだ極太タイヤの自転車。

「うわ、なんだあれカッコいい!」と釘付けになった経験、ありますよね。

その圧倒的な存在感に一目惚れして、「俺もあれで通勤したい!」「休日に街を流したら気持ちいいだろうな」と想像を膨らませているかもしれません。

その気持ち、痛いほど分かります。

私も初めてファットバイクを見た時の衝撃は忘れられません。

でも、ちょっと待ってください。Amazonでポチる前に、プロとして言わせてください。

その3万円のバイク、本当に止まれますか? マンションの駐輪場、入りますか?

ファットバイクは最高の相棒になりますが、選び方を間違えると「重くて進まない」「駐輪場に入らない」巨大な粗大ゴミになりかねません。

元メッセンジャーであり、都内で500台以上のファットバイクを扱ってきた私が、街乗りで「本当に使える」ファットバイクの絶対条件と、ネットに溢れる「ルック車(ニセモノ)」の見抜き方を伝授します。


[著者情報]

この記事を書いた人:山本 武(スポーツサイクルアドバイザー)
元メッセンジャー。都内の自転車店で10年間勤務し、ストリート系自転車のカスタムや都市型コミューターの選び方を指南。自身もファットバイクで都内通勤を経験しており、「カッコいいから乗りたい」という初期衝動を肯定しつつ、プロとして厳しい現実も隠さず伝えるスタンスに定評がある。

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なぜ「20インチ」一択なのか? 都内の信号と駐輪場事情

まず結論から言います。都内での街乗りや通勤に使うなら、タイヤサイズは「20インチ」一択です。

「えっ、ファットバイクといえば26インチのデカいタイヤじゃないの?」と思われるかもしれません。

確かに、雪道や砂浜を走るなら26インチが正解です。

しかし、コンクリートジャングルである東京では話が別です。

理由は2つあります。

1つ目は「漕ぎ出しの軽さ」です。

都内の道路は信号だらけです。

数百メートルごとにストップ&ゴーを繰り返します。

巨大な26インチのタイヤは、一度スピードに乗れば快適ですが、止まった状態から動き出すのにかなりのパワーを使います。

毎朝の通勤でこれを繰り返すと、会社に着く頃には太ももがパンパンになってしまいます。

対して、20インチはタイヤの外径が小さいため、漕ぎ出しが非常に軽く、信号待ちからのスタートダッシュが楽なのです。

2つ目は「取り回しの良さ」です。

26インチのファットバイクは、全長が普通の自転車よりかなり長くなります。

マンションのエレベーターに乗せるのは至難の業ですし、狭い路地でのUターンも一苦労です。

20インチと26インチを比較すると、街中での機動力には雲泥の差があります。

20インチ vs 26インチ 街乗り適性比較

Amazonの3万円はなぜ危険? 「ルック車」を見抜く3つの地雷ポイント

次に、ネット通販でよく見かける「3万円〜5万円」の格安ファットバイクについてお話しします。

これらは通称「ルック車」と呼ばれ、ファットバイクの見た目だけを模した粗悪品です。

厳しい言い方になりますが、ルック車は「自転車の形をした鉄アレイ」だと思ってください。

スペック表を見るだけでルック車を見抜く、3つの「地雷ポイント」をお教えします。

1. ブレーキが「ディスクブレーキ」ではない

ファットバイクのタイヤは重く、一度回り出すと強い慣性力が働きます。

この巨体を確実に止めるには、強力な制動力を持つ「ディスクブレーキ」が必須条件です。

ルック車によくある、ゴムでリムを挟むタイプ(Vブレーキやキャリパーブレーキ)では、雨の日などは全く止まれません。

命に関わります。

2. フレーム素材が「スチール(鉄)」である

「スチール」や「ハイテン鋼」と書かれていたら要注意です。

鉄は安価ですが、非常に重く、すぐに錆びます。

ただでさえタイヤが重いファットバイクでフレームまで鉄だと、総重量はとんでもないことになります。

選ぶべきは、軽くて錆びにくい「アルミ」フレームです。

3. 重量が「20kg」を超えている

まともなアルミ製ファットバイクなら、重量は15kg〜17kg程度に収まります。

しかし、ルック車は平気で20kgを超えてきます。

20kgの自転車で坂道を登るのは、罰ゲーム以外の何物でもありません。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: スペック表に重量の記載がない、または「ディスクブレーキ」と明記されていないバイクは、選択肢から外してください。

なぜなら、店に持ち込まれる修理車の多くがこのルック車で、「ブレーキが効かずにヒヤッとした」「重すぎて乗らなくなった」という相談が後を絶たないからです。安物買いの銭失いになるだけでなく、事故のリスクを買うようなものです。

【チェックリスト】購入前に確認しないと詰む「駐輪場の壁」

スペックが決まっても、まだポチってはいけません。

ファットバイク所有における最大の壁、それは「駐輪場」です。

一般的なラック式駐輪場(レールにタイヤを乗せるタイプ)のタイヤ幅制限は、だいたい5cm〜6cm程度です。

対して、ファットバイクのタイヤ幅は10cm以上あります。

つまり、ラック式駐輪場には物理的に入りません。

購入前に、必ず以下のチェックリストを確認してください。

  • [ ] 自宅の駐輪場に「平置きスペース」はあるか?
    (バイク置き場や、ラックのないフリースペースなど)
  • [ ] 職場の近くに「平置き可能」な駐輪場はあるか?
    (多くの駅前駐輪場はラック式です。事前に現地確認が必要です)
  • [ ] エレベーターに載せられるか?
    (自宅保管する場合、タイヤの太さとハンドルの幅でドアを通らないことがあります)

「駐輪場(平置き)」の確保は、ファットバイク所有の絶対的な前提条件です。

ここをクリアせずに買うと、置く場所がなくて途方に暮れることになります。

プロが教える「街乗り最強スペック」の黄金比

では、具体的にどんなスペックを選べばいいのでしょうか?

私が推奨する、失敗しない街乗りファットバイクの「黄金比」はこれです。


📊 比較表

ルック車 vs 本格派街乗りモデル スペック比較

項目❌ 避けるべきルック車✅ 街乗り最強スペック(黄金比)
タイヤサイズ26インチ(デカすぎる)20インチ × 4.0
フレーム素材スチール(鉄)アルミ
ブレーキVブレーキ / キャリパー機械式ディスクブレーキ
変速機6段以下 / ブランド不明7段変速以上(シマノ製推奨)
重量20kg以上16kg前後
価格帯3万円〜5万円8万円〜15万円

このスペックを満たすモデルなら、ママチャリ感覚で気軽に扱えて、かつファットバイク特有の浮遊感とカッコよさを存分に楽しめます。

初期投資は少しかかりますが、毎日乗るなら絶対に元は取れます。

Q&A:電動アシストは必要? 違法なモペットとの違いは?

最後に、よくある質問にお答えします。

Q. 電動アシスト付きの方がいいですか?

A. 坂道が多いエリアなら推奨しますが、バッテリー切れに注意が必要です。
タイヤが太い分、どうしても路面抵抗は大きくなります。坂道が多い通勤路なら電動アシストは強力な武器になります。ただし、車体がさらに重くなる(25kg〜30kg)ので、バッテリーが切れるとただの重りになります。平坦な道がメインなら、アシストなしのアルミモデルで十分です。

Q. 「アクセル付き」のモデルを見つけましたが、これは自転車ですか?

A. いいえ、それは「原付」です。絶対に自転車として乗らないでください。
ペダルが付いていても、アクセルを回すだけで進む乗り物は、法律上「フル電動自転車(モペット)」と呼ばれ、原付バイクと同じ扱いです。
ナンバープレート、自賠責保険、ヘルメット、免許証なしで公道を走ると、無免許運転などで逮捕されます。
ファットバイクと見た目が似ているため混同されやすいですが、「フル電動」と書かれたモデルは自転車ではないと認識してください。


まとめ:本物を選べば、毎日の通勤がアドベンチャーになる

ファットバイクは、単なる移動手段ではありません。

段差も、砂利道も、グレーチングも関係なく突き進む、街乗りの「自由の翼」です。

ただし、それは正しい選び方をした場合の話です。

「20インチ」「アルミフレーム」「ディスクブレーキ」。

この3つの条件を守り、そして「駐輪場」さえ確保できれば、あなたの毎日の通勤は退屈な移動から、ワクワクするアドベンチャーに変わります。

さあ、まずは自宅の駐輪場をチェックしに行きましょう。

平置きスペースが空いていれば、あなたのファットバイク生活はもう目の前です。


[参考文献リスト]

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